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椎間板ヘルニアについての質問とその回答


03 09, 2011 | Tag,整形外科,腰椎椎間板ヘルニア,椎間板ヘルニア

以前に椎間板ヘルニアについての記事を書きました(腰椎椎間板ヘルニアのウソホント | メタノート)が、それについてコメント欄で質問をいただきました。以下、引用です。

都内の整骨院に勤務している柔道整復師です。
椎間板ヘルニアについてご意見を聞かせて頂きたいです。

疑問なのは、以下についてです。
・下肢痛や痺れ、腰痛などの経験がない健常者にも、画像診断上では椎間板ヘルニアは見られることがある。
・椎間板ヘルニアの保存療法にて(または無処置にて)、ヘルニア自体は消失していないのにも関わらず、時間の経過で症状が改善することも多い。
・手術でヘルニアを取り除いたにも関わらず、症状が改善しないことがある。

これらの事実から、そもそも"椎間板ヘルニア"を下肢痛や痺れの原因だとするのには、科学的根拠が薄いように思えてなりません。

僕の見た患者にも、「医者に手術をしないと治らないと言われたが、手術は嫌だから」と来院され、1ヶ月程でよくなり、ゴルフに復帰できた方がいます。
尚、その患者さんは、「自分の状態が気になるから」と、症状改善後に、他の病院のMRI検査を受け「椎間板ヘルニア」と診断されていました。

最後の実例は、一件のみの症例なので、なんとも言えないとは思いますが、
上記のようなことについて、どのようにお考えでしょうか?


まず、典型的な椎間板ヘルニアは
Axial view of herniated lumbar disc.
のように、出っ張った椎間板が神経を押します。押された神経が下肢にくる痛みやしびれを起こすと考えられています。

神経根ブロックといって、ヘルニアに押されてダメージを受けているであろう神経に注射をすると、下肢痛やしびれの症状が良くなることが多いです。これは、原因になっている神経に直接麻酔薬を効かせているためです。

ヘルニアの出っ張りが小さければ、神経にはあたりません。ですから画像上ヘルニアがあったとしても神経に対する症状を起こすとは限らないのです。


また、椎間板ヘルニアが無処置(疼痛に対する治療のみ)でも軽快するのはよくあることです。しばらくするとすっかりヘルニアが消えている症例もあるし、まだ存在しているのに症状が消えていることもあります。

後者はおそらくですが、多少なりともヘルニアが小さくなって、もしくは位置がずれたりして神経への圧迫が解除されたのではないかと考えます。


手術を行っても症状がよくならない症例というのもたしかに存在します。手術を行って改善しやすいのは下肢の激しい痛みや筋力低下です。それも発症早期にやった方が効果的です。時間が経てば経つほど、神経の症状は回復しにくくなります。

神経は弱い組織です。元に戻れないくらいまでダメージを受けてしまうと、手術をして原因を取り除いても回復しづらいのです。そのため手術を行っても症状が良くならないという症例が出てきてしまいます。


椎間板ヘルニアの全てが臨床症状を引き起こすわけではありませんが、下肢痛やしびれを引き起こす代表的な疾患であることは確かです。


どうでしょう。回答になっていればいいのですが。



-1 Comments
By けいじ03 29, 2011 - URL [ edit ]

ご返答ありがとうございます!!
わかりやすかったです!
すみませんが、もう少し質問させて頂いてもよろしいでしょうか?

僕は、生理学的には、神経の圧迫によって生じる症状は「痛み」よりも「麻痺」だと認識しています。
「痛み」というのは自由神経終末からのインパルスによるもので、神経繊維の途中で圧迫しても「痛み」は生じないと思うのです(『臨床医のための痛みのメカニズム』より)

「バルーン実験」と呼ばれる実験では、神経根をバルーンで圧迫したがその末梢部に痛みは出現しなかったということも聞いたことがあります(すみません、誰の論文だったのかは忘れてしまいました)

僕は肩関節脱臼による腋下神経麻痺や、松葉杖による腋下神経麻痺を何例か見てきました。
また、長時間腓骨神経を圧迫されてしまい、腓骨神経麻痺になってしまった例もありまあした。
いずれも治癒まで長期を要し、神経の回復には時間がかかることも分かっています。
しかし、そういった"神経圧迫"による症状は、「痛み」ではなく「麻痺」でした。

こういったことからも、椎間板による圧迫で下肢痛が生じるというのが疑問です。
(「麻痺が起こる」というほうが納得できる感じです)

上記のような圧迫による神経損傷と、椎間板ヘルニアによる神経損傷の生理学的な違いはどういったものなのでしょうか?

色々、本を読んでみましたが、そのことに関する知識は得られませんでした。。
もしお手数でなければ教えていただきたいです。

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