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まずは蛇口をしめないと


03 09, 2009 | Tag,医療,医師不足,女性医師

先日読んだ本に関連して医師不足について思ったことがあったのでエントリーしておきます。


医師不足解消のために考えられる必要なことは3つあると思います。

1.医師の絶対数を増やす
2.やめていく女性医師をもっと有効活用する
3.やめていく勤務医を減らす



医師不足問題の解決案として、医学部の定員増加、臨床研修の短縮など総数を増やすことばかりが話し合われているような気がします。たしかにこれも有効でしょうが、先に解決しなければならない課題は2と3のほうだと思います。医師の総数が増えても本当に必要な勤務医の数を増やさないと意味がないからです。



やめていく女性医師をもっと有効活用する

昔に比べると医学部の定員のうち女性の占める割合が増えていますので、30~40%くらいが女性でしょう。そうすると、毎年3500人~4000人の医師が誕生していますが、そのうち1200人くらいは女性なわけです。現在の勤務医としての労働環境で女性が結婚をして子供を産んで、育てるとなると、仕事はこれらのライフイベントをきっかけにやめざるを得ないというのが現状です。昼も夜も関係なく、自分の受け持ち医に何かあれば家庭を犠牲にしても病院に駆けつけなくてはならないのが多くの医療現場での実際です。

女性医師がこの現状をどう考え、どのように対応しようとしているかというと、病院はもうご臨終です (ソフトバンク新書)に書かれていたので紹介しておきます。
1.女医としてのキャリアは捨て、若いうちに嫁に行く
2.早く一人前になる科を選ぶ
3.結婚・出産しつつ、でも男性並みのキャリアも積む


3は現実的ではないでしょうね。あまり3のような人生を選択しようとしている若い女医さんは見かけません。自然なことだと思います。
1に関してですが、これが意外にも多い。
もともと「医師免許は嫁入り道具」程度に考えてすぐに結婚する女医もいるし、予定外に良い人に出会ったり妊娠したりして現場から離れていく女医はわりと多い。
(p.91)


2ですが、これはある意味賢い選択なのかもしれません。
例えば外科系と一言で言っても、一般外科、心臓外科、脳外科、整形外科、泌尿器科、耳鼻科、美容外科などなどたくさんあり、そのハードさにもバラつきがある。当然、一人前になるために要する時間にも差があるわけだ。最近の傾向で、皮膚科や眼科、形成外科、美容外科なんかが女子医学生に人気なのもこのような理由があるのだろう。緊急で呼ばれることも少なく、患者の命に直接関わることの少ない科は働きやすい。出産したら外来のパートだけ、なんてフレキシブルな働き方が可能なことも多い。
(p.91~p.92)


ここに引用したことはは紛れもない現実だと思います。異論ありません。実際に中規模以上の病院で勤務している医師をインターネットや病院の医師紹介などでみてみると、例えば40歳以降の女性医師の顔が圧倒的に少ないことに気付くと思います。



話は変わってやめていく勤務医のことです。

やめていく勤務医を減らす

研修医というよりは即戦力になるベテランの医師が必要というのが病院側の本音でしょう。研修医は雑用を押し付けるにはちょうど良いのかもしれませんが、実際に現場を指揮するのは経験を積んだ医師です。大きな病院を見ていると、若手医師のわりにベテランの医師が少ないことに気付くと思います。

これは、医師として経験を積んでいくと、実力がつき、その結果開業するなど、仕事の選択肢が増えることも関与しています。選択肢が増えると、自分のスキルに見合った働き方を選択できるようになります。

例えば美容外科などは形成外科で専門的な教育を受けて専門にする医師もいますが、中には一般外科からいきなり美容外科に転身したりすることもあります。そんなんで出来てしまうのも怖いのですが、収入の面でも大きな病院で勤務医をやるのと美容外科をやるのでは大きな違いがあります。美容外科は通常自由診療といって医療行為の値段は言い値で決まるので、利益を追求した医院経営ができるのです。

このように、現在の日本の医療界は、「病気で苦しむ人を助けたい」、「満足な医療を受けられていない人のために働きたい」と思えば思うほど、勤務医と、開業医や美容外科の間で格差が開いていくしくみになっているのです。



2の問題にしろ3の問題にしろ、医師の労働環境が未熟なことに原因があります。

解決策として提案するなら、医師の勤務体制を主治医制から看護師のようにシフト制にしてみるのどうでしょうかね。

このまま労働環境や労働条件が改善されていかないのであれば、いつまでも医師不足の問題は解決されないのではないかと思います。



関連記事:医学部を目指す前に読んでおいた方がいい一冊 【書評】病院はもうご臨終です


参考:
病院はもうご臨終です (ソフトバンク新書)病院はもうご臨終です (ソフトバンク新書)
(2009/01/16)
仁科 桜子

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