スポンサーサイト


-- --, --

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


ストレスとはなんだろう


11 19, 2008 | Tag,ストレス,基礎医学

人として生きていくためには避けて通れないのがストレスとの関係であるように思います。
先日読んだ本、道は開けるでは”悩み”についてがテーマでしたが、今回は”悩み”と関連する”ストレス”がテーマです。

本書は、「そもそもストレスという概念はどうやって生まれたのか?」、「ストレスに対する人体の反応は科学的に説明するとどうなるのか?」という問いに対して分かりやすく説明してくれています。

ストレス学説の発展に関連して、アドレナリンやインスリンの開発の歴史、それに関わったノーベル賞受賞者たちの人間模様などもとても興味深く読め、この部分も本書の読みどころになっていると思います。

ストレスとはなんだろう (ブルーバックス 1604)ストレスとはなんだろう (ブルーバックス 1604)
(2008/06/21)
杉 晴夫

商品詳細を見る


「病は気から」とはよく言ったものです。

心の状態が身体に及ぼすということは既によく知られていることで、心身症という病名もあるくらいです。偽薬を投与して実際に病状が改善するプラセボ効果が存在することも「病は気から」を証明する事実でしょう。

実際の臨床でも、ある症状に対する原因について、ストレスが原因でしょう、という説明はしばしばされています。

病因を解明するのが臨床医学ですが、話はそう簡単ではなく、症状と病因が一対一で対応しないことがよくあるのです。


例えば、インフルエンザの特異的な症状と言えば激しい高熱と関節痛、筋肉痛などがありますが、非特異的な症状には通常の風邪症状と変わらないような微熱、鼻汁、咽頭痛などがあります。

簡単に言うと、診断に直結するような症状が特異的な症状ということです。



非特異的症状に着目し、ストレス学説を築いたのが本書の主人公であるハンス・セリエさんです。

人体になんらかの機械的刺激や精神的刺激が加わると、身体が反応して非特異的な症状を起こします。

ストレスのせいで胃潰瘍ができたり、免疫機能が低下したりします。また、緊張して手に汗をかいたり、心臓がドキドキするのもストレスに対する自律神経を介した身体の反応です。



精神的なストレスに対する反応は、脳に入力されたストレスが神経分泌ニューロンを介して自律神経系や、ホルモン分泌の中枢である視床下部に電気信号として入力されることから始まります。

自律神経系には交感神経と副交感神経がありますが、これらは対の働きをしていて、たとえば交感神経は心臓をドキドキさせますが、副交感神経は心臓をゆっくり動かします。イメージとしてはピンチにの時に活発になるのが交感神経で、リラックスしている時に働いているのが副交感神経です。

ストレスに暴露され続けていると、身体に対して慢性的な変化を起こします。
高血圧などは好例です。
三大疾病の中に心筋梗塞や脳卒中がありますが、これらの原因に高血圧が少なからずあります。



私たちの心の状態と大いに関係がある”ストレス”ですが、これにどう対処していくかというのが永遠のテーマになります。

ストレスへの対処法というのは、ストレスをストレスとして認識しないようにする、ということしかないのだと思います。ある人には精神的なストレスでも、他の人にとってみれば精神的ストレスとして感じないこともあるわけですから。

本書では、そのためには”意思の力を利用する”ということ以外は書かれていませんが、他にも工夫の余地はあるようにも思います。

行き着くところは外的ストレスに対する自分の感情にどう対処するかということになるのだと思いますが、一つの解決策として道は開けるでも書いたようなことが役に立つでしょう。



本書では本当に優れた科学者は課題解明者ではなく、課題発見者であるということが主張されています。

たしかに、本日のテーマである”ストレス”のように、何となく皆が感じていることを課題として設定できる力が大切なんだと思います。

そういう意味でハンス・セリエさんは科学におけるイノベーションを起こしたと言えるのだと思います。


スポンサーサイト


新薬誕生―100万分の1に挑む科学者たち


10 14, 2008

とてもエキサイティングな本です。

内容はタイトル通り、世界を変えた薬とそれを開発した研究者と企業、その開発過程について書かれています。

  1. エイズの治療薬であるカレトラを開発したアボット
  2. 精神分裂病の治療薬であるセロクエルを開発したアストラゼネカ
  3. 糖尿病の治療薬であるインスリン製剤ヒューマログを開発したイーライリリー
  4. 喘息の治療薬であるアドエアを開発したグラクソ・スミスクライン
  5. リウマチやクローン病の治療薬であるレミケードを開発したジョンソン&ジョンソン
  6. 慢性骨髄性白血病の治療薬であるグリベックを開発したノバルティス
  7. 高脂血症の治療薬であるリピトールを開発したファイザー

日本にはまだない治療薬もありますが、これを読むといかに新しい治療薬を作るのが大変かが分かります。

目の前にいる一人の患者を治すか、実現するかどうかは分からないが世界中の多くの患者を救うか。

この本を読むと世界規模で患者を救う創薬という科学に惹かれます。

新薬誕生―100万分の1に挑む科学者たち新薬誕生―100万分の1に挑む科学者たち
(2008/07/04)
ロバート・L.シュック

商品詳細を見る


製薬会社世界一位のファイザーですが、ファイザーの研究開発費は2004年で77億ドルです。ものずごくお金がかかるんですね。これは、それぐらいお金をかけないと新しい薬が生まれないということでもあります。
薬の開発は試験管の中から始まって、動物実験をクリアーし、それが人間に使用しても安全だということが証明されてからやっと薬として認可されます。臨床治験なんていう言葉を病院で聞いたことがあるかもしれませんが、これは人間で使用しても安全かどうか確かめるために、必要な過程です。

数々の試験を超え、アメリカだとFDA、日本だとさらに厚生労働省の認可を得なければ薬として市場に出ることができません。それだけ開発にかかる過程が大変なのですから、製薬会社はある程度の規模がなければ新しい薬を作れません。

だから、製薬会社のM&Aは自然な流れなわけです。


登場する薬について少し解説を加えておきます。

カレトラはエイズの進行を抑えることができる薬です。
この薬が登場するまでエイズの患者は多量の薬を飲む必要がありました。また、副作用も激しかったので、エイズ患者の苦しみは大きなものでした。この状況をカレトラという薬が変えました。

セロクエルは精神分裂病(現在、この病気は統合失調症と呼ばれています)の治療薬ですが、この薬が統合失調症の患者さんのQOL(生命の質)を変えました。薬で病状をうまく抑えることができれば、統合失調症の主症状である幻覚に苦しむ患者が、普通の人とそう変わらない生活を送れるようになりました。

糖尿病は自分の膵臓から分泌されるはずであるインスリンを作ることができなくなる病気です。糖尿病患者の数は莫大ですが、ヒューマログという薬により自分で作ることができないインスリンを、自己注射で補ってあげることができます。

喘息の治療には気管支を拡張させる吸入薬とステロイドの吸入薬が使われますが、アドエアという薬はこれらの合剤で、これにより喘息患者は薬をとても使いやすくなりました。

レミケードはリウマチやクローン病の治療薬ですが、この薬は症状の原因になっている炎症を引き起こすTNF-αという物質を抑えるモノクローナル抗体で、これまで難病として症状を改善させることが難しかったリウマチやクローン病の症状を抑えることを可能にしました。

グリベックは慢性骨髄性白血病(血液の癌)の治癒に大きく貢献しました。本書にはこれにより恩恵を受けた患者の声も載っています。

リピトールは世界でもっとも売れている薬です。高脂血症の治療薬です。高脂血症は簡単に言うと、コレステロールが増加する病気です。高脂血症は心筋梗塞や脳梗塞の危険因子になるので、治療が必要です。リピトール以前にも高脂血症の治療薬はたくさんありましたが、リピトールが最もLDLコレステロールの値を下げることができるので広く使われています。


最後に、本書に出てきた薬は医学を劇的に進歩させたまさにMiracle Drugばかりですが、全ての患者に同じように効果を示すわけではなく、病状や患者個人により効果は変わることがあるということを付記しておきます。




iPS細胞 世紀の発見が医療を変える


08 29, 2008

今日は新書で医学の勉強をしてみました。

iPS細胞です。

iPS細胞 世紀の発見が医療を変える (平凡社新書 431)iPS細胞 世紀の発見が医療を変える (平凡社新書 431)
(2008/07/15)
八代 嘉美

商品詳細を見る


できるだけ難しい部分は省いて分かりやすい提供したいと思います。


それでは、iPS細胞 世紀の発見が医療を変える (平凡社新書 431)にズームインしていきましょう。


まず、大前提として細胞の基本的な性質をおさえといたほうが良さそうです。

受精卵の状態から考えます。

受精卵→→胚盤胞→→体性幹細胞→→それぞれの組織

とう流れで分化が進んでいきます。途中かなり省略。

”分化”という単語が聞きなれなくて難しいと思いますが、これは簡単に言うと”原始的な細胞から役割を持った細胞に変化していくということです。
皮膚も目も髪も筋肉も元々は一つの細胞だったということです。

そしてこの過程は溯ることができませんでした。



再生医療はES細胞の研究から飛躍していきます。
iPS細胞が語られるとき、ES細胞のことも語られるのはそのためです。

ES細胞は上の胚盤胞の状態の時に中身である、”内部細胞塊”というのを取り出して培養したもので、そこから神経や皮膚、筋肉などを作り出すという考え方で再生を目指していました。

それに対してiPS細胞の特徴は皮膚などの分化しきった細胞を利用してできた色々なものに分化できる未分化な細胞です。ちょうど上の矢印を体性幹細胞まで遡るような感じです。
これが4つの遺伝子を導入するだけでこの変化を進めたというのですから、ものすごいイノベーションです。

新しい発見というのは苦心の末に編み出されたシンプルな方法にあるものなのでしょうか。

この技術を開発したのは日本人です。一躍有名になった山中教授のグループです。
誇らしいですね。


この技術の優れた点に、ES細胞に比べて倫理的な問題がないということがあります。
ES細胞は胚盤胞を利用するわけなので、これは生まれてきた赤ちゃんを利用しているのと一緒だという考え方が成り立ってしまいます。つまり、ES細胞は”命そのもの”だという考え方ができるのです。

しかし、iPS細胞ならこの倫理的問題はクリアーできます。
体細胞を利用するのですから。



iPS細胞が実用化されれば、新薬開発の助けになったり、最終的には人工臓器ができるかもしれません。ちょっと恐ろしくもありますが、夢のような技術です。
(注:新しい薬の開発の最終段階は、人間の体で本当にこの薬は大丈夫なのかを調べることです。このプロセスが人工的に作った人間の細胞で実施されれば、新薬の開発は飛躍的に進みます。)

iPS細胞は癌化するといったリスクや成功率が低い、といった問題点がまだあって、
実用化はまだまだ先の話みたいですが、そう遠くない未来に実用化されるんじゃないでしょうか。



今世界はiPS細胞を巡って猛烈な勢いで研究が進んでいます。

日本はこれに遅れないようにしないといけません。
日本で生まれた技術が日本で自由に使えるようになるには、米国に先を越されてはなりません。
政府はこの知的財産の進歩を全力をあげて守り、応援していかなければならないと思います。


iPS細胞の技術的な内容についてはこちらの本に詳しく、分かりやすく書かれています。
iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?
(2008/05/22)
田中 幹人

商品詳細を見る



今日ご紹介した本、2冊ともイラストがとても分かりやすく、理解の助けになりました。
良書です。



iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?


06 30, 2008

医学部の学生は必ず基礎医学を勉強しなければなりません。
病理学、微生物学、解剖学、生理学などなど。たくさんあります。

どうして基礎医学を勉強しなければならないか。
それは、臨床医学を支えているのは基礎医学だからです。

臨床医学の方が分かりやすいし、華がある。
そして、何より今行っていることで目の前の患者さんを救うことができるという実感が持てます。
だから多くの医学生は卒業したらまずは臨床医になることを目指します。

それに対して基礎医学は、地味ですが一つの発見で自分の出会ったことのない人まで救うことができる、スケールの大きさがあります。
例えばインスリンの発明でどれだけの人が救われたか。


そんな最近の基礎医学の大発見がコレ
話題のiPS細胞です。

iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?
(2008/05/22)
田中 幹人

商品詳細を見る


ES細胞とiPS細胞の違い
・ES細胞も万能細胞だが、ES細胞は未受精卵に体細胞の核を移植するので、倫理上の問題が大きい。
・iPS細胞はそれに対して体細胞に遺伝子を導入することで多能性を維持させるというもの。これだと倫理上の問題はES細胞に比べるとかなり少なくなる。

再生医療への応用

・輸血用の血液
・皮膚
・神経系(神経系は一度損傷を受けると回復不能といわれている。例えば脊髄損傷で下半身麻痺になったら今の医療技術では二度と戻ることはない。iPS細胞によって回復が可能になるかもしれない)
・網膜
・その他臓器

現段階ではまだまだ実用レベルではないようだが、実用化されるのもそう遠くない未来かもしれない。

創薬
新しい薬剤の開発には必ず、効果だけでなく、その副作用について入念に調べられなければならない。とにかくデータをたくさん集めなければならないので、市販までに時間がかかるのが問題。
iPS細胞を使って薬の効果や副作用が調べられれば、市販までの時間が大幅に短くなるはず。

日本の研究環境
日本は研究に向かない環境。
環境それ自体もそうだし、お金(資金)の問題、特許の問題もある。
多くの優秀な研究者はアメリカでの研究を望む。


かなり噛み砕いて分かりやすく書かれています。
専門知識がなくても読めると思います。




最新記事
Amazon
リンク
Ads
月別アーカイブ
ライセンス
Creative Commons License
この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
Related Posts with Thumbnails
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。