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あれだけ熱を入れて紹介したのに結局使っているフリーソフトはEVERNOTEな件


05 30, 2009 | Tag,EVERNOTE,Dropbox,LiveDrive,LiveWriter,オンラインストレージ,フリーソフト,コンピュータ,IT

evernote3

以前の書評では大前研一さんの著書を紹介し、現代社会を生き抜くために必要な三種の神器ははIT、ファイナンス、英語だということを書きました。

この中で最もてっとりばやく向上させることができるのが「ITの力」でしょうか。「ITの力」って一体なんなのか?プログラムを書くこと?難しいコンピュータの知識を身につけること?

いや、そういうのはプロの人に任せておいて、個人でも身につけられるような、上手なパソコンの使い方を身につけることだと思います。

例えば、Microsoft Officeなんかを使いこなすこともそうでしょうし、Googleの検索を使いこなして知りたい情報に短時間でアクセスできるようになることもそうでしょう。


また、フリーソフトを使いこなすことも「ITの力」を向上させるポイントだと思います。

人間の記憶力には限りがあります。いつでもどこでも瞬時に蓄積した頭の中の情報にアクセスできればいいのですが、そうはいかないのが人間です。忘れることも人間の特技なのだから仕方ありません。

忘れることを前提で考えると、どこかに蓄積しておきたい知識は保存しておくことが大切でしょう。その点、パソコンはとても優秀です。パソコンの中にはたくさんの知識や情報を残しておくことができます。また、最近時々取り上げれるフリーソフトはウェブ上にどんどん情報を記憶させておくことができます。ほとんど無制限にそれが可能になっているのが最近のウェブの世界です。いわば外部脳をウェブ上に持つことができるのです。これは心強い。

ただ、問題が一つあります。パソコン上にしろ、ウェブ上にしろ、無秩序に情報を蓄積していくとせっかくの情報が無駄になってしまうからです。貯めた情報にすぐにアクセスできなければ、その情報は持ってなかったのと変わりがありません。

その点、優秀なフリーソフトがあります。「Evernote」です。

以前に紹介したこの手のツールでは他にもLiveDriveやDropbox、Windows Liveがあります。

LiveDriveはほとんど無限にファイルを保存できるオンラインストレージでした。少し使ってみましたが、無料お試し期間が終わるのと同時に使用しなくなりました。特に困っていません。

Dropbox はパソコン間でファイルを同期できるフリーソフトです。これがあると複数のパソコン間でファイルを共有できるので、ウェブ上のUSBメモリとも言える便利なソフトです。オンライン上に公開されることもありませんので、その点も安心です。複数台のパソコンを使っている人にとっては重宝するソフトでしょう。私もいまだに無料の範囲内で使っています。

Windows Liveのwriterというソフトにはローカルで書いたブログ記事を直接自分のブログにアップ出来てしまうという機能が魅力で使ってみました。ところがこのソフト、使用できるブログが限られているのです。Movable typeやWordpressなど海外のブログがほとんどで、日本のブログには対応していません。設定をいじれば使えるようになるみたい(Windows Live Writerをインストールしてみた)ですが、あまり便利ではありません。なので、今このソフトは使っていません。


結局いろいろ試して一番便利だと感じたのはEvernoteです。これは毎日のように使っています。ブログ記事を書くときにも使いますし、ちょっとしたメモを書くのにも使います。携帯メールを自分のEvernoteに飛ばすこともできます。Twitterからも飛ばせます。そして、すごく便利だと思うのが、タグによる整理ができることです。タグを使ってツリー形式にも分類できるのでタグが増えすぎてわけがわからない、という不便さも解消されています。この辺の整理術についてはこちら佐々木正吾のライフハック心理学:EVERNOTEの「NOTEBOOK」と「TAGに詳しく書いてあります。

難点は日本語のエディタとしては多少貧弱なところでしょうか。漢字に変換するとき、どこの分節で区切るかうまく表示されません。また、Evernoteには検索機能もついているのですが、せっかくの検索機能が英語にしか対応していないという残念な面もあります。

しかし、それを差し置いても便利なソフトだと思います。今はまだ無料の範囲内で使っていますが、いずれ画像をどんどん取り込むようになってきたら有料版にしてもいいかなと思っています。

みなさんもよろしければ是非。


関連書籍:
「知の衰退」からいかに脱出するか?「知の衰退」からいかに脱出するか?
(2009/01/23)
大前研一

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関連記事:
必要とされる人材になろう 【書評】「知の衰退」からいかに脱出するか?
LiveDriveとDropboxとEVERNOTEの使い分けについて


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2 CommentsPosted in 日記

メイキング・オブ・ピクサー


05 28, 2009 | Tag,会社,企業,映画

メイキング・オブ・ピクサー―創造力をつくった人々メイキング・オブ・ピクサー―創造力をつくった人々
(2009/03/20)
デイヴィッド A.プライス

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本書はピクサー映画ファンにとっては必見の本です。ピクサー誕生の話から、映画界で確固たる地位を築いた過程が詳しく書いてあります。

トイストーリーやバグズライフ、ファインディングニモと言えば、知らない人はいないほど有名な映画ですが、それぞれに共通するのはCG映画ということです。そう、ピクサーはCG映画の草分け的存在なのです。

バグズライフに対して、ドリームワークスの「アンツ」という昆虫CG映画がありました。両者の興行成績や評価は対照的なもので、バグズライフの圧倒的勝利という形で終わっています。

ピクサー映画のすごいところはそのCG技術にあることは言うまでもなく、その物語性にあるようです。事実、ピクサー映画に創業から関わっているジョン・ラセターは本書の中で物語としてのCG映画にこだわりを見せています。だから大人も楽しめる映画になっているのですね。

会社としてのピクサーは、信頼関係に基づく仲間文化の醸成すること、才能を稀有なものとして尊重し、逸材にできるだけ大きな裁量を与えること、コミュニケーションが活発な風通しの良い環境を作ることで会社としての創造性を維持しているようです。

急成長を遂げた会社にはそれなりの理由があるように思います。


忘れてはいけない、ピクサーの台頭にはあのスティーブ・ジョブズも深くかかわっています。彼の強烈なキャラクターがえぐいほど描かれている場面もあり、ジョブズファンにとっても興味深く読める内容になっていますよ。



無知から未知へ 「多読術」


05 25, 2009 | Tag,読書術,松岡正剛

読書家として有名な松岡正剛さんの本を読んで、思わず頷くとともに安心感を覚えたので記事にしておきます。


読書の醍醐味ってなんだろうか?

「無知から未知へ」これです。
わからないから読む。読書は、一冊の本に出会うことで、頭の中に存在していなかった概念に気づき、知らないことを発見する「旅」のようなものです。


読書している時って頭の中で何が起きてるんだろう?

書いてあることと頭の中で考えていることが混ざり合っています。文章との対話とも言えます。それはなんとなく言葉にならないような質感みたいなものかもしれません。この場合は本のレベルと自分のレベルが合っていない可能性があります。だからこそ、シントピックリーディングが有効なのです。いくつか同じ種類の本を続けて読むことで、レベルの差が埋まり、理解が深まります。読むスピードも速くなります。


かまえずに、自然に読書しよう

読書は大変な行為だ、とか読書は崇高な行為だ、とか思わないこと。
日本の学校教育では文章は一字一句丁寧に読むことで理解が深まる、と言わてきて深層心理に刷り込まれているこの考えを取り除く。読書はもっとカジュアルなもので、日々の着るものに近い気楽なものなのです。


鳥瞰力と微視力を使い分けよう

目次は絶対に読むこと。
これも色々な読書本で言われていることですね。目次を読んで本の中に書いてある内容を想像してみることが大切です。このプロセスは鳥瞰と言えるでしょう。それに対して微視力は文字を追っている時です。本を読むのが上手な人は鳥瞰と微視を行ったり来たり自在に操れます。


再読のススメ

本は二度読む。だから本はノートととらえ、どんどん書き込む。
何度も読んだ方が理解が深まるし、記憶に残る。このことは、最近のエントリーである読書スピードを上げるために最も大切な二つのこと 【書評】本がどんどん読める本 (05/21)とも関連します。

そういえば最近、再読をしていなかったなー、と反省。

多読術 (ちくまプリマー新書)多読術 (ちくまプリマー新書)
(2009/04/08)
松岡正剛

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著者サイト:松岡正剛の千夜千冊
↑既に千冊は超えていますが、多様な本がたくさん紹介してあるすごいサイトです。


また読書するのが楽しくなりそうです。




こういう読み方もある 「小説の読み方」


05 23, 2009 | Tag,小説,読書術

小説の読み方~感想が語れる着眼点~ (PHP新書)小説の読み方~感想が語れる着眼点~ (PHP新書)
(2009/03/14)
平野 啓一郎

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小説を読む時は情景を思い浮かべながら味わって読みたいという思いがあり、あまり速く読もうとはしません。どうして小説が娯楽として広く読まれているのか?それは、読者が没頭しやすいようなつくりになっているからでしょう。

本書では、そういった小説の工夫が書かれています。


例えば、登場人物に「ブルー」や「ブラック」といった色を表す名前が使われているだけで人物に対する印象が知らず知らずに刷り込まれている場合があります。

また、小説「蹴りたい背中」の一節

「もういい。脱いだ上履きをつかみ、体育館の出口に早足で向かった。」


では、体育館の外に出ていくというアクションによって、二人の場面から一人の場面に切り替わっていく様子が目に浮かぶように表現されています。


小説「ゴールデンスランバー」では、

「道の左右に並ぶ建物から、ぽつぽつと人が出てくる。視線を上げれば、窓から外を眺めている顔も多い。」


と、この文章では主人公が視線を上げるのと同時に、読者の視線を上げる役割も担っていることが分かります。これを読んで私もたしかに視線を上げた自分がいるのに気付きました。


漫然と読んでいてもおもしろいのが小説ですが、作品としての工夫を知るのもおもしろいなと思います。

読者を作品の中に簡単に引きこんでしまう小説が、いい小説だと思います。読者を引き込ませるために、読者も気付かないような、著者のさまざまな工夫がいい小説の中には織り込まれているのですね。

また、読者に作品の中のさまざまな工夫を意識させない作品こそ優れた小説なのだと思います。今度小説を読む時は、ただ読むだけではなく、著者の凝らした工夫にも注意しながら読んでみます。




読書スピードを上げるために最も大切な二つのこと 【書評】本がどんどん読める本


05 21, 2009 | Tag,フォトリーディング,読書術,速読

本がどんどん読める本 記憶が脳に定着する速習法! (講談社BIZ)本がどんどん読める本 記憶が脳に定着する速習法! (講談社BIZ)
(2009/04/07)
園 善博

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最も大切なこと、それは

  • 「その本を読む目的を明確にして、それを達成するための条件を整えるとともに、達成したいという欲求を強く持ち、うまくいった自分をイメージすること」
  • 「本の内容すべてを読もうとしない」

ことです。

なんとなくボーっと読んでいても読書スピードは上がりません。これだけでだいぶ違うはずです。


本書はこの原則にのっとって書かれた本で、具体的な構成は

  1. 本を読むとどんないいことがあるか
  2. どうやって読むか
  3. 本の選び方

となっています。

気になる「どうやって読むか」という点についてもう少し詳しく解説します。

まずは上に書いたように読む目的を明確にするところから始めます。どうして読みたいのか自分に問いかけてみるわけです。その本に教えてほしいことを質問にしておくといいでしょう。この時目次やまえがき、あとがきは本の中に書いてあることをイメージするのに役立ちますから必ず目を通しておきます。そして、読んだらどんないいことが起こりそうか具体的にイメージします。これをプリペアードマインドといいます。

準備ができたら質問に答えてくれそうな箇所を本をパラパラめくりながらざっと眺めます。これをスキミングリーディングと言います。特にここだ、と思う箇所があったら付箋かなんかを貼っておきましょう。こうしてなんとなく本全体の雰囲気をつかんでおきます。

次に付箋を貼った場所を重点的に読みます。これをターゲットリーディングと言います。ここまでで質問に対する回答が得られて満足出来たら本を閉じていったん読書終了です。

この本はもっと全文を読んで味わいたいなと思ったら、次のステップ、通読にうつりましょう。これをトレーシングリーディングと言います。

ここまでで出てきた3つのリーディング、これは順番を間違えないようにしましょうね。いきなりトレーシングリーディングすると普通の読み方になってしまいますから。

そうは言っても買った本はくまなく読まなければ、もとがとれないと思ってしまうのが人情。なんとかこの不合理な人情とおさらばするのが本を早く読むためのコツです。


本書の著者、園善博さんはもともとフォトリーディングの講師をやっていた人です。今は自分で主催してセミナーを開いているそうですが、フォトリーディングの講師をやっている時から大変な人気だったそうで、教え子の中には読書家で有名なあの勝間和代さんもいます。

フォトリーディングはラーニングストラテジー社の商品ですから、まるまる同じものを個人で商用に利用することはできません。なので、本書にはフォトリーディングのフォの字も出てきませんが、読んでみると本書の内容はフォトリーディングをシンプルにして重要なところをできるだけ噛み砕いたものになっていることが分かります。フォトリーディング本はフォトリーディングの受講者にとっては分かりやすくできていますが、受講したことのない人には内容が分かっても実践することは難しいものかもしれません。

本書に書いてあることは目の動かし方など特別な技術は一切必要ありません。だから、フォトリーディングに興味ある人やフォトリーディングに挫折した人はまずは本書を読んでみることをお勧めします。



心温まるビジネス書 【書評】日本でいちばん大切にしたい会社


05 19, 2009 | Tag,企業,感動

日本でいちばん大切にしたい会社日本でいちばん大切にしたい会社
(2008/03/21)
坂本 光司

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本書に登場する会社は決して上場企業並みに利益を上げていないものの、多くの従業員、そして顧客と地域社会を幸せにしている会社です。

読んでいるとビジネス書なのに、目頭が熱くなる個所が出てきます。会社は儲けるためだけに存在するのではないんだ、と思いました。


規模を追求していくと本書に登場する会社のような理念は次第におざなりにならざるを得ないのかもしれません。しかし、会社本来の存在価値は本を儲けの仕組みは本書で紹介されている小さな企業のシンプルな原則にあるような気がします。


本書で登場する大切にしたい会社は5社です。チョークを作っている会社や寒天を作っている会社、義肢装具を作っている会社にフルーツを売っている会社、お菓子を作っている会社です。

いずれの会社も景気に左右されず収益を上げているのですが、これらの会社には共通点があるようです。

  1. 社員とその家族を幸せにする
    まず初めにこれです。顧客や株主の幸せじゃないんですね。

  2. 外注先・下請け企業の社員を幸せにする
    下請け企業の業績は自社の業績と直結すると考えます。

  3. 顧客を幸せにする
    顧客が3番目です。

  4. 地域社会を幸せにし、活性化させる
    地域に愛される会社は顧客にも愛されます。このような会社なら株主はその会社の株を保有していることで間接的に地域社会に貢献することができます。

  5. 自然に生まれる株主の幸せ
    最後が株主です。


初めに社員の幸せがくるのは実は当たり前のことなのかもしれません。社員が幸せを感じていれば、仕事には一生懸命打ち込むでしょうし、そうすれば生産性もあがるはずです。業績が悪いからといって真っ先に従業員のクビを切るようでは順番が違うだろうということです。

社員の幸せが一番であるなら身の丈に合わない設備投資や身内優先の公私混同経営はあり得ないでしょうし、社員のクビを切る前に経営者や取締役の給与を優先的にカットすべきでしょう。

社会への貢献としてはここに登場するある会社は従業員の70%が身体障害者だそうです。彼らは社会的弱者としていつも守られている立場にあったわけですが、この会社に雇用され、働くことで生きがいを見つけるわけです。人間だれしも自分だけの幸せでは満足できないように思います。大なり小なり誰かの役に立っていると実感することで幸せを感じるのではないでしょうか。これは健常者に限ったことではなく、身体障害者にも言えることでしょう。だから、彼らに生きている実感を与えている会社というのは素晴らしい取り組みをしていると言えると思います。

「企業は社会みんなのものである」



本書はこのことが身にしみてわかる良書です。





必要とされる人材になろう 【書評】「知の衰退」からいかに脱出するか?


05 17, 2009 | Tag,読書,勉強,自己啓発,大前研一

「知の衰退」からいかに脱出するか?「知の衰退」からいかに脱出するか?
(2009/01/23)
大前研一

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  • 「納豆がダイエットにいい」と報道されると即座に納豆に食いつく日本人

  • 中国産の冷凍ギョウザに毒性農薬が検出されると、ろくに検証もせずに中国産食材が食卓やスーパーから消えてしまう日本の現象

  • 貯蓄が好きな日本人

  • B層と呼ばれ、派手な首相のパフォーマンスやメディアの扇動に踊らされる日本人

本書で大前研一さんは、このような日本人が自分でモノを考える力が低下していることを危惧しています。舌鋒鋭く、いずれの指摘も説得力のあるもので、私も少なからず危機意識を持ちました。


メディアで報道される内容は常に正しいとは限りません。一つの事実を部分的に拡大して報道したり、特定の人に都合の悪い事実はあえて報道されないこともあります。偏った見解が堂々と報道されている場合もあります。テレビでは時々実感することかもしれませんが、新聞もそうで、新聞社ですら既存の既得権益に汚染されている可能性があるといいます。このため、大前さんは既に新聞の購読をやめたそうです。その代りインターネットのRSSを利用してたくさんの情報を収集し、その中から取捨選択して情報の妥当性を吟味した後、ストックしておくそうです。


こういった状況の中で大切になるのが「自分で考える力」です。



「考える力」を養うために有効な一つの手段として読書が紹介されています。

大前さんが強調しているのは本を読むのに必要とした時間を1とすれば、5ぐらいの時間を「何が書いてあったのか?」「ようするにこれってどういうことなんだ?」「それは自分にとってどういう意味があるのか?」と、とにかく考える時間に充てることです。

たしかに、本を読むことは、読むこと自体が目的となってしまって、後に何も残らないということが起こりがちなので要注意ですよね。



考える力はどんな時にも役立つ基礎力になりますが、もっと具体的に、この時代に身につけておくべきものは何かというと、「英語」・「ファイナンス」・「IT(それを駆使した論理思考、問題解決法を含む)」だそうです。これを三種の神器と言います。

グローバル化された今の世の中では英語が出来なければ生き残れない。タンス預金ではなく、株式投資を含めた資産運用法など、ファイナンスの知識がなければ個人がより豊かになることも日本の経済が活性化することもない。これだけ様々な情報にアクセスできる世の中になっているのに、これにアクセスする方法を知らなかったり、必要な情報に検索してもたどりつけないようではITの機能を活かしきれていない。

だから、個人が力をつけるためにはまず、これら三種の神器を身につける必要があるというわけです。



ぼーっとしていると何も考えずに与えられた情報に流されがちです。私も手にした情報はいったん内容を吟味してから飲み込むように意識していきたいと思います。



A層:財界勝ち組企業・大学教授・マスメディア・都市部ホワイトカラー
B層:「主婦層&子供を中心」「シルバー層」「具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層」
C層:構造改革抵抗守旧派
(竹中平蔵経済財政大臣(当時)が起用した有限会社スリードという広告代理店が作成した資料による)





ニッチを極める 【書評】俺は、中小企業のおやじ


05 15, 2009 | Tag,伝記,経営者

俺は、中小企業のおやじ俺は、中小企業のおやじ
(2009/02/24)
鈴木 修

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自動車メーカー「スズキ」の社長兼会長である鈴木修さんの話です。

著者の鈴木修さんは、自動車メーカーとしては当時小さな規模だった「スズキ」という会社を世界に通じるメーカーに育て上げた立役者です。軽自動車や1000ccクラスの小型車という当時の自動車産業としてはニッチな分野でトップを極めたことが成功の要因のようです。

これは平成20年度の軽自動車を含む自動車販売台数ですが、これを見ると販売台数一位はスズキのワゴンRであることが分かります。

自動車販売台数


スズキは新車開発にあたり、過去に「アルト」、「ジムニー」、「ワゴンR」などのヒット作があり、これが業績向上の牽引役になったようです。

また、トヨタや日産、ホンダが得意とする中~高価格帯での自動車販売で勝負したのではなく、徹底したコスト削減と低価格帯にこだわった自動車(軽自動車や小型車)開発に力を注いできたことが特筆に値します。

これにより、日本国内の新たなブルーオーシャンだけではなく、海外でもブルーオーシャンを開拓しました。海外では、スズキのインドでの販売台数が象徴的だと思います。新興国で自動車の需要が増えることは誰もが予想できたことかもしれませんが、インドではスズキの低価格帯の自動車がうけました。高級車を買うことができる富裕層をターゲットにするよりも、数で勝る低~中流階級が欲する自動車を買いやすい価格で作ることが、新興国で自動車を売るための一つの秘訣だったのでしょう。

インドのタタ自動車では最近「ナノ」という30万円以下で買える車が発売され、好調なようですが、これは今までスズキがやってきたことさらに突き詰めたもののように思います。

ナノ


パソコンなんかもそうだと思いますが、モノの価格破壊が進んでいて消費者として嬉しい反面、モノの資産価値が10年後にはどうなっているか分からない混迷した世の中とも言えるのかもしれません。



ドラッカーが認めた日本人 【書評】「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真


05 13, 2009 | Tag,伝記,偉人,経営者

「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真
(2008/11/08)
湯谷 昇羊

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オムロンの創業者立石一真さんの話です。

ピーター・F・ドラッカーさんは「技術において世界的なリーダーになっただけでなく、その才能、人間性、博識、そしてビジョンにおいて優れていた」と言い、大前研一さんは「これまで300人以上の経営者と会ってきたが、こんな経営者はいない。松下幸之助や盛田昭夫に匹敵する経営者だった」と言っています。

本書を読むと立石一真さんの人となりと彼が作ったオムロンという会社のことが分かります。


オムロンの前身である立石電機が開発してきたものにはマイクロスイッチや電流制御機、自動券売機、交通管制システム、CDやATMなどがあります。立石電気の発展は決して順風満帆だったわけではなく、さまざまな障害を乗り越えてきました。本書の読みどころはこれらうまくいった製品の開発秘話以外にも、失敗に終わった電卓開発の話などにもあると思います。

製品開発以外の話では、立石さんの決して恵まれなかった生い立ちや苦学された様子、愛するものを失う悲しみに耐えながらも前向きに経営にかかわっていく点も感情移入しながら読めました。

企業経営の面では分権経営のプロデューサーシステム、大企業病などについて書かれています。立石さんの子供ぐらいの年齢である大前研一さんに積極的にアドバイスを求める姿などは本気で経営のことを考えている経営者は年齢や立場など関係なく、適切なアドバイスをくれるパートナーを大切にするのだということが分かります。

他の功績に障害者雇用があります。立石さんは、オムロン太陽という会社を作り、障害者でも持っている機能をうまく利用すれば利益を上げる仕組みができることを証明しました。前例のない試みを成功させた点でその貢献度は大きく、のちにソニーやホンダなど他の企業がこれを見習っています。当事者からすると「身障者は税金を使うばかりの立場だったけど、労働者として税金を納める立場にまわることができた。」と本当に喜んでいたそうです。


いくつかの心に残った立石さんの言葉を残しておきます。


「経営者の最大の仕事は、次の時代がどのような時代になるかいち早く予測して、その時代に対応した製品を開発することだ」

立石さんが日本電産の創業者永守重信さんに贈った言葉。
「失敗は島と同じや。わしらの乗ってるのは大きな船やない。小さなボートや。だからいっきに向こう岸には行かれへん。島によりながらやないと向こう側には行かれへんのや。失敗の基盤が次の発展のタネになる。それでないと成功はない。野球だって三打数一安打で名選手なんやろ」

「最もよく人を幸福にするものが最もよく幸福になる」



どんな仕事をしていても社会のニーズにこたえるその時代時代に合った新しい技術を創造するのは大切なことなんですね。

貧困対策の切り札となりうるか 【書評】ベーシック・インカム入門


05 11, 2009 | Tag,ベーシックインカム,経済,貧困

ベーシック・インカム入門 (光文社新書)ベーシック・インカム入門 (光文社新書)
(2009/02/17)
山森亮

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本書はときどき話題にのぼるベーシックインカムについて解説した本です。

ベーシックインカムとは所得に関係なく、国民一人一人に決まったお金を給付するものです。そして、医療や教育、介護、保育、住居などにかかるお金もほぼタダです。

この制度のいい点はどんな人でもどうしようもない貧困に陥ることが少なくなる点でしょう。最低限のお金や福祉は国から与えられるのですから。

日本にはセーフティネットとして生活保護という制度がありますが、この制度の最大の問題点は現状では保護が必要な5人のうち1人しか保護が受けられていないことです。十分なセーフティネットを行き渡らせるなら、予算も5倍必要ということです。

過去にはアメリカ、イギリス、イタリアで女性を中心としたベーシックインカムの元になるような運動はありました。女性を中心とした、というのには意味があって、女性の家事が労働として認められず、労働の対価として報酬を得られないこと問題だという意見が出てきたのです。著明なところでいくと、過去にはキング牧師やその他のノーベル経済学賞受賞者のミルトン・フリードマンさんやジョージ・スティグラーさんなどもベーシックインカムという制度を支持していたようです。



このベーシックインカムという制度、いいことづくめなような気がしますが、問題点もあります。


1.国民が働かなくなるのではないか?
2.ベーシックインカムの財源は?


1.国民が働かなくなるのではないか?
これに対しては負の所得税という制度を反論に用いています。「負の所得税」というのは一定の基準に満たない所得の人が逆に所得税をもらえるというものです。これなら働いていないと給付をもらえません。この制度のもとではセーフティネットから漏れ落ちてしまう人は助けることができそうです。

働かなくなるのでは?という疑問以前に、現在の労働環境では人は「働きすぎ」ではないのか?という意見もあります。つまり、労働はどんどん効率的になっているのに、はじめに労働ありきなので不要な労働を生み出している可能性があるということです。雇用を前提とした既存の福祉国家の仕組み(保険・保護モデル)は立ち行かなくなってきているという意見です。


2.ベーシックインカムの財源は?
国会の会期が延長されても、あるいは国会を解散して総選挙をやっても、銀行に公的資金を注入しても、年金記録を照合するのにも全てお金がかかります。なのに、特定の話題のみ財源の問題が取りざたされるのはおかしいのではないかというのが本書の主張です。たしかにベーシックインカムが導入されれば社会保険庁などはいらなくなるので、そこから財源を確保できるでしょうし、後世に残しておく財産が必要なくなるので、相続税が100%となり、眠っている国内の資産がベーシックインカムの財源として有効に活用できるかもしれません。



「働かざる者食うべからず」という文化が浸透している日本ではまだまだこのベーシックインカムという制度には馴染めないかもしれません。その原因の一つにすべての人に一律に給付する、という点があるように思います。給付の条件には一定の基準を設けていいのかもしれません。例えば疾病や怪我で労働不能になった人、障害をもって労働不能の人、子供の養育や高齢者の介護にあたっている人などは給付を受けてもいいのではないかと思います。「衣食足りて礼節を知る」という言葉もあります。稼ぎたい人はどんどん稼げばいいわけで、どうしても稼げない人には最低限の生活の保障をしてもいいのではないでしょうか。


今回のベーシックインカムの話は多くの既得権益とぶつかる可能性があり、容易には実現しないような気がします。しかし、実現した世界を想像するとそう悪くないような気もします。個人の創造力には限界があるのでなんとも言えない面もありますが。





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創造力を養うために、まずこの本を読んで「アイデア筋トレ」始めてみては? 【書評】アイデアパーソン入門


05 09, 2009 | Tag,知的創造,創造,アイデア

アイデアパーソン入門 (講談社BIZ)アイデアパーソン入門 (講談社BIZ)
(2009/01/08)
加藤 昌治

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「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせにしか過ぎない」というのはジェームス・ウェブ・ヤングさんの言葉ですが、この言葉は本書の特徴を端的に表しています。

アイデアを生み出すために必要なのは突出した才能ではなく、直接的な体験や読書や映画などの間接的な体験、知識を組み合わせて、それを一つ上の階層に引き上げるということです。一回のひらめきよりは普段の訓練からいいアイデアが生まれるのです。



まずはアイデアのもとになる要素を蓄える必要があります。

私たちが普段からできることが

「ぶつかる」「押さえる」「ほる」

です。例えば、


○○文学賞決定のニュースをテレで見る。 (ぶつかる)

迷ったものの、素直に受賞作を買って読む。(押さえる)

止まらずに一気読み。過去の作品含めて大人買い。(ほる)




この3つの動機になるのが自分の持っている「好奇心」です。目にしたものをおもしろいと感じるか、もっと知りたいと感じるかで創造のもとになるものを手に入れられるかが違ってきます。カラーバス効果という言葉がありますが、それです。

こうやって創造力のもとを蓄積しておくことがアイデア発想の手がかりになります。何もないところからは何も生まれないのです。



実際にアイデアを広げていくための2技

1.分解
2.ずらし

居酒屋で、高級日本酒専用グラス別料金セット商品にする



例えばこの文章。下線のように分解してみます。

次はオズボーンのチェックリストというのを使って一つ一つの単語から連想ゲームのような感じでいくつもバリエーションを作っていきます。

オズボーンのチェックリスト
1.転用
2.応用
3.変更
4.拡大
5.縮小
6.代用
7.置換
8.逆転
9.結合



居酒屋という言葉なら、スーパーや焼き肉屋や焼鳥屋、ハンバーガー店、ドライブスルー、などに転用、変更してみたり。

高級日本酒という言葉なら高級ウイスキー、高級焼酎、店にある全部の酒、などに変更、代用してみたり。

専用グラスという言葉なら持ち込みマイグラスなどに代用してみたり。


このようにチェックリストをヒントに発想を広げていきます。ここで出てきた言葉は紙に書き出すことが重要です。著者の加藤さんもメモをとりまくることの重要性を強調していました。この時、アイデアの完成度は全く気にしないようにしましょう。アイデアをもうワンランクアップさせるのはまた別の工程になります。


アイデア創出の過程で一番難しいのは、アイデアの原石というか、もとになる手がかりを生み出すことだと思います。本書はそのヒントになる一冊だと思います。




世間を騒がしている「インフルエンザ」について


05 07, 2009 | Tag,インフルエンザ,医療,コラム



成田空港で若い女性がインフルエンザ疑い報道された時、横浜で高校生がインフルエンザ疑いと報道された時、マスコミが大々的に報道するのはもし彼らが感染した場合、不特定多数の接触者にもインフルエンザを感染させる可能性があるからです。

インフルエンザで怖いのは高齢者や子供など感染した場合。通常の免疫力を持った大人が感染する場合と違ってインフルエンザそのもので全身状態が悪くなったり、インフルエンザを契機に肺炎になったりして死につながる可能性があります。

これだけパンデミックを恐れるのにはこういう理由があります。



ここから上に挙げた都内の病院での発熱患者の診察拒否の話です。

病院には当たり前ですが、発熱患者以外にも健康な成人と違って免疫力が低下した患者がたくさんいます。

病院を受診する発熱患者のほとんどは新型インフルエンザではないのでしょうが、もし新型インフルエンザだった場合どうなるでしょう?

重症化しやすい患者がもっとも多い場所に、新型インフルエンザの可能性がある患者が受診することはかなり危険なことだというのは容易に想像できます。

好意的に見れば診察を拒否した病院の多くはこのような最悪の事態を想定していたのでしょう。発熱外来を設置するにはマンパワーが足りないという苦しい台所事情もあったのだろうと思います。



だから、私たちは海外渡航歴があったり、少しでも新型インフルエンザかな?と思ったらまずは病院に行くのではなく、厚生労働省の電話相談窓口や最寄りの保健所に相談すべきです。

もう一つはいくつかの病院に設置されている発熱外来を受診するべきです。発熱専門の外来であれば、他の患者と接触しないように配慮されているでしょうから。


新型インフルエンザを含めてインフルエンザは得体の知れない感染症ではありません。正しい知識を持って行動することが必要だと思います。


厚生労働省のホームページにあるこのインフルエンザQ&Aが分かりやすかったですよ。




日本の医療が迷走しないために 


05 05, 2009 | Tag,医療,医療費,医療経済学

医療費高騰の原因は「医療技術の進歩」だということ、一生のうち、お金が最もかかるのは急性期医療だが、早死にする人も長生きする人もかかっている医療費総額は変わらない、ということが分かっています。


医療費を削減するためにはどのような方向に向かっていけばよいのか?


答えはないのですが、間違った方向に歩きださないようにするためにはどうすればよいかについて5つ考えていきたいと思います。



1.米国を見習って在院日数を短くしようとするのは間違っている。

SNF(Skilled Nursed Facility)という仕組みが米国にはあります。これは急性期病院を退院した後に患者さんが行く病院ですが、実際にはここでも日本の急性期病院で行われている医療行為が行われているのです。しかしSNFでの入院は急性期病院での入院日数には含まれません。つまり、米国の入院日数が短くみえるのは統計上の数字のトリックだということが分かります。
また、日帰り手術が多くなったことで今度は入院ではなく外来での医療費が大きくなっています。結局入院日数の短縮は全体の医療費抑制に効果を上げていないのです。



2.予防医療は医療費を高騰させる。

予防医療で費用対効果を認められているのは予防接種や新生児スクリーニングくらいで、癌などの早期発見早期治療は医療費抑制に効果をもたない、という研究結果があります。
病気が末期になるまで発見されなかったらそれだけ急性期医療での費用がかかるわけですが、そういう人たちは人生を短い期間でまっとうすることになり、一生のうちにかかった医療費は削減されることになります。タバコもそうです。喫煙を励行すれば肺がんなどで早死にする危険は高まりますが、そのおかげで医療費は節約することができます。ここでの議論はあまり意味をなさないものだと思いますが、癌検診などを一切やらない、喫煙を励行するなどの政策は医療費削減という点だけみると有効だということです。しかし、これは国民のQOL(生命の質)を保つ上では賛同できませんよね。



3.医療は民営化すべきではない。保険にしろ病院にしろ。

営利企業が市場に参入することで価格競争が促進され、経営効率が改善し、コストが抑制されるうえ医療の質が向上する、という説がまことしやかに言われていますが、米国において「競争」を通じてコスト抑制につながったという研究結果は実際にはありません。むしろ多数の医療機関がたとえば有名な医師を高額な報酬で招く、待合室の内装を豪華にする、高額な検査機器を多く導入するなどして、コスト上昇につながる可能性が高いと言われています。



4.診療報酬引き下げは医療費を高騰させる。

診療報酬の引き下げはコスト抑制に役立たないばかりか、資源の浪費とコスト上昇にすらつながることは先進諸国の過去に経験済みです。これは報酬引き下げに対し、医師がその専門知識を最大限に利用し巧妙な誘発需要を引き起こす可能性が高くなるからだそうです。



5.意外とうまくいっている日本の医療制度。

日本の医療費はG7中6位。GDP比で8%(2001年)。米国では13.1%(2001年)というデータがあります。ちょっと古いですが、これを見るとまだまだ政府予算のうち医療費にあてる割合を多くしてもいいのではないかと思ってしまいますね。

医療費の総額規制(Global budget) 保険機関から医療機関に支払う額の総額に上限を設定すること。これは良い方法のようです。日本は「レセプト」に応じて保険機関から病院側がお金を受け取る仕組みですので、この方法に則っています。イギリスはさらに進んでいて専門医を受診するためには必ず家庭医を受診しなければならず、家庭医がゲートキーパーの役割をはたしています。医療費抑制の面で優秀なイギリスの家庭医制度ですが、この仕組みのおかげで必要な治療(手術など)をすぐに受けられなくなっているという残念な面もあります。



日本の医療が迷走しないためには、これら医療経済学の知見が役立ちますね。

Inspired by
「改革」のための医療経済学「改革」のための医療経済学
(2006/07)
兪 炳匡

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医療保険(民間)は本当に必要か?


05 03, 2009 | Tag,保険,医療保険,生命保険,FP,コラム

生命保険と一緒に抱き合わせのような形で、どの会社でも販売されている民間の「医療保険」というものがあります。入院日額1万円、最大入院期間60日間保障、とかいうアレです。

誰でも病気になるリスクはあります。予想もしない形で自分の身に降りかかってくるのが病気というものです。分別のある人ほど将来のリスクに備えて医療保険に加入しているのではないでしょうか。



しかし、今のところ多くの保険会社で発売されている医療保険は必要ないと思います。

 
理由は2つあります。「高額療養費制度」と「在院日数の短縮化」です。


日本には「高額療養費制度」というのがあります。病院でかかった治療費や入院費の自己負担額には上限が設けられていて、それを超えた額は返金される仕組みです。

例えば、

標準報酬月額が53万円未満の70歳未満の人が、同一の1ヶ月間に同一医療機関の支払った医療費総額(10割相当)が500,000円だった場合。

自己負担額上限が
(500,000円-267,000円)×1% +80,100円=82,430円 (こういう計算式があります。)

病院で払ったお金(3割負担の場合)
500,000円×30%=150,000円
となりますので、

高額医療費として返還されるお金は
150,000円-82,430円=67,570円


計67570円のキャッシュバックです。この場合はどんなに医療費がかかっても自己負担は82430円でいいのです。だから払いすぎた分は返還されます。


さらに、民間の医療保険に入らない方がいいというもう一つの理由は、「入院日数の短縮化」です。昨今の病院の経営事情を考えると、病院には余計に患者さんを入院させておく余裕はありません。入院日数が長引けば長引くほど診療報酬点数が下げられているので、入院にかかる費用は病院もちになってしまうのです。だからどこの科でも入院日数はできるだけ短くし、赤字を減らすように努力しています。

ということは、民間の医療保険がうたっている入院30日保障、や60日保障というのは意味がなくなります。退院して外来通院になったら保険は支払われなくなるのですから。

30歳男性が医療保険で人気のSBIアクサ生命に加入したとします。月額1600円で、入院給付金日額10000円もらえます。支払う保険料を考えてみると、月1600円だから1年間で約20000円、これが10年間だと20万円です。この間に1回入院したとすると、入院2週間で受け取れる給付額は10000円×14日間で14万円です。支払った保険料の方が多くなりますね。


一方、保険の魅力は保険加入3年後とか早い時期にも入院することになったら給付金がもらえることです。これを除けば自分でお金を貯めていった方が保険会社にお金を払い続けるより得です。自分でお金を貯めるのがどうしても苦手な人は保険会社を利用するのもあアリです。また、入院した時には個室の部屋がいいという希望があったりする場合も医療保険があると助かます。


再び今回の結論ですが、自分でお金を貯められる人は民間の医療保険は加入する必要はないと思います。

念を押しておきますが、備えがいらないという意味ではないですよ。民間の医療保険を頼る必要がないのでは、という話です。浮いたお金があるなら貯金をしましょう。病気というリスクは誰にでもあるのですから。


そうそう、家族を持っている人なら生命保険は入っておいた方がいいと思いますよ。

生命保険、私のオススメはココ▼
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医療費高騰の真犯人は? 【書評】「改革」のための医療経済学


05 01, 2009 | Tag,医療,医療費,医療経済学

「改革」のための医療経済学「改革」のための医療経済学
(2006/07)
兪 炳匡

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驚きました。医療問題の本質が全く分かっていなかった自分に。しかし、これは多くの日本人も勘違いしているところではないでしょうか。なぜなら報道されている医療関係のニュースですらことの本質を見抜いてないのですから。


例えば「医療費高騰の原因は人口の高齢化が問題である」という説。

本書では医療費高騰の本当の原因は人口の高齢化が問題であるということをこれまでに発表されている論文から反論しています。一見正しそうに見えるこの説も、間違いであることが示されています。


このように、「医療において希少な資源・財・サービスを、競合する目的のために配分・選択する仕方を研究する」のが医療経済学です。お金儲けや会計、経営とは別分野の学問であることを認識しておく必要があります。

医療費など、お金の話が多く出てくるのは医療という社会全体の一分野を、社会全体の中で貨幣という価値を用いて最適に配分する必要があるからです。


本書の著者、兪 炳匡さんは日本で臨床研修を行った後、ハーバード大学など米国の大学で医療経済を学んだあと、現在も米国で研究、教鞭をとられている方です。


疑われた5要因
1.人口の高齢化
2.医療保険制度の普及
3.国民所得の上昇
4.医師供給数増加
5.医療分野と産業における生産性上昇率の格差


1.人口の高齢化

米国では65歳以上の人口の割合が8%(1950年)から12%(1987年)に上昇した期間に医療費が425%上昇したのに対して、人口の高齢化は15%寄与しました。このことは人口の高齢化の寄与率が、医療費の総上昇率のうちわずか30分の1(3.5%)であったことを示しています。


2.医療保険制度の普及

米国で公的・私的を含めた医療保険制度が普及した結果、患者の窓口負担が平均値で67%(1950年)から27%(1980年)に低下しました。この負担率の低下とランド(RAND)医療保険研究の研究成果である価格弾力性をもとに、医療需要は50%上昇したと算出されました。同じ期間に医療費は290%上昇しているので、医療保険制度の寄与率は約17%になります。
(価格弾力性の説明は省略)


3.国民所得の上昇

1940年から1990年までの期間に、米国の実質国民所得は180%上昇しました。また、過去の実証的研究の結果をもとに所得弾力性を0.2~0.4%と仮定すると、国民所得上昇は医療費を35~70%上昇させたと算出できます。この期間の米国の総医療費は780%上昇しているので、国民所得上昇の寄与率は約22分の1~11分の1になります。
(所得弾力性の説明は省略)


4.医師供給数増加

10年ごとの医療費の変化率と医師供給数の変化率の相関関係をみると、経時的に一定な相関関係は認められなかったと示している論文があります。つまり、10年ごとで見ると、医療費が増えている時期と医師供給数が増えている時期に違いがあったということです。


5.医療分野と産業における生産性上昇率の格差

医療分野の生産性の上昇がその他の産業分野より低い場合、相対的に医療分野の価格は上昇します。生産性の測定の例として、高血圧の患者さんの収縮期血圧を120mmHgに維持するのに必要な人的資源・医療資源が、過去30年にどう変化したかを測定したものがあります。これに比べると、理容店や美容室で一人の髪を切るために必要な時間はほとんど変化しておらず、よって医療の生産性が上昇しているのは明白だと述べている論文があります。



いずれもこれまでの研究結果をもとに書かれているので、信頼性はあると思います。


これらを踏まえて医療費高騰の本当の原因は「医療技術の進歩」という結果が出ています。つまり、急性期医療で行われる医療行為が医療費高騰を招いているということです。


意外でした。個人的には特に1の人口の高齢化と4の医師供給数の増加が、全体の医療費増大にそんなには寄与していないということが驚きでした。つい最近まで医師は供給過多だからといって医学部の定員を減らすような政策を作っていた厚生労働省はなんだったのでしょうか。



日本で医療経済学が盛んでない原因の一つに研究に必要な自治体や国レベルでの大規模なデータが入手しづらいことが関係しているようです。著者の兪 炳匡さんが現在も米国で米国のデータを使って研究されているのは、日本では研究材料が入手しにくいことが関係しているのかもしれません。

学問としては社会に貢献できるような結果を残せるほうが魅力的でしょうから米国で研究を続けているとのにも納得できます。

最近、日本ではDPCという包括医療制度が普及してきています。これにより患者や医療行為、病院経営についての現状が数字として把握されればもっと日本でも医療経済学が広まるかもしれません。


【関連記事】
医療経営学
このエントリの在院日数短縮に関する記載はいまひとつ的外れということになってしまいました・・・。




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