自分の言いたいことを相手に伝えることは意外と難しいことだと思います。なぜなら自分の考えている前提と、相手の考えている前提が完全に一致することはないからです。
論理的に考える、論理的に言いたいことを伝えることは自分の意図したことを伝えるために身につけたい技術の一つでしょう。
本書は「13歳からの」とタイトルにあるようにターゲットにしているのはおそらく中学生くらいで、総ページ数も122ページと薄めですき間時間にさっと読んでしまえる本です。「13歳からの」と書いてありますが、大人が読んでも十分学ぶところはあります。
論理的かどうかを判別する力を身につけておくことは大切です。
というのも、間違った前提の元に議論が進められていることがよくあるからです。これを見極めるのに論理的かどうかを判別する力が不可欠です。
論理的な主張というのは、理屈が通っていて、どこの誰がいつ見ても同じ主張にみえるものです。
例えば、
「ミルクを飲まないと大きくなれない。ゆえに、ミルクを飲むと大きくなれる。」
「ミルクを飲まないと大きくなれない。大きくなれた。したがって、ミルクを飲んだのである。」
この2つの文章だと前者が論理的に破綻した文章で、後者が論理的に成立した文章です。
最初の文章は一見正しそうに見えることがくせものですが、よく考えると「ゆえに」の使われ方がおかしいことが分かります。「ミルクを飲まないと大きくなれない」という文章はミルクを飲んだら大きくなるということを保証していません。ミルクを飲んでも大きくなれない場合があるはずです。だから、最初の文章は論理的に破綻しています。
こう考えると日常には論理の破綻した会話があふれていることが分かります。政治家の記者会見なんかも質問した答えに、わざとかどうか知りませんが、論理をはずした的外れな回答がよくみられます。相手の話している会話の内容の前提はなんなのか、なぜそのようなことが言えるのかをいちいち考えて日頃から意識的に論理が成立しているかどうか考えておくことが大切なのだと思います。
実際には一から十まで説明する論理的な文章より、ある程度共通した前提をあえて省いた会話の方がスムーズに会話が進む場合もあります。
バランスだと思いますが、意識して学ばないと身につきづらいのが論理的思考というものなのでしょう。
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カテゴリ:ロジカルシンキング