本書を読んで、病院経営もある程度体系立てて考えていかないといけないんだなと思った次第です。
思考の枠組みがあった方が考えやすいということです。
例えば、”6つの医療の質”として、安全性、有効性、患者中心志向、適時性、効率性、公平性が挙げられていたり、
有名なPDCAとか、QC(Quality Control)、TQC、TQMといった経営の教科書に出てきそうな話が出てきます。
いまさらですが、本書を読んで気づいたことがあります。
病院経営で儲けを増やす手段として、”加算”項目がかなり大きいということです。
通常の心電図や心エコー、レントゲンなどの検査、手術や薬の値段、これらはどこの病院に行っても同じです。病院が個々に値段を決めることはできません。
日本の医療のほとんどが保険診療です。値段は
中央社会保険医療協議会 - Wikipediaで決められています。
加算項目は「保険診療で医療行為の値段がすべて決められてしまっているなか、病院はどうやって儲けを増やすのか?」という疑問に答えてくれます。
診療報酬の構造は初・再診料や入院料といった
基本診療料と検査や治療などそれぞれの医療行為に対する
特掲診療料という2つに大別されています。
そして、基本診療料には、加算項目があります。例えば
入院基本料等加算です。
大きな病院ほどこの加算項目をとりやすく、それを利用して儲けを増やそうとします。
例えば、救急医療管理加算(800点/日)というのがあるから、病院は救急をやることに積極的になります。
医療安全対策加算(85点/初日、35点/初日)とか褥創患者管理加算(20点)というのがあるから、病院内には医療安全対策チームとか、褥創対策チームが結成されます。
これらの加算はその時々の医療政策と密接に関係しています。医療費削減のために後発医薬品の使用が叫ばれてしばらくたちますが、後発医薬品使用体制加算(30点)というのを作って病院に後発医薬品の使用を促したりしています。
これらは金銭的なインセンティブをつけて、病院にあるべき機能を持たせようとする厚労省の政策でもあります。
これ自体は悪い制度ではないのですが、中には加算はとっているけど、実態がないというようなこともあったりします。
病院の中で生活していると、ある日突然なんらかの委員会が発足してることに気づいたりします。そして、その委員会の中に自分の名前が入っていてびっくりしたり。
その影にはこういった診療報酬加算の影響があることは間違いないということです。