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新薬誕生―100万分の1に挑む科学者たち


10 14, 2008

とてもエキサイティングな本です。

内容はタイトル通り、世界を変えた薬とそれを開発した研究者と企業、その開発過程について書かれています。

  1. エイズの治療薬であるカレトラを開発したアボット
  2. 精神分裂病の治療薬であるセロクエルを開発したアストラゼネカ
  3. 糖尿病の治療薬であるインスリン製剤ヒューマログを開発したイーライリリー
  4. 喘息の治療薬であるアドエアを開発したグラクソ・スミスクライン
  5. リウマチやクローン病の治療薬であるレミケードを開発したジョンソン&ジョンソン
  6. 慢性骨髄性白血病の治療薬であるグリベックを開発したノバルティス
  7. 高脂血症の治療薬であるリピトールを開発したファイザー

日本にはまだない治療薬もありますが、これを読むといかに新しい治療薬を作るのが大変かが分かります。

目の前にいる一人の患者を治すか、実現するかどうかは分からないが世界中の多くの患者を救うか。

この本を読むと世界規模で患者を救う創薬という科学に惹かれます。

新薬誕生―100万分の1に挑む科学者たち新薬誕生―100万分の1に挑む科学者たち
(2008/07/04)
ロバート・L.シュック

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製薬会社世界一位のファイザーですが、ファイザーの研究開発費は2004年で77億ドルです。ものずごくお金がかかるんですね。これは、それぐらいお金をかけないと新しい薬が生まれないということでもあります。
薬の開発は試験管の中から始まって、動物実験をクリアーし、それが人間に使用しても安全だということが証明されてからやっと薬として認可されます。臨床治験なんていう言葉を病院で聞いたことがあるかもしれませんが、これは人間で使用しても安全かどうか確かめるために、必要な過程です。

数々の試験を超え、アメリカだとFDA、日本だとさらに厚生労働省の認可を得なければ薬として市場に出ることができません。それだけ開発にかかる過程が大変なのですから、製薬会社はある程度の規模がなければ新しい薬を作れません。

だから、製薬会社のM&Aは自然な流れなわけです。


登場する薬について少し解説を加えておきます。

カレトラはエイズの進行を抑えることができる薬です。
この薬が登場するまでエイズの患者は多量の薬を飲む必要がありました。また、副作用も激しかったので、エイズ患者の苦しみは大きなものでした。この状況をカレトラという薬が変えました。

セロクエルは精神分裂病(現在、この病気は統合失調症と呼ばれています)の治療薬ですが、この薬が統合失調症の患者さんのQOL(生命の質)を変えました。薬で病状をうまく抑えることができれば、統合失調症の主症状である幻覚に苦しむ患者が、普通の人とそう変わらない生活を送れるようになりました。

糖尿病は自分の膵臓から分泌されるはずであるインスリンを作ることができなくなる病気です。糖尿病患者の数は莫大ですが、ヒューマログという薬により自分で作ることができないインスリンを、自己注射で補ってあげることができます。

喘息の治療には気管支を拡張させる吸入薬とステロイドの吸入薬が使われますが、アドエアという薬はこれらの合剤で、これにより喘息患者は薬をとても使いやすくなりました。

レミケードはリウマチやクローン病の治療薬ですが、この薬は症状の原因になっている炎症を引き起こすTNF-αという物質を抑えるモノクローナル抗体で、これまで難病として症状を改善させることが難しかったリウマチやクローン病の症状を抑えることを可能にしました。

グリベックは慢性骨髄性白血病(血液の癌)の治癒に大きく貢献しました。本書にはこれにより恩恵を受けた患者の声も載っています。

リピトールは世界でもっとも売れている薬です。高脂血症の治療薬です。高脂血症は簡単に言うと、コレステロールが増加する病気です。高脂血症は心筋梗塞や脳梗塞の危険因子になるので、治療が必要です。リピトール以前にも高脂血症の治療薬はたくさんありましたが、リピトールが最もLDLコレステロールの値を下げることができるので広く使われています。


最後に、本書に出てきた薬は医学を劇的に進歩させたまさにMiracle Drugばかりですが、全ての患者に同じように効果を示すわけではなく、病状や患者個人により効果は変わることがあるということを付記しておきます。




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