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医療の裏側でいま何がおきているのか


09 16, 2009 | Tag,医療,医療問題,医療費,社会保障

本書は2007年に開かれた9名の有識者によるシンポジウムの内容をまとめたものです。現在の医療制度を理解するのに役立つ一冊となっています。

医療の裏側でいま何がおきているのか (ヴィレッジブックス新書)医療の裏側でいま何がおきているのか (ヴィレッジブックス新書)
(2009/04/30)
大阪大学医学部 医療経済研究チーム

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まず初めにこのあたりのことは基本事項として覚えておいた方が良さそうですよ。


・社会保障費90兆円。そのうち年金50兆円超、医療費30兆円超。
・日本の国家予算は80兆円。国債費や地方交付税を払った後に残ったお金(一般歳出は)47兆円。そのうち防衛費7兆円、文教費5兆円、公共事業費7兆円、社会保障関係費21兆円。
・90兆円から21兆円を引いた部分は国民から集めた保険料55兆円と地方自治体の負担、運用益からなっている。
・年金に関して言えば、サラリーマンは毎月の給料から7%の保険料を天引きされ、厚生年金の保険料を払っている。


2004年の対GDP費総医療費をアメリカと比較してみると、アメリカ15.2%なのに対し、日本は8.0%です。先進国中最低レベルです。

日本の人口当たりの医師数が少ないことは指摘されて久しいですが、2002年のデータでは病床100床あたりの医師数で比較すると、日本が13.7人なのに対し、アメリカでは66.8人です。病床100床あたりの看護職員数では日本が54人なのに対し、アメリカでは233人です。

何が言いたいかというと、少ない投資の割に日本の医療にそこそこ満足できているのは、医療従事者の献身的な犠牲により成り立っているからかもしれないということです。

このあたりを考えると、医師の数は早急に増やす必要がある、ということです。


ところが、医療従事者は頑張っているのに、病院全体の60~70%が赤字経営だということです。

じゃあ、医療にかかるコスト30兆円の内訳が気になるところですが、それは本書に書いてありました。


2001年のデータですが、30兆円のうち、病院が収益として80%くらい、10%が剤薬局、他歯科診療など、という割合になっています。

驚いたのですが、病院の収益80%のうち、医療機関以外の取り分が半分ほどあることです。医療機関外というのは製薬メーカーとか医療機器メーカー、検査メーカー、医薬品卸などです。ということはつまり、病院自体の収益は12兆円くらいということですね。

実際に、白内障の手術(7430点(74300円))や腹腔鏡下胆嚢摘出術(25600点(256000円))なんかでは手術料のうち、約半分が材料費にもっていかれしまいます。技術の対価を受け取る方としては、なんだかやるせない気持ちになりますね。

病院の多くが赤字経営を続けていることを考えると、医療行為や薬などの保険点数のつけ方が妥当ではないと考えざるを得ません。


しかし、膨らみ続ける医療費を抑えることも必要なわけで、その点は議論が続けられていることと思います。

本書に登場するある経済学者の先生は、増え続ける医療費に対応するためには消費税などの税金を増やすことで対応するしかないと言っていました。

もしくは自己負担を増やす方法を考えるか。あまり国民に対する直接的な自己負担を増やすと、まともに医療を受けられない人が増えて問題になるだろうし、社会保障の観点から離れていってしまいます。

税金を増やすことで対応するなら、間接的な自己負担増ですから意外といけるかもしれません。個人的には消費税増はもはや仕方ないかなと思います。

民主党政権になって、このあたりの医療費のやりくりをどうするかは見物ですね。


まとめると、今に始まったことではなく、日本の医師数は足りてないんだよ、ということ。保険点数はもう少し見直さないと病院存続にとって良くないよ、ということ。増え続ける医療費には税金で対応するのが妥当かもしれない、ということでした。


ところで、医療費高騰の本当の犯人については本書の説より、こちらの本の説を信じます。犯人は人口の高齢化というより、医療技術の進歩、という説。

こちらが関連記事↓

>> 医療費高騰の真犯人は? 【書評】「改革」のための医療経済学

>> 日本の医療が迷走しないために 
 
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(2009/04/30)
大阪大学医学部 医療経済研究チーム

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「改革」のための医療経済学「改革」のための医療経済学
(2006/07)
兪 炳匡

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