目を背けるな【書評】ならず者の経済学
![]() | ならず者の経済学 世界を大恐慌にひきずり込んだのは誰か (2008/11/19) ロレッタ・ナポレオーニ 商品詳細を見る |
本書は経済現象のうち、あまり直視したくない”闇”の部分にスポットがあてられた本です。なので、読後に爽快感が得られるというよりは少し暗くなってしまうかもしれません。
本書を読むと日本と言う国がいかに恵まれた国であるかが身にしみます。
「ならず者の経済」とはを共産主義の崩壊による混沌の中から生まれた副産物で、本書で取り上げられている「ならず者の経済」は以下のようなものです。
- ロシアの新興財閥(オリガルヒ)による国有財産の略奪
- セックス奴隷としてのスラブ系女性
- 貧困化し破産するアメリカの中流階級
- グローバル化して巧妙に暗躍する犯罪組織
- 今もなくならない奴隷労働
- あふれかえる偽造品・偽造薬
- 人々のダークな情念を操って大儲けするインターネット起業家
- 先進国のあくなき食欲を満たして稼ぐ漁業海賊
共産主義崩壊後、国民は新興財閥に法外に安い値段で国民が持っていた民営化証券を集めて富を築いた。この影響でロシアの女性失業率が80%に増大し、生活のために売春に走らざるを得ない女性を急増させることになった。
富の象徴とされる持ち家に憧れるアメリカの中流階級が、返済不能なローンに手を出し最後には破産する。
犯罪組織で生み出されたお金はロンダリングされ、私たちの手元に届いているかもしれない。あなたが手にしている貴金属は奴隷労働の成果かもしれない。
中国を初め、貧しい国にあふれる偽造品。さらには薬まで偽造されているという現実。
インターネットでナンバー1のビジネスはポルノ、ナンバー2はギャンブル、そしてナンバー3は児童ポルノである。
世界規模でみればごくわずかな人々のために、海洋資源が乱獲されている。
こうして見てみると、これらの「ならず者の経済」の多くに貧困、そして貧富の差が関与している事が分かります。
これらがはびこる原因には当事者以外に、巡り巡って恩恵を受けている先進国の存在も見逃せません。
富める者はますます富み、貧しい者はいつまでたってもそこから抜け出せない。このような格差をなくす、社会全体の取り組みが必要なのだと思います。難しい問題だとは思いますが、利益を上げることが至上命題になっている今の資本主義では限界なのかもしれません。
著者はこの状況を打開するのに、イスラム金融と中国の思考法(例えば孫子の哲学:現実は状況の産物として立ち現れるので、たえず変化している。それを巧みに利用することこと肝要である)に活路を見出していますが、つい最近当ブログメタノート:貧困のない世界を創るで紹介したようなソーシャルビジネスやマイクロクレジットの活用も有効なのではないかと思います。
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