幸福とか公平とか自由とか平等とか。どれも定義に困るんじゃないかと思うんですよね。
お金をたくさん稼いで、いい車に乗って、いい家に住むことに幸せを感じる人もいるでしょう。反対に、お金なんてそんなになくてもいいから、仕事はそこそこ、家族と過ごす時間に幸せを感じる人もいると思います。
国民全員がそんなに飛びぬけていい暮らしはできないけど、人としてそれなりの生活ができる社会主義(たてまえ上)。
一方、資本主義社会のように努力によってより裕福な暮らしを実現できる社会の方が自由で公平、そしてチャンスが平等に与えられたいい社会だという意見もあるかもしれません。
これらの議論は尽きることがないと思います。
しかし、経済学ではこれらの問題に解を与えるべく日々研究されています。幸福、公平、自由、平等、正義などややもすると主観的になりがちな議論に答えを導き出そうとするのが、経済学というわけです。奥が深い学問です。
どうしたらこれらの問いにうまく答えられるか?
結局のところ、無味乾燥だけどもっとも客観的に考えることができるツール、数学を使うしかないようです。
本書は著者のこのような意図を本にしたものです。先人が築き上げてきた経済学の知識を用いて現段階でどう考えたらいいかを提示してくれています。
幸福を追求していくと、「最大多数の最大幸福」ということになります。個人の幸福を最大化すれば、集団の幸福も最大になって、それが最も幸福な社会だと。
最大多数の最大幸福が実現されるためにはどうしたらいいんでしょうか。
そもそも最初に突き当たるのが、個人の幸福が実現されたら社会全体の幸福が実現されるのか?という問題だと思います。ある人の幸福が他人の幸福とまったく一緒になることはないでしょう。
個人の幸福を実現するためには、自由が確保されていないといけません。また、公平で平等な社会である必要もあると思います。
じゃあ、自由は?公平は?平等って?とわけがわからなくなりそうですが、
私は
- 平等というのは選択肢を選ぶ際に人々の間で障害が少ない格差の少ない社会ということ
と理解しています。
一度それぞれについての定義を持っておくのもいいんじゃないかなと思います。
経済学ってどちらかというと、景気などお金の流れとかそういったことがメインになっている学問かと思ってました。人としての根源的な幸せについて考え、それを現実の社会に生かしていこう、という学問でもあるのですね。おもしろいです。