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「俄(にわか)」 明石屋万吉から学ぶ処世術


10 12, 2009 | Tag,司馬遼太郎,小説

著者は司馬遼太郎さん。ビジネス書ばかりではなく、たまには時代小説もいいですね。

俄(にわか)というのは路上などでやる即興喜劇のこと。本書は幕末を舞台に、主人公、小林佐兵衛こと明石屋万吉の生涯を物語にしたものです。

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万吉の仕事は変わっています。極道を名乗っていて、彼が手がける仕事のほとんどは自分の命を危険にさらす仕事なのですが、自分からは手を出しません。殺しもしないし、盗みもしません。様々な拷問に耐えたり、やられ役に徹するのですが、それが彼の仕事なのです。

そして、それがどんなに危険だろうと彼は頼まれた仕事を断りません。困った人がいたら放っておけないのです。そこに損得はありません。本文中には彼のこと単純で理解できない行動をすると形容されている箇所がありますが、その通りです。

しかし特筆すべきは、彼のその損得抜きの行動はその時万吉を苦しめたとしても、めぐりめぐって彼を助けることになるということです。不思議なものです。


印象的だったのが鳥羽伏見での幕軍と朝廷軍(薩長軍)の戦い。

その頃万吉はわけあって極道だったのが、弱小大名一柳藩の武士となり(これも頼まれて)薩長征伐に向かうのですが、時代の流れは複雑です。圧倒的優位だと思われていた幕軍が敗戦してしまいます。情勢が変われば官軍が入れ替わります。つい最近まで幕軍が官軍だったのに、気づいたら薩長が官軍です。おそろしい。

幕軍についていた一柳藩は情勢が変わり、賊軍となってしまいます。当然征伐の対象となり、万吉も捕まるのですがわけあって彼は解放されます。

彼が解放されたのは以前に長州藩の遠藤謹介を助けたことがあったからでした。長州藩はこの以前に京都に攻め込んだことがあって、そこで惨憺たる敗戦を経験します。京都から長州に逃げ帰る者もいたわけで、彼らはその長い道中大変苦労します。捕まれば命はないわけですから。

敗残兵の中に遠藤謹介がいました。遠藤は大阪で武士として大阪の警護にあたっていた万吉に見つかります。万吉の立場としては捕まえて幕府に身を引き渡すこともできたのですが、そうはしません。自分の立場が悪くなろうとも温情をかけ、逃がしてあげるのです。そこも万吉特有の損得抜きの人情です。

お陰で万吉は幕府から長州人をかくまった罪で殺されかけるのですが、彼は自分のとった行動を後悔しません。

そして維新後、めぐりめぐって最終的には官軍となった長州軍に捕まっても解放される、という結果となるのです。


この物語の中に出てくる万吉のように、損得抜きで自分のことを犠牲にして他人のために尽くせる人間は、最終的に自分の身を助けるのだなあと感じました。

これって幕末でなくても、現代にもあてはまることかもしれませんね。自分のことを振り返ってみても、どうしても長期的、短期的に自分のためにならないようなことには近づかないようにしがちです。この物語の万吉は極端ですが、もう少し利他的になろう、と思いました。

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