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日本の医療が迷走しないために 


05 05, 2009 | Tag,医療,医療費,医療経済学

医療費高騰の原因は「医療技術の進歩」だということ、一生のうち、お金が最もかかるのは急性期医療だが、早死にする人も長生きする人もかかっている医療費総額は変わらない、ということが分かっています。


医療費を削減するためにはどのような方向に向かっていけばよいのか?


答えはないのですが、間違った方向に歩きださないようにするためにはどうすればよいかについて5つ考えていきたいと思います。



1.米国を見習って在院日数を短くしようとするのは間違っている。

SNF(Skilled Nursed Facility)という仕組みが米国にはあります。これは急性期病院を退院した後に患者さんが行く病院ですが、実際にはここでも日本の急性期病院で行われている医療行為が行われているのです。しかしSNFでの入院は急性期病院での入院日数には含まれません。つまり、米国の入院日数が短くみえるのは統計上の数字のトリックだということが分かります。
また、日帰り手術が多くなったことで今度は入院ではなく外来での医療費が大きくなっています。結局入院日数の短縮は全体の医療費抑制に効果を上げていないのです。



2.予防医療は医療費を高騰させる。

予防医療で費用対効果を認められているのは予防接種や新生児スクリーニングくらいで、癌などの早期発見早期治療は医療費抑制に効果をもたない、という研究結果があります。
病気が末期になるまで発見されなかったらそれだけ急性期医療での費用がかかるわけですが、そういう人たちは人生を短い期間でまっとうすることになり、一生のうちにかかった医療費は削減されることになります。タバコもそうです。喫煙を励行すれば肺がんなどで早死にする危険は高まりますが、そのおかげで医療費は節約することができます。ここでの議論はあまり意味をなさないものだと思いますが、癌検診などを一切やらない、喫煙を励行するなどの政策は医療費削減という点だけみると有効だということです。しかし、これは国民のQOL(生命の質)を保つ上では賛同できませんよね。



3.医療は民営化すべきではない。保険にしろ病院にしろ。

営利企業が市場に参入することで価格競争が促進され、経営効率が改善し、コストが抑制されるうえ医療の質が向上する、という説がまことしやかに言われていますが、米国において「競争」を通じてコスト抑制につながったという研究結果は実際にはありません。むしろ多数の医療機関がたとえば有名な医師を高額な報酬で招く、待合室の内装を豪華にする、高額な検査機器を多く導入するなどして、コスト上昇につながる可能性が高いと言われています。



4.診療報酬引き下げは医療費を高騰させる。

診療報酬の引き下げはコスト抑制に役立たないばかりか、資源の浪費とコスト上昇にすらつながることは先進諸国の過去に経験済みです。これは報酬引き下げに対し、医師がその専門知識を最大限に利用し巧妙な誘発需要を引き起こす可能性が高くなるからだそうです。



5.意外とうまくいっている日本の医療制度。

日本の医療費はG7中6位。GDP比で8%(2001年)。米国では13.1%(2001年)というデータがあります。ちょっと古いですが、これを見るとまだまだ政府予算のうち医療費にあてる割合を多くしてもいいのではないかと思ってしまいますね。

医療費の総額規制(Global budget) 保険機関から医療機関に支払う額の総額に上限を設定すること。これは良い方法のようです。日本は「レセプト」に応じて保険機関から病院側がお金を受け取る仕組みですので、この方法に則っています。イギリスはさらに進んでいて専門医を受診するためには必ず家庭医を受診しなければならず、家庭医がゲートキーパーの役割をはたしています。医療費抑制の面で優秀なイギリスの家庭医制度ですが、この仕組みのおかげで必要な治療(手術など)をすぐに受けられなくなっているという残念な面もあります。



日本の医療が迷走しないためには、これら医療経済学の知見が役立ちますね。

Inspired by
「改革」のための医療経済学「改革」のための医療経済学
(2006/07)
兪 炳匡

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