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「伝わる・揺さぶる!文章を書く」


03 30, 2010 | Tag,文章力

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)
本書は実用的で小手先の技術にこだわらない「文章力」が学べる一冊です。
著者の山田ズーニーさんは進研ゼミの通信教育で小論文の先生を長く勤めていた方です。私も進研ゼミにはお世話になっている時期がありました。本書では受験用の小論文にとどまらず、ビジネスに役立つ文書の書き方とか、もちろんブログの書き方としても参考になる部分がありました。

その山田さん、現在はほぼ日刊イトイ新聞 - おとなの小論文教室。でも執筆されています。


文章を書く技術が訓練によって向上するなら、まず最初に「空手の型」のようなものを身につけるのが近道でしょう。いわば文章のテンプレートです。

本書の最後の方には「上司を説得する」、「お願いの文章を書く」、「志望理由を書く」、「お詫びをする」、「メールを書く」などの状況に応じた書き方のお手本が解説付きで載っています。最初のうちはこれをテンプレートとしてそのまま利用するのがいいんだと思います。

本書の内容を私が勝手にまとめた部分もありますが、
例えば上司を説得するために使うテンプレートは

「議論するための文章テンプレート」
  1. 論点
  2. 論拠
  3. 予想される反論
  4. 再反論
  5. 再反論の論拠
  6. 意見
を使うといいのだと思います。

「議論するための文章テンプレート」はブログで何かに対して意見を書くときなんかにも使えますよね。そうした方が相手にとってわかりやすい文書となるはずです。論拠をあげる時には
  • 自分の体験・見聞を洗い出す
  • 必要な基礎知識を調べる
  • 具体的事例を見る
  • 別の立場から見る
  • 海外と比較して見る
  • 歴史をおさえる
  • スペシャリストの視点を知る
といった多角的な視点を持つとよいと思います。


もう一つ、原稿や講演を依頼するときなら、

「依頼文のテンプレート」
  1. 挨拶
  2. 自己紹介(私はどういうものか?)
  3. 志(私、私たちは何を目指しているか?)
  4. 依頼内容(何をお願いしたいか?)
  5. 依頼理由(なぜ、あなたにお願いする必要があるのか?)
  6. 条件(期日、謝礼などは?)
  7. 返事を伺う方法、締めの言葉等
と7段階で書くとよさそうです。


文章の書き方と言っても抽象化された言葉だと非常に分かりにくいです。本書はその点で気が利いています。4月から仕事を始めるフレッシュマンなら、読んだ後、すぐに真似して使えるのではないかと思います。

わかりやすい文書を書く、伝わる、揺さぶる文章を書くというのは私にとっての課題でもあります。さっそく型を身につけるための反復練習をしてみようと思います。

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)
(2001/11)
山田 ズーニー

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雑食になろう


02 21, 2010 | Tag,文章力

ブログなんかを続けていると、新たなテーマで書いてみたくなる時がある。

でも新しいテーマを見つけるのは難しい。自分が興味あるものでないといけないから。

このブログでは本について書くことや時々医療のことについて思ったことを書いたりしている。趣味のこととか仕事のことを中心に書いているわけだ。

さらにテーマの幅を広げようと思ったら今までのような情報収集のしかたでは足りないんだと思う。


これは一つのヒントだと思った。
活字にこだわらない。映画でも芝居でも絵画でも、音楽でも、あらゆる表現ジャンルで自分が興味をもったものにどんどん接していく。それから、自分の関心とははずれていても、世評の高いものに触れてみる。すると、いつの間にか自分の中に貯水池のようなものができあがっているのに気づくだろう。貯水池にだんだん水が貯まっていき、あふれ出たものが、自分のテーマなり、自分の表現なりになる。

食わず嫌いはもったいない。

いろんないいものに触れていると、インスピレーションが湧いてくるというのもあると思うし、興味の対象も連鎖反応のように広がるとも思う。

本にこだわらず、いろんないいものを見つけに行こうと思った。まずは映画かな。


調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)
(2008/04/18)
野村 進

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書きはじめの一歩 「調べる技術・書く技術」 


12 21, 2009 | Tag,文章力,ペンシャープナー

作家が書き始めようとする時、モチベーションや集中力を高めるために読む文章、それが「ペンシャープナー」です。

この単語すごく気に入りました。

ノンフィクション作家野村進さんのペンシャープナーはコレ

毎日書くのだ。書けるときに書き、書けないときに休むのではない。書けないと思うときにも、机の前に座るのだ。すると、ついさっきまで、今日は一字も書けない、と思ったはずなのに、ほんの少し、行く手が見えるような気がするから不思議である。書くことが大切なのではない。机の前に座ることが大切なのである。自分をだますことだ。自分は書ける、と思うことだ。
「私の文章修業」宇野千代


私にとってのペンシャープナーを考えてみると、村上春樹さんの作品のような気がします。最近だと走ることについて語るときに僕の語ることとか。たとえブログだとしても文章作りのモチベーションを上げてくれたのを覚えています。

今後、新しくいい文章に出会ったらペンシャープナーとして大事にその文章を取っておこうと思います。


調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)
(2008/04/18)
野村 進

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走ることについて語るときに僕の語ること走ることについて語るときに僕の語ること
(2007/10/12)
村上 春樹

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小説家はいかにして書き続けるか 「走ることについて語るときに僕の語ること」


12 09, 2009 | Tag,村上春樹,小説,文章力,エッセイ

走ることについて語るときに僕の語ること 
「走ること」と「小説を書くこと」のリンクの仕方に驚いた。それと、小説家に必要な資質や村上春樹さんがどのように執筆活動をおこなっているか、また、彼のライフスタイルなどが小説家ではない僕でも参考になった。



この本は小説家村上春樹さんの個人的な趣味である「走ること」についてつづった本だ。

僕は村上作品のほとんどが好きだ。彼が描く独特の世界観と一度は感じたことがあるような甘酸っぱい恋愛感情を呼び起こしてくれるから。彼の作品を読むと、見えている世界が読む前とはまるで別世界のように感じることがある。

数々のベストセラーを世に送り出した村上さんが考える、小説を書くために必要な資質は
  • 才能
  • 集中力
  • 持続力
だそう。

才能は生まれもったものだが、さらに大事なのは集中力と持続力。幸いなことにこの2つは自分の努力で伸ばすことができる。ある程度才能を補うことも可能だろう。また、継続して作品を書き続けることで才能の鉱脈を掘り当てることもあるかもしれない。

いずれにしろ、集中力と持続力が必要である。

これは小説家でなくても同じだと思う。仕事で継続して高いパフォーマンスを発揮したかったら、才能がないことを嘆く前にまず集中力と持続力を持って仕事に打ち込むことだ。


この集中力と持続力を養う過程において、走ることと小説を書くことは似ている。

走り続けることと書き続けることは、彼にとって相互補完的に集中力と持続力をキープするための必要な行為なのである。

どちらも長い道のりを、黙々と自分の設定したゴールに一歩ずつ近づき、それを乗り越えていく。誰かに勝つとかではなく、過去の自分に勝つという点で似ているのだ。

この達成感がモチベーションを生む。そうすると、これに伴って集中力と持続力も生まれるといういい循環が生まれる。


村上さんの場合は、週6~7日毎朝決まった時間にジョギングをするそうだ。そして定期的にマラソンにも参加するらしい。小説家は普通の人が感じないようなことを内面から引きずり出すことができるわけだが、それは時に毒素であるという。

この毒素に対抗するには精神的にも肉体的にも健康である必要があり、それは村上さんの場合、走ることで維持されているというのだ。例えば、思うようにいかなかった対人関係は走ることで肉体的な負荷をかけて昇華させるとのこと。


走ることは道さえあれば、場所と時間を選ばずにできることが強みである。

僕は今、走ることはやっていないけど、定期的に筋トレして筋力を維持することを自分に課している。それは趣味のサーフィンのためでもあるのだけれど、何より継続していないと調子が悪くなる気がするからだ。本書を読んで、ジョギングも悪くないなと思った。

走ることについて語るときに僕の語ること走ることについて語るときに僕の語ること
(2007/10/12)
村上 春樹

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約30年間も、走りながら質の高い小説を世に送り出し続けている著者がプライベートをさらけだして書いた一冊。

いまさらだけど、村上春樹ファンなら読むと間違いなくおもしろい一冊だろう。




論理的に考え、書く技術


12 01, 2009 | Tag,論理,文章力

自分の主張を誤解なく、的確に伝えることって意外と難しいもの。自分では伝えられたつもりでも、相手には伝わっていないということはよくあります。

そうなってしまう原因の一つにコンテキストが共有できていない、ということがあると思います。どういうことかと言うと、前提になっている情報がお互いに違うということです。

論理的な文章というのは、コンテキストが共有できていなかったとしても意味が通じる文章です。

今日の一冊はそんな論理的な文章について書かれた一冊です。

特に小論文の勉強をしている人に特に役立つんじゃないかな。

仕事ができる人の論理的に考え、書く技術仕事ができる人の論理的に考え、書く技術
(2009/06)
小野田 博一

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簡単にまとめると、論理的な文章というのは「主張」、「理由」、「事実」、この3つからなる文章ということです。シンプルですね。

3階建てになっていて、主張を支える理由があり、理由を説明する事実がある、という感じです。

余計な修飾語は、つけない方が論理が明快になりやすいので、なるべくつけません。だから、論理的な文章というのは少し味気ないものと感じるかもしれません。

冒頭でこれから話す内容のアウトラインを話してあげるとより親切です。

「これから私が主張するのは○○です。こう主張するのには3つの理由があります。一つ目の理由に関しては××という事実があります。2つ目の理由には××という事実があります・・・」

と、こんな具合ですね。

そして、「主張」や「理由」はなるべく主観的な情報を排除した形にしましょう。

「私は~と思う」という主張は論じる文章としては弱くなります。

また、この主張の部分に疑問文を使ってはいけません。例えば「~が必要なのではないだろうか」というような文です。

論理的な文章における主張は「~すべきである」というような断定的な文であるべきだそうです。

普段からこのような論理にこだわった会話をしていると、おもしろくないし窮屈だから皆に嫌われてしまうでしょう。

ただ、仕事上、上司に伝えなくてはいけないことや意見を伝える場合には、威力を発揮すると思いますよ。

仕事ができる人の論理的に考え、書く技術仕事ができる人の論理的に考え、書く技術
(2009/06)
小野田 博一

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当ブログで過去に取り上げた著者の本はコチラ▼


理科系の作文技術


11 02, 2009 | Tag,文章力,論文

事実と意見をはっきり区別して、構成も階層を意識して簡潔明瞭に書ききる。論文に必要とされる文章はそんな感じでしょう。

ブログに書く文章とは少し趣が違いますね。ブログはそこまで形にこだわる必要はないし、管理人の色を出した方がいい文章、アクセスを集められる文章になっているのではないかと思います。

今日紹介する本は論文を書くときに大いに役立つ本です。著者は大学の物理の先生で、本書の内容は理科系の学術雑誌に投稿してアクセプトされるための文章術になっています。

理科系の学生は必須ですが、文系の学生でも参考になるところはあります。

理科系の作文技術 (中公新書 (624))理科系の作文技術 (中公新書 (624))
(1981/01)
木下 是雄

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最初の方では、準備作業(立案)、文章の組立て、パラグラフ、文の構造と文章の流れなどは一から論文を書こうと思っている人にヒントを提供してくれています。実戦的です。


後半部分の、文章についての注意点は文系の人にも参考になる内容でした。特になるほど、気をつけなくてはと思った部分はこの2か所でした。論文書きでなくても役立ちそうな内容です。


はっきりと言い切る姿勢

著者も言っているのですが、日本人はとかく明言を避けたがる遠慮深い人種であるということです。痛いところをついています。こんな表現使ったことないでしょうか。

「~と思われる」
「~と考えられる」

この「れる」、「られる」は文法的には受け身ではなくて自発もしくは可能の助動詞といったところでしょう。この表現のまずいところは当否の最終的な判断を相手にゆだねて自分の考えをぼかしているというところです。まさにその通りだと思います。

前に日本語の論文を投稿したとき、このような表現は訂正を求められたのを思い出しました。やはり曖昧な表現は避けて「自分は~と思う」とか「~と考える」といった表現にすべきですね。


わかりやすく簡潔な表現

日本語の特徴として修飾語がダラダラと長くなりやすい、というところがあります。一文が長くなりすぎてしまうのですね。志賀直哉のように文章の達人であれば、それでも分かりやすくて美しい日本語が作れるのでしょう。しかし、一般の人はそうはいきません。

やはり長くなりすぎた文章は、分解して短い文にわけていくべきでしょう。そして、短い文どうしは適切な接続詞でつないであげると。


それとわかりやすく簡潔なというよりは、視覚的に読みやすい文章として漢字の量に注目してるところがびっくりしましたね。論文などの硬い文章でも漢字の量には気をつけた方がよさそうです。

著者はパラグラフの見た目の「黒さ」には気をつけるために自分自身の記法を決めているようです。例えば、及び→および、並びに→ならびに、初めて→はじめて、再び→ふたたび、普通→ふつう、などなどです。

私の場合、すぐにパソコンのスペースキーを押して漢字にどんどん変換してしまうクセがあります。まずはブログから少し漢字の量を減らしてみようかなと思いました。



最後のほうはブログ書きにも役立つ内容だったのではないでしょうか。

理科系の作文技術 (中公新書 (624))理科系の作文技術 (中公新書 (624))
(1981/01)
木下 是雄

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客観的で主張のはっきしりた文章を書きたい人、そんな人にお薦めの一冊でした。




志賀直哉はなぜ名文か


09 14, 2009 | Tag,小説,文章力,志賀直哉

志賀直哉は文章の天才だと言われます。

志賀直哉じゃなくても世の中にはたくさん小説があって、おもしろい作品もたくさんあると思うのですが、あえて志賀直哉なのはなぜか?おもしろい小説とそうでない小説の違いはなんだろう?

そんな疑問に答えてくれる一冊でした。

志賀直哉はなぜ名文か―あじわいたい美しい日本語 (祥伝社新書)志賀直哉はなぜ名文か―あじわいたい美しい日本語 (祥伝社新書)
(2006/04)
山口 翼

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著者は「直哉の文章には、日本語の良いところは悪いところ、融通無碍(むげ)なところ、それを逆手に取った正確無比の文章、さらにそれが頭に入りやすい文章になっている。」と言います。

著者はその時代、森鴎外、芥川龍之介、井伏鱒二、吉行淳之介などなど多くの作家の全集を読み、それを元にシソーラス(類語辞典)を作った人物。最近はシソーラスもwebで参照できます。

それにしても著者の分析がすごすぎます。

本書を読むと、引き込まれる文章というものに隠された秘密が明らかになります。


その一つに隠喩の使い方があります。

前夜のことが「頭に飛びついてきた」
不安が「覆いかぶさってきた」
鋭い母の視線に「縛られたようになって」
胸に「重い鉛の塊を投げ込まれた」
「もうもうと頭に燃え燻っている」色々な考が・・

これらの表現は文章をより躍動感あふれるものにします。


また、「それが」や「それは」を使ったアクセントの取り入れや文のつなぎも秀逸です。

坂を下りると、直角に、それが富雄川だ
一月の、それは京都でも珍しい日だった


言葉を列挙することでリズム感を出したりもします。

古い土地、古い寺、古い美術、それらに接する事が・・・



最近、暗夜行路を読みましたが、その時は志賀直哉さんの文章のうまさを今ひとつ実感できていませんでした。これは、上手な文章には奇抜な暗喩や体言止めのような表現を使っても、奇抜と感じさせないうまさがあるからだと思います。私もこういう文章を書いてみたいと思いました。

志賀さんは作品を仕上げるのに、相当な推敲を行っていたようです。やはり、上手な文章は簡単には生み出せないのですね。何度も推敲すること、これは怠けずやっていきたいことですね。


表現の幅を広げるのに役立ちそうなweb版シソーラス辞典はコチラ↓
 >>Weblio|類語辞典<シソーラス・同意語辞書・同義語辞典>

本書を読んでから暗夜行路を読むとおもしろさが広がると思います。名文であることに気づきやすくなるでしょう。



このブログで取り上げた暗夜行路の記事はコチラ↓

 >>志賀直哉 【小説】暗夜行路



志賀直哉はなぜ名文か―あじわいたい美しい日本語 (祥伝社新書)志賀直哉はなぜ名文か―あじわいたい美しい日本語 (祥伝社新書)
(2006/04)
山口 翼

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暗夜行路 (新潮文庫)暗夜行路 (新潮文庫)
(1990/03)
志賀 直哉

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文章は心の鏡 【書評】文章読本 谷崎潤一郎


08 09, 2009 | Tag,谷崎潤一郎,文章法

谷崎潤一郎にみる文章上達法です。
読んでもらえる文章と正しい文章は違う、ということが分かります。

文章読本 (中公文庫)文章読本 (中公文庫)
(1996/02)
谷崎 潤一郎

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文法にとらわれないこと

志賀直哉「城の崎にて」からの一節です。
他の蜂が皆巣に入ってしまった日暮、冷たい瓦の上に一つ残った死骸を見ることは淋しかった。

これが普通の人だと
日が暮れると他の蜂は皆巣に入ってしまって、その死骸だけが冷たい瓦の上に一つ残っていたが、それを見ると淋しかった。

とこちらの方が日本語の文法的には正しいのですが、なんとなく情景が浮かびづらい文章になってしまいます。

日本語の文章は不規則なところに味わいがあります。区切りやその他の符号などもはっきりしない方がおもしろい場合があります。体言止めだっていいのです。意味が伝われば。読み手がおもしろいと感じれば。


感覚を研くこと

いい文章はこんな特徴を備えています。


・長く記憶にとまるような深い印象を与えるもの
・何度も繰り返し読めば読むほど渋みのでるもの



こういう文章を作るためには感覚を研くことが必要です。おいしいご飯を食べた時、おもしろい映画を見た時、感動する音楽を聞いた時、などなど日常に感覚を研くための材料はたくさんあります。

日常で感じたことをTwitterなどのミニブログにアップしてみるのもいい方法かもしれません。

これらが文章を書く際に役立つのはもちろんですが、特に文章を書くことに限定して言うと、「できるだけ多くのものを繰り返し読むこと」と「実際に自分で作ってみること」が大切です。


言葉ありきで発想してみる

谷崎潤一郎さんの「麒麟」という作品は文章よりも先にタイトルである麒麟という言葉を思いついたそうです。これを元に空想を膨らませ、物語を作ったと告白しています。

こういう発想法もあるんですね。


言葉の使い方

1.音を意識すること
多くの人は文章を読む時、頭の中で音読しながら読んでいます。だから、読者は小気味よいリズムで書かれている文章ならすいすい読むことができます。

2.とにかく分かりやすい語を使うこと

・私は彼に見られていることを知っていた。
・私は彼に見られていることを感じていた。
・私は彼に見られていることに気が付いていた。



・彼はわざと反抗した。
・彼は故意に反抗した。


おなじことを言おうとしても、表現方法は様々です。文章を推敲する際はこういった表現にも注意して見直すとよいでしょう。


本書を読んで感じたことは日本語で文章を書くなら、その優れた特徴を生かさないと損だということです。間違った文法を使ってしまうことを恐れ、形式ばったおもしろくない文章を作るよりは、その時代に合った言葉を使って文章を作ってみるのもありかもしれません。

感覚を研くこと、これは他の類書にはあまり書かれていなかったことなので、ぜひ実践してみたいと思います。音読のリズムというのも意識した方が良さそうだと感じました。

示唆に富んだ一冊です。

文章読本 (中公文庫)文章読本 (中公文庫)
(1996/02)
谷崎 潤一郎

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読み書きは自分を知ること 【書評】読む心・書く心


07 28, 2009 | Tag,読書術,文章力

今日ご紹介する本は自分の読み方や書き方を振り返るのにいい一冊です。

読む心・書く心―文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ)読む心・書く心―文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ)
(2002/11)
秋田 喜代美

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「ジュニアライブラリ」とあるように、中高生に向けて書かれた本ですが、ばかにできません。大人が読んでも十分得るものがあります。

本書は読み方や書き方について、その活動を通じて自分の心がどう動いているのかを知るのに役立ちます。自分のクセを知り、よりよい方法を知ることは技術を改善させる上での基本です。本書は漫然と読み書きしてきた人にとって最適な一冊だと思います。


読むこと

彼は練習が大切だとずっと思ってきた。努力だけで成功できるわけではないし、天性の力も必要かもしれない。しかし、今の位置を保つには、努力は必要不可欠である。彼はすっかり手になじんだものを取り出した。それは、単なる道具ではなく、彼にとって分身のようなものだった。ゆるやかな曲線、しっかり張られた糸。これがデビューしてきてから、彼をずっと支えてきたのだ。

この文章を読んで、「手になじんだもの」というのがなんなのか想像してみてください。

ラケットでしょうか?それともギターでしょうか?

どちらでも意味は通じます。しかし、読んでる最中はラケット、もしくはギター、その他の何かを想像しながら読んでいたはずです。

つまり、文章を読んで何を想像するかは自分の背景知識によるのです。

「読む」という作業は字面をただ読み上げているだけではありません。自分の頭の中の既存知識と、これから入ってくる本の中の知識の融合過程です。だから、知識が豊富な人は文章の意味を理解しやすいし、それに伴い読むスピードも速くなります。それに対して知識が不足した馴染みのない分野の文章を読む時は、読むスピードは落ちます。意味を理解するのに時間がかかるからです。


書くこと

上手な文章を書く人には二つの特徴があります。
 1.最初のプランを洗練させていく
 2.推敲の過程に時間をかける

です。

最初のプランを洗練させるためには文章の構造も大切です。もっとも一般的な構造は、1.題、2.はじめ、3.なか①、4.なか②、5.まとめ、6.むすび でしょうか。このような流れに最初のプランを沿わせて説明することも、プランを洗練させていく過程です。

そうは言っても実際には順番どおりに構造を組み立てるのは大変です。それこそ才能が必要かもしれません。

そこでオススメしたいのが、1.なか①、2.なか②、3.まとめ、4.はじめ、5.むすび、6.題 という順番で書く方法です。文章を書く時ははじめの書き出しがなかなか進まずに、だんだん書くのが億劫になるということがあると思います。この方法ならそれが避けられます。最近はほとんどの人がパソコンで文章を作っていると思います。パソコンは文章編集がとても便利にできるので、書きやすい構成要素から書き始めることをオススメします。


読むことも書くことも、心をうつす作業です。自分の読書術を振り返るいいきっかけになりました。これから背景知識の収集にはもっと力を注ごうと思います。納得いく一冊でした。

読む心・書く心―文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ)読む心・書く心―文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ)
(2002/11)
秋田 喜代美

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言葉のちから 「名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方」


06 15, 2009 | Tag,文章力,コピー,twitter

今日の一冊は「言葉のちから」を感じさせてくれる一冊。

気の利いた言葉を書いてみたいとはつねづね思うのですが、なかなかどのように発想したらいいのか分からないもの。

普段何気なく目にしている広告には作り手の、いかに読者を惹きつけるかという工夫が盛り込まれています。何気なく目にして何気なく読んでしまうのは、そういった作り手の見る側の立場に立った工夫があるからです。

本書の著者は広告会社に長年勤めて、人を惹きつける文章について長年分析している方です。著者は「うまい文章は誰にでも書ける」と言います。たしかに、そのための満足できるヒントが本書には書かれています。


短文から長文まで。覚えておきたい原則

情報・整理・表現

情報

内容がなければ説明文になりません。説明するに足るだけのことがらを調べたか、知っているかが重要。


整理

条件内で説明するため情報は整理することが必要。伝えられることはそんなに私が思っているより多くはない。だから、内容を練って余分な文章は思い切って削除する。特に読み手が知りたいことに特化した情報にしぼって整理する。書くべきは読み手が知りたいことであって、私が伝えたいことではないことに注意が必要。


表現

正確で魅力的な言葉と文章をつくる。もっと適切な表現はないか。無駄はないか。書き間違いはないか。いい余韻を残せたか。何度も推敲することも大切ですが、うまいと思った文章を真似てみるのも手。


その他

  • 一文一義
  • 形容詞は少なければ少ないほどきれい
  • 書くことは書きなおすこと。とにかく推敲を。
この辺はブログ書きにも参考になるところ。一文が長くなりすぎないように気をつけたいと思います。


短文でおもしろいなと感じたのは楽天トラベルの広告
  • ヒトは、露天風呂でサルになる。
  • 急な出張に一応、困った顔をする。
  • おみやげに悩む人はいい人だと思う。
  • あなたは「あ”-」派ですか。それとも「う”-」派ですか。

発想や読点の置き方が秀逸です。


具体的にどうやって訓練しようか考えてみた

twitterを使ってみてはどうでしょうか。twitterは短文の練習に向いています。毎日思いついたことを短文で気軽につぶやくのです。誰かに読んでもらうようにちょっとした工夫を文章の中に入れるとおもしろいかもしれません。上の広告文のように句読点の置き方も工夫してみるといいかもしれませんね。気の利いた言葉を作れたら、誰かが「お気に入り」してくれるかもしれません。

巷の広告がどのような手法を使っているのか、見習えるところがないか、注意して見てみるのもいい訓練になりそうです。



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