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小説【書評】ジェネラル・ルージュの凱旋(上・下)


01 29, 2009 | Tag,海堂尊,小説,医療

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫)ジェネラル・ルージュの凱旋(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫)
(2009/01/08)
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ジェネラル・ルージュの凱旋(下) [宝島社文庫] (宝島社文庫)ジェネラル・ルージュの凱旋(下) [宝島社文庫] (宝島社文庫)
(2009/01/08)
海堂尊

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小説を読んでみました。本書はチームバチスタの栄光で一躍有名になった海堂尊さんの著書です。著者は現役の勤務医(病理医)でありながら、ここ数年立て続けにヒット作を連発しています。

こういった医療系の小説は医者が書かないと、細部の表現がいい加減でしらけたものになってしまうと思います。入院後の救急患者をどこの科や病棟に振り分けていくか(ベッドコントロール)の話など、非常に現場がリアルに表現されています。次々やってくる救急患者を受け入れるためには、一旦の治療が終わると他の専門科に患者を移動させていかなければいけません。このようなベッドコントロールも医療の一面です。


小説の醍醐味はなんと言ってもそのスピード感でしょうか。おもしろい小説は時間を忘れて没頭させてくれる効果があるような気がします。私にとって本書もそのような本でした。


小説なので、あまり内容を詳細に書くことは、読んだときの面白さを半減させるので控えておきますが、本書のテーマは現在の医療が抱える問題である「救急医療のあり方」、というものです。

めまぐるしく状況が変わる救急医療の現場で、

「経営効率を重視した医療はうまくいくのか?」

「救急医療の現場で最も大切にしなければいけないこととは何か?」

という問題にメスが入れられています。



中からグッときたセリフを一部紹介します。

「救命救急の最大の敵は固定観念だ。判断は一瞬一瞬でめまぐるしく変わる。」

「救急現場ではエーアイ(死体画像検査)は費用負担ができないため、生きている患者の検査と誤魔化して保険請求してきた。おかしな話だろ?よりよい医療のための行為が認知してもらえない。そうだとしたら、それはシステムの方が間違えているんだ。そしてそれは、そうした問題を放置し続けた官僚たちの責任だ。彼らがルールを変えれば、エーアイは普及する。そうならない医療現場の現状の元凶は役所の不作為、怠慢さ」

「収益だって?救急医療の現場でそんなもの上がるわけがないだろう。自己は嵐のように唐突に襲ってきて、疾風のように去っていく。在庫管理なんて出来るわけもない。小児科も同じ。産婦人科も、死亡時医学検索も。現在の医療システム下では医療の根管を支える部分が冷遇されている。俺たちの仕事は、警察官や消防士と同じだ。トラブルが起こらなければ単なる無駄飯食い。だからといって国家は警察官や消防士に利益を上げることを要求するか?そんな彼らに税金という経済資源を配分することを、市民は拒否するのか?」

「救急や小児科、いや医療は、身体の治安を守る社会制度だ。治安維持と収益という概念は相反する。三船事務局長、あんたは無理難題をシステムの根幹に据えている。断言しよう。あんたたち官僚の血脈が目指す医療システムは、近い将来必ず崩壊する。」


小説を通じて社会に医療が抱える問題を分かりやすく提示する、とてもおもしろい小説でした。


こちらもおもしろかったですよ▼
チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫)チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫)
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海堂さんの作品でこれ読んでいなかったので、次はこれを読みます▼。
ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)
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(2008/09/03)
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2 CommentsPosted in 小説
-2 Comments
By ひろこ@NEXT DOOR01 29, 2009 - URL [ edit ]

奇遇ですね。
私も昨日この作品読み終わりました。
非常にスピーディで、あっという間に読んでしまいましたが、おっしゃるとおり、とても考えさせられるところが多い小説でもありました。
被りますが、私の中では、速水先生がリスクマネジメント委員会で言った、
「収益だって?救急医療の現場でそんなもの上がるわけがないだろう。自己は嵐のように唐突に襲ってきて、疾風のように去っていく。在庫管理なんて出来るわけもない。小児科も同じ。産婦人科も、死亡時医学検索も。現在の医療システム下では医療の根管を支える部分が冷遇されている。俺たちの仕事は、警察官や消防士と同じだ。トラブルが起こらなければ単なる無駄飯食い。だからといって国家は警察官や消防士に利益を上げることを要求するか?そんな彼らに税金という経済資源を配分することを、市民は拒否するのか?」
が、心に残りました。

小説という娯楽の中で、こういった医療の現状に対する問題提起をするといのは非常に有用な手段だと思うとともに、リアルな状況が伝わってくるだけに、どれだけ切実なことかを感じさせられました。

By flowrelax01 30, 2009 - URLedit ]

ひろこさん、コメントありがとうございます。

同感です。この小説とてもおもしろかったですよね。

なかなか医療の現場が直面している問題というのは一般の人には分かりにくいのではないかと思います。

こういった著作により多くの人が現場の様子を知ることができるのはとても良いことだと思います。

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