外来を受診する患者さんにはいろんな人がいます。思わず身構えてしまう患者さんも少なくないです。
インターネットで集めた情報を総合して自分はこの病気に違いないと自己診断して、「そうですよね」と迫ってくる患者さん。
曖昧な説明を許さず、とことん正確な情報を求めている患者さん。「おそらく」とか「たぶん」という言葉を許さなかったり。
自分の思いどおりの検査や治療を始めないと納得して診察室から出て行かない患者さんもいます。
気持ちは分かるのですが、こういう患者さんたちはおそらく損をしていると思います。
医師と患者の関係も人間対人間の関係ですから、良好な関係を築くための印象づくりも大事なんじゃないかと思うのです。
今回読んだ本、「
「患者様」が医療を壊す (新潮選書)」になかなか興味深いことが書かれていました。なんというかしっくしりきました。
医師と患者は”お医者さんごっこ”をしてるくらいの関係がちょうどいいというのです。
どういう事かというと、”ふり”でもいいので患者さんは医師に対して初めから不信感を持って接するのではなく、できるだけ信用して身を委ねてみるといいというのです。
当たり前ですが、あえて自分が接した患者さんのことを不幸にしようとする医師はいません(あまりに対応の悪い医師もいるのかもしれませんが。。。)。
医師も患者さんから頼りにされていると感じれば、自然にその患者さんのために尽くしてくれるようになります。それが人情というものです。それなのに初めから喧嘩腰なんてもったいないです。
僕が研修医だった頃にこの”お医者さんごっこ”という考えを聞いても、何が言いたいのかこの言葉の意味するところが分からなかったかもしれません。
今だからこそ思えるのかもしれません。”お医者さんごっこ”をしているくらいが調度いいと。
「患者様」が医療を壊す (新潮選書)はタイトルだけ見ると、非常に堅くてとっつきにくい本のように見えます。少なくとも僕はそう思っていました。
著者の岩田健太郎先生は内科の中でも感染症を専門にしている先生です。内科の先生というのは多くが真面目できちんとした性格の人が多いですから、きっとこの本も読むのに疲れてしまうような堅い本なのだろうと思っていました。
しかしながらそれは杞憂でした。偏見でした(反省)。中身は意外なほど読みやすいですし、著者の岩田健太郎先生の研修医、内科医としての経験がまた興味深く、特に外科医と感染症科医の関係などは思わずうんうんと頷いてしまいました。
本書は医師が読んでももちろんおもしろいですが、特に将来患者さんになるであろうみなさんに手にとっていただきたい本です。バリバリの臨床家が良好な医師患者関係を築くためのアドバイス。参考になること間違いなしです。
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