人間の選択には感情が介入してきます。だから非合理な選択をしてしまう。
この非合理さこそが人間らしさでもあるのですが、その影響は経済にも及び、影響は大です。
昨日の日経平均株価は8,693.82円でしたが、株価への影響も見逃せません。
本書は行動経済学の本ですが、内容は難しいものではなく、
”後から考えて不思議に思うような選択をどうして行ってしまうのか、分かりやすい事例を用いて解説してくれています。”
人間の選択に感情が影響を与えるというテーマは以前に当ブログで紹介した
誘惑される意思の双曲割引でも触れました。
先日の
人にはちょっと教えたくない「儲け」のネタ帳 に出てくる儲けのネタに関しても本書を読めばより良く分かります。
今日から使えそうなネタをピックアップします。
ギャンブルや宝くじで得たお金と、汗水流して稼いだお金は同じではない。
初めは買おうと思っていたものも買わずに手ぶらで帰ってきたりする。迷いと葛藤は選択を遅らせ、選択しないという結果をもたらす。人は”選ぶ理由”を欲している。
- 松、竹、梅のように選択肢が3つあると、真ん中を選んでしまう。
状況や文脈で人の嗜好や好みが変わること。
いつも「とりあえずビール」だった人が雪が降った時には「日本酒の熱燗を一杯」と言う。
”目先の利益に目がくらみ、将来の大きな利益に目がいかない”というのは”選好の時間的な逆転”にあたる
あるものを得ることに伴う効用より、いま持っているものを失うことによる痛みの方が大きいと感じられること。
実際にあった事例で、「コンコルド機にはずいぶん投資をしたのだからそれをスクラップに回すことはできない。」というもの。
既に多額の投資をしていたとしても、投資を中止してその計画を放棄する方が収益につながるのなら、そうするべきである。
1万円の値札が赤線で消され、7000円となっていたら”お得”と感じる。
最初に印象に残った数字や物が、その後の判断に影響を及ぼすこと。
典型的と思われるものを判断の基準として転用すること。
小数の法則がこれに含まれる。例えば、コインで4回連続表が出たので次は裏が出るだろうと思うのは、この小数の法則にあてはまる。実際には4回連続表だから、次は裏とは限らない。確率はコインを投げるごとに2分の1に戻る。
思い浮かびやすい、最近の事例やかつての顕著な事例と特徴を思い出すことで評価すること。
地震が来るといわれれば、地震グッズが売れる。
質問の提示のされ方で選択・選好の結果が異なる。
手術をするかどうかの選択で、医者から”生存率95%"と提示されるか”死亡率5%”と提示されるかで、中身は同じでも受け取る印象が異なる。
人間は同額の利益から得る満足より、損失から受ける苦痛のほうがはるかに大きな苦痛と感じる。
人間は確率の極端な値、すなわち確率が0%や100%に近づく時に非常に敏感に反応する。
あらゆる経験の快苦の記憶は、ほぼ完全にピーク時と終了時の快苦の度合いで決まる。苦痛を感じている時間の長さが問題ではない。
仕事で相手と交渉するときに、最後に「本日はお時間をとっていただき、ありがとうございました。」と一言言うだけで、相手への印象が変わる。
直観力も必要だとよく言われますが、
「その直感は本当に良い直感なのか?」
「ただ、感情に影響を受けているだけではないのか?」
と自問する必要があるなと感じました。
自分の判断が妥当かどうかを判断する助けになる一冊だと思います。