スポンサーサイト


-- --, --

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


ユニクロ柳井社長が考えるプロフェッショナルマネジャーとは?


03 28, 2011 | Tag,ユニクロ,ビジネス,マネジメント

プロフェッショナルマネジャー
この本はかつて存在していた米国の多国籍企業、ITT(インターナショナル・テレフォン・アンド・テレグラフ・カンパニー)の元最高経営責任者ハロルド・ジェニーン氏による著作の和訳本です。

ユニクロの柳井正さんが解説をされています。彼はこの本を経営のバイブルとしていて、大きな影響を受けたと語っています。

この本、柳井さんが書いた解説だけでも一読の価値ありです。

「プロフェッショナルマネージャーの仕事術」として、柳井さんは”「創意」と「結果」7つの法則”というものを説いています。

「創意」と「結果」7つの法則
  • 経営の秘訣-まず目標を設定し「逆算」せよ
  • 部下の報告-「5つの事実」をどう見分けるか
  • リーダーシップ-現場と「緊張感ある対等関係」をつくれ
  • 意思決定-ロジカルシンキングの限界を知れ
  • 部下指導法-「オレオレ社員」の台頭を許すな
  • 数字把握力-データの背後にあるものを読み解け
  • 後継ぎ育成法-「社員FC制度」が究極の形だ

少しだけ、気に入ったところを引用しておきます。

リーダーシップ
僕は、会社と社員の関係をお互いに緊張感のある対等なものにしたい。だから、会社にタブーを作ったり、不等な行為は許さない。同族というだけで、息子を経営執行に加えることは、それ自体で大きなマイナスになる。僕の子供には、「うちの役員の何倍も優秀だったら別だが、同じぐらいの能力だったら、この会社の経営執行に関わろうと思うな」と言っている。パート従業員を自分の手足と勘違いし、不等な要求をしたり、不等に解雇した店長は、即座に首にする。

こういうことがあっさり言えるってすごいです。ついていきますって感じです。

また、本文中のジェニーン氏の言葉を引用してこうも言っています。

部下指導法
「部下と意見が合わない場合、時には私も自分の主張を通そうとするあまりにわれを忘れたこともある。しかし、自分が間違っているとわかったら、人前でなり二人きりでなり、こちらから進んで非を認め、将来にかけてその誤りを訂正する処置をとった。」

成功の危うさについても触れられています。私はこの言葉をとても気に入りました。
「人は失敗から物事を学ぶのだ。成功から何かを学ぶことはめったにない。たいていの人は、”失敗”の意味を考える以上の時間をかけて、”成功”の意味を考えようとしない。」「成功は失敗よりずっと扱いにくいもののように私には思える。なぜなら、それをどう扱うかは、まったく本人次第だからである。」


柳井さんは活字中毒だそうで、経営書は一日一冊近く読むのだそうです。道理で彼が導いた法則にも説得力があります。

そうそう。ユニクロの柳井さんですが、この震災で個人的に10億円寄付しています(プレスリリース - UNIQLO ユニクロ)。スケールの大きな人ですね。

ユニクロの秘密。気になる方はどうぞ。

プロフェッショナルマネジャープロフェッショナルマネジャー
(2004/05/15)
ハロルド・ジェニーン

商品詳細を見る
スポンサーサイト


名経営者に共通する特徴とは? 【本】ビジョナリーピープル


03 18, 2010 | Tag,名著,ビジネス,マネジメント

ビジネスにおいて一角の人間になりたければ、本書がその役に立つと思います。
ビジネスだけでなく、マネジメントに関わるすべての人にとって得るものがあるでしょう。

成功というものは、自分が大切にしているものへの個人的な強い思い入れがなければ、しかも富、名声、権力、あるいは結果としての周囲の支持、といったものに頼っても頼らなくても取り組もうとするだけの積極性がなければ、おぼつかない。


自分が大切にしているものとは、時間の経つのも忘れ、どんな些細なことにも絶えずこだわろうとする誘惑にかられるようなもの。現実的な意味で言えば、それは、なんの見返りも求めず、それ自体のために彼らが喜んで取り組もうとするもの。

ビジョナリー・ピープル
  • 意義
  • 思考スタイル
  • 行動スタイル

ビジョナリーピープルはこの3つの要素をうまく積み上げた人々です。

それぞれが独立したものではなく、”意義”の上に”思考スタイル”が、”思考スタイル”の上に”行動スタイル”がピラミッド上にのっかっているイメージです。

それぞれの要点を列挙しておきます。


意義

  • フロー体験ができるような生きがいを持つ。(フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR))それに対してビジョナリーでない人、悲観主義者はどんなチャンスにもそこに内在している難題を見つける。(オプティミストはなぜ成功するか (講談社文庫)
  • 自分が大好きな道をその結果の善し悪しにかかわらず選択するべき。自分の生きがいに対して誠実であること。
  • ビジョナリーな人は、自分自身の生きがいにあくまでも忠実な姿勢を貫き通している。もし、追求している課題が、何世紀にもわたって伝承されてきた伝統的な知恵と相容れないものがあるなら、そのときは逆にますますその意欲をかきたてる。


思考スタイル

  • 自分の中のささやきに耳を傾ける。本当に好きなこと、やりたいことはこうして見つける。
  • 自分の使命にこだわる。
  • 勇気を持って前に進む。
  • 失敗しても、それを糧にする。挫折は教訓を得ることができる大切な経験だ。
  • 挑戦→失敗→成長→挑戦の繰り返しが成功への好循環となる。
  • 成功してもそれに溺れず、建設的な習慣を守り続ける。
  • 弱点を理解し、受け入れ、逆にそれを利用する。学習障害を逆手にとって成功したチャールズ・シュワブのように。

コンドリーザ・ライスの言葉
人生に必要なものは「情熱、覚悟、能力」である。



行動スタイル

  • 思いがけない幸運(セレンディピティ)に出会うための準備を日頃からしておく。
  • 自分に与えられた課題に打ち込みながら、自分の目標にどこまでも忠実に振舞う。
  • 論争を求める。非難ではなく、問題の解決のために。そしてそれは関わる人との間に協調を生む。
  • 成果をあげるための違った方法を教えてくれる多くのアイデアに耳をふさいだり、検証の対象からはずすようなことはしない。
  • 自分だけのドリームチームを作る。
  • 言葉を信じるのではなく、行動を信じる。
  • 言葉の力をいかす。立派な業績をあげている人たちは本能的、直感的に言語を使う。その対象は自分が達成しようとしているものに絞られている。


自分の得意なことや持っている強みと、自分の好きなことは異なったものです。

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす的に言えば、生来の強みを生かすことが成功への近道です。ところが、強みを生かせる仕事が自分の好きな仕事とは限りません。だからみんな苦悩するのだと思います。

さあ、才能(じぶん)に目覚めようでは、「強みはもって生まれたものなので、後天的に変えることはできない」と言われています。私はこの意見に反対で、強みは生き方次第で変わるものではないかと思っています。

”強み”と”好き”を調和させることができると信じています。


ビジョナリーピープルこそ、”強み”と”好き”を調和させた人たちです。どんな人たちにもビジョナリーピープルになれる可能性があるのではないかと思います。

ビジョナリー・ピープルビジョナリー・ピープル
(2007/04/07)
ジェリー・ポラススチュワート・エメリー

商品詳細を見る


【関連記事】




はじめの一歩を踏み出す勇気 「裸でも生きる2」


01 25, 2010 | Tag,起業,社会起業

仕事で悩んでいる人、人間関係で悩んでいる人、あと一歩を踏み出すために誰かに背中を押してもらいたい人が読むといい一冊だと思います。

裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける (講談社BIZ)
著者の山口さんは株式会社マザーハウスというバッグメーカーの代表取締兼デザイナーという立場のかた。

生い立ちがなかなか興味深く、小学生でいじめにあい、中学生で非行に走り、その後、柔道に目覚めて全国7位の成績をおさめるといった経験をされています。その後、偏差値40から受験勉強3か月という短い期間で慶応大学に合格。ここまででもなかなか真似できないようなキャリアですね。

大学卒業後は米州開発銀行で途上国の援助を行っていきます。ところが、ここで彼女は疑問に感じるのです。私たちが援助したことはきちんと人々の手に渡っているのか?と。

その疑問は的を射ていて、実際には支援の多くは政府、その関係機関で消費されていき、人々の手には直接渡ってなかったりします。また、米はあっても炊くものがないとか、現実にそぐわない支援になってしまっていたり。

結局、途上国を支援しようと思ったら、高いところから見下ろしてお金をばらまくだけではダメなんですね。現地の人に混ざって現地でビジネスを起こす。そうすると、現地に雇用が生まれてその土地の人々も豊かになっていく。

ビジネスはその国の持っている特色をいかせるような産業である必要があります。マザーハウスの場合、バングラデシュではジュートを、ネパールではダッカ織りに目をつけました。

ビジネスとして成り立たせるためには売れる必要があります。このビジネスは途上国支援という意味合いもあるため、同情に訴えようと思えば、はじめは売れるのかもしれません。

しかしながら、売れるものを作るためには同情を引くだけでは長続きしません。消費者は飽きてしまいます。本当にいいもの、日本の買い手がほしいと思うようなものを作る必要があるわけです。

著者は自らデザインを勉強してカバンのデザインに加わります。現地の人と一緒に。どこまでエネルギーのある人なんだと思ってしまいました。

結果として、品質が良くて、評判のいいカバンができ、日本の多くの人に受け入れられました。

本当の意味での社会企業、途上国支援というものはマザーハウスのように、途上国が持っている潜在能力を引き出して、それを産業として成り立たせることなんじゃないでしょうか。そうすることで途上国の人の自立を促して、経済発展を促すことができのだと思います。

著者の山口さんは自分のやりたいことに正直で、すごく真っ直ぐな人です。それゆえかネパールでビジネスを始めるときなど、それまで信じていた現地の仲間にひどい裏切り方をされ、読んでるこっちの胸が痛くなりました。

はじめは協力してくれていたような人も、自分の利権が脅かされると感じると、手のひらを返す。こわいなーと思いました。

本書では著者の貴重な体験を、失敗談も含めて惜しげもなくさらけ出してくれています。頑張っている著者に共感するとともに、自然と応援したくなる。そんな一冊です。

裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける (講談社BIZ)裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける (講談社BIZ)
(2009/10/01)
山口 絵理子

商品詳細を見る

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)
(2007/09/22)
山口 絵理子

商品詳細を見る



バンカーは善か悪か 「さらば、強欲資本主義」


12 07, 2009 | Tag,投資銀行,資本主義,バブル

意外でしたよ。投資銀行の創業者がこんな風に思っているとは。

本書は投資銀行 ロバーツ・ミタニLLC の創業者で、現在もニューヨークで活躍されているバンカーです。最近は執筆活動の方にも力を入れておられるのか、強欲資本主義 ウォール街の自爆や世界経済はこう変わるなどの作品があります。

本書は約一年前の本で、ちょうどバブルが崩壊した頃の話を中心に、行き過ぎた資本主義に疑問を投げかけています。

本書の作りは読者にあてた17の手紙、という形になっており、非常に読みやすく構成されています。


さらば、強欲資本主義―会社も人もすべからく倫理的たるべしさらば、強欲資本主義―会社も人もすべからく倫理的たるべし
(2008/06)
神谷 秀樹
ウォール街で働くバンカーですから、典型的な拝金主義者を想像してしまいます。しかし、本書の著者神谷さんは拝金主義を徹底して非難しています。今回のバブルはサブプライムローンに端を発していますが、これもアメリカ国民の稼ぐ前に借金をしてでも消費をする気質、それと拝金主義のバンカーが原因の一助を担っていると。

ロバーツ・ミタニLLCのスタッフは皆、拝金主義には否定的で、仕事をともにするパートナーには理念を共有できた相手を選ぶそうです。彼らが今力を入れているのは医療産業です。

どうやら神谷さんは金融の力で世の中をよくしようと考えているようなんですね。その姿勢に心を打たれました。


彼のその思想の根底にはキリスト教の教えがあるようです。本書を読んでいると、随所にその教えが出てきます。私自身、特定の信仰はないのですが、本書第10の手紙 -真のリーダーは偉ぶらない- がグッときましたよ。

医師は普通に生活、仕事しているとチヤホヤされやすい職業ですから。謙虚であることは大切だなと思います。

キリスト教の大事な価値観のひとつにも「へりくだること」があるそうです。

日本にも「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉がありますね。

こういうことって誰かから指摘されることってあまりないんじゃないかな。だから自分で意識しておかないといけませんね。気をつけます。


バンカーにはこんな理想を持って仕事に取り組んでいる人もいるんだ、という新しい発見があった一冊。刺激をもらいました。他業種の人にも十分参考になる生き方だと思いますよ。

さらば、強欲資本主義―会社も人もすべからく倫理的たるべしさらば、強欲資本主義―会社も人もすべからく倫理的たるべし
(2008/06)
神谷 秀樹

商品詳細を見る




ニッチを極める 【書評】俺は、中小企業のおやじ


05 15, 2009 | Tag,伝記,経営者

俺は、中小企業のおやじ俺は、中小企業のおやじ
(2009/02/24)
鈴木 修

商品詳細を見る


自動車メーカー「スズキ」の社長兼会長である鈴木修さんの話です。

著者の鈴木修さんは、自動車メーカーとしては当時小さな規模だった「スズキ」という会社を世界に通じるメーカーに育て上げた立役者です。軽自動車や1000ccクラスの小型車という当時の自動車産業としてはニッチな分野でトップを極めたことが成功の要因のようです。

これは平成20年度の軽自動車を含む自動車販売台数ですが、これを見ると販売台数一位はスズキのワゴンRであることが分かります。

自動車販売台数


スズキは新車開発にあたり、過去に「アルト」、「ジムニー」、「ワゴンR」などのヒット作があり、これが業績向上の牽引役になったようです。

また、トヨタや日産、ホンダが得意とする中~高価格帯での自動車販売で勝負したのではなく、徹底したコスト削減と低価格帯にこだわった自動車(軽自動車や小型車)開発に力を注いできたことが特筆に値します。

これにより、日本国内の新たなブルーオーシャンだけではなく、海外でもブルーオーシャンを開拓しました。海外では、スズキのインドでの販売台数が象徴的だと思います。新興国で自動車の需要が増えることは誰もが予想できたことかもしれませんが、インドではスズキの低価格帯の自動車がうけました。高級車を買うことができる富裕層をターゲットにするよりも、数で勝る低~中流階級が欲する自動車を買いやすい価格で作ることが、新興国で自動車を売るための一つの秘訣だったのでしょう。

インドのタタ自動車では最近「ナノ」という30万円以下で買える車が発売され、好調なようですが、これは今までスズキがやってきたことさらに突き詰めたもののように思います。

ナノ


パソコンなんかもそうだと思いますが、モノの価格破壊が進んでいて消費者として嬉しい反面、モノの資産価値が10年後にはどうなっているか分からない混迷した世の中とも言えるのかもしれません。



ドラッカーが認めた日本人 【書評】「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真


05 13, 2009 | Tag,伝記,偉人,経営者

「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真
(2008/11/08)
湯谷 昇羊

商品詳細を見る



オムロンの創業者立石一真さんの話です。

ピーター・F・ドラッカーさんは「技術において世界的なリーダーになっただけでなく、その才能、人間性、博識、そしてビジョンにおいて優れていた」と言い、大前研一さんは「これまで300人以上の経営者と会ってきたが、こんな経営者はいない。松下幸之助や盛田昭夫に匹敵する経営者だった」と言っています。

本書を読むと立石一真さんの人となりと彼が作ったオムロンという会社のことが分かります。


オムロンの前身である立石電機が開発してきたものにはマイクロスイッチや電流制御機、自動券売機、交通管制システム、CDやATMなどがあります。立石電気の発展は決して順風満帆だったわけではなく、さまざまな障害を乗り越えてきました。本書の読みどころはこれらうまくいった製品の開発秘話以外にも、失敗に終わった電卓開発の話などにもあると思います。

製品開発以外の話では、立石さんの決して恵まれなかった生い立ちや苦学された様子、愛するものを失う悲しみに耐えながらも前向きに経営にかかわっていく点も感情移入しながら読めました。

企業経営の面では分権経営のプロデューサーシステム、大企業病などについて書かれています。立石さんの子供ぐらいの年齢である大前研一さんに積極的にアドバイスを求める姿などは本気で経営のことを考えている経営者は年齢や立場など関係なく、適切なアドバイスをくれるパートナーを大切にするのだということが分かります。

他の功績に障害者雇用があります。立石さんは、オムロン太陽という会社を作り、障害者でも持っている機能をうまく利用すれば利益を上げる仕組みができることを証明しました。前例のない試みを成功させた点でその貢献度は大きく、のちにソニーやホンダなど他の企業がこれを見習っています。当事者からすると「身障者は税金を使うばかりの立場だったけど、労働者として税金を納める立場にまわることができた。」と本当に喜んでいたそうです。


いくつかの心に残った立石さんの言葉を残しておきます。


「経営者の最大の仕事は、次の時代がどのような時代になるかいち早く予測して、その時代に対応した製品を開発することだ」

立石さんが日本電産の創業者永守重信さんに贈った言葉。
「失敗は島と同じや。わしらの乗ってるのは大きな船やない。小さなボートや。だからいっきに向こう岸には行かれへん。島によりながらやないと向こう側には行かれへんのや。失敗の基盤が次の発展のタネになる。それでないと成功はない。野球だって三打数一安打で名選手なんやろ」

「最もよく人を幸福にするものが最もよく幸福になる」



どんな仕事をしていても社会のニーズにこたえるその時代時代に合った新しい技術を創造するのは大切なことなんですね。

V字回復のIBM 「巨象も踊る」


02 18, 2009 | Tag,IBM,ルイスガースナー,名著

巨象も踊る巨象も踊る
(2002/12/02)
ルイス・V・ガースナー

商品詳細を見る


コンピュータというとパソコンをイメージするかもしれませんが、パソコンが台頭する前の最初のコンピュータの需要は企業にありました。メインフレームといって、企業の基幹業務などに利用される大規模なコンピュータを作ってアメリカの代表的な企業に成長したのがIBMでした。

IBMは1990年代頃にはマイクロソフトやインテルに市場のシェアを奪われ、どんどん力を落としていきましたが、そこを救ったのが著者のルイス・V・ガースナーさんです。IBMの再生はこの人の力によるところが多かったようで、本書を読むとそのすごさが伝わってきます。

タイトルに巨象とありますが、これはまさしくIBMのことです。IBMは巨大な企業になったがゆえのジレンマに遭遇していました。複雑な組織階層、既得権益の横行、IBM語に代表されるような閉鎖的な企業文化を改革していくのにガースナーさんは苦労をされたようです。これは企業に限らずあらゆる規模の大きな組織にもあてはまることだと思います。例えば、官僚組織などでは同じことが言えるでしょう。



1990年初頭のIBMではそれまでのメインフレームが時代遅れとなっているのに、価格が維持され続けていたため、純利益は赤字でした。まずは何が何でも純利益を黒字にしなければならなかったわけです。

そのためにガースナーさんは大幅な価格低下とともに大幅な人員削減や社内情報システムの刷新、不要な不動産施設の売却等でコストを大幅にカットしました。また、社員のやる気を伸ばすためにリスクに見合った報酬を支払う成功報酬制への変更、ストックオプションの活用などを実行してきました。

このプロセス自体はそんなに驚くほどのアイディアではないような気がしますが、これを実際にIBMという超巨大企業で実行するのはものすごく大変なことだったのではないかと思います。

大きな組織ほど改革に対する抵抗勢力も強くなるのは必然です。赤字から回復するために、「分社化」するという提案もあったそうなのですが、ガースナーさんは「一つの会社」ということにこだわりました。大きい会社には規模のメリットというものもあります。優秀な経営者のもとでは巨大な組織も一つになって、V字回復を遂げられることが示されたのだと思います。


ガースナーさんはアメリカンエキスプレスやナビスコのCEOを経験されていますが、もともとコンピュータとは無縁の仕事をしていました。

こう考えると、組織のトップに最も必要な才能は、専門的な知識よりも「マネジメント」の力なのかもしれませんね。


最後にタイトルを象徴する言葉を。

「象がアリより強いかどうかの問題ではない。その象がうまく踊れるかどうかの問題である。見事なステップを踏んで踊れるのであれば、アリはダンス・フロアから逃げ出すしかない。」


すごくいい本でした。



写真だけでも見る価値あり 【雑誌】オバマ ホワイトハウスへの道


02 11, 2009 | Tag,バラク・オバマ,大統領,ホワイトハウス,TIME

オバマ ホワイトハウスへの道オバマ ホワイトハウスへの道
(2008/12/28)
「タイム」誌

商品詳細を見る

映像の持つ力が発揮されている雑誌です。掲載されている文章も興味深いのですが、この雑誌の見所は鮮明な写真でしょう。オバマ大統領の人柄がうかがえるかのような写真がいっぱいです。

個人的には私たちの手元に届くメディアの情報にはバイアスがかかっていると思っていて、いつもうがった見方をしてしまいがちなのですが、この雑誌を見てしまうと嫌でもオバマ大統領は素晴らしい人物だと思わされてしまいます。それだけ力のある写真が多いと思います。


本書の中で印象的だったのは「打倒ヒラリー」の部分でした。選挙戦を勝ち抜いた戦略やリーダーとしてのオバマ大統領が紹介されていました。

今回の選挙戦に勝利できたのは

1.新たな支持層の開拓
2.ボトムアップの選挙戦
3.チームワーク



にあると分析されています。

アイオワ州で新たな支持層を開拓したことでヒラリー・クリントンさんに勝利しました。
莫大な選挙資金が必要な選挙戦に献金以外に、Tシャツやバッジなどの「チャムストア」での草の根運動からの活動により資金と協力を得ています。
オバマ大統領をとりまく側近たちとのチームワークが良かったことも選挙戦を乗り切ることができた大きな要因だったようです。


とても参考になったリーダーとしてのオバマ大統領の言葉を紹介します。

コミュニティーオーガナイザーを務めた経験から言うならば、人を集めて指示を取り付けるつもりなら、せっけんを売るみたいに主張を押し付けてもだめだ。代わりに「これは君の選挙だ。君の持つ権利だ。だから権利を行使するんだ。」と伝えれば、人々は応えてくれる。我々はそうやって大統領選挙の勢力図を塗り替えた。


オバマ大統領の生い立ちは黒人の父親と白人の母親の間に生まれ、母と祖父母に育てられた少年時代は決して恵まれた家庭環境ではなかったようです。しかし、彼は自らの道を自分の手で切り開き、最高学歴を手にいれ、ハーバード大学を卒業し、弁護士になっています。

生い立ちは別にして、広く教養を身につけた彼は、初め黒人というよりは白人の知識層に支持される傾向があったようです。

大統領選に出馬するにあたり、これまでの支持層に黒人の有権者からも広く支持を得る必要がありました。それまでの彼は自分が手に入れたその学歴からか、どうしても知識層に好かれるような演説になりがちだったといいます。彼のすごい点の一つに、そこで自分を客観的に評価し、どうしたらより多くの黒人層も取り入れることができるスピーチができるか考えたところがあります。


上に挙げたオバマ大統領の考え方は一般のビジネスマンにとっても交渉の場面で役に立つ考え方かもしれませんね。




【書評】稲盛和夫の実学―経営と会計


01 26, 2009 | Tag,稲盛和夫,経営,会計,経営者

稲盛和夫の実学―経営と会計稲盛和夫の実学―経営と会計
(2000/11/07)
稲盛 和夫

商品詳細を見る


本書の著者稲盛和夫さんは京セラの創業者です。技術畑から20代で京セラを起業し、一代で世界的な企業に育て上げた名経営者です。

本書は稲盛さんが実践してきた、経営者として身に付けておくべき会計の知識についての本となっています。個人的には会計の細かい話も分かりやすく興味深かったのですが、稲盛さんの経営哲学が随所に書いてあり、そこがとてもおもしろかったです。経営者の本というと、最近では海外のものが多いような気がしますが、日本にも優秀な経営者というのはきっと多く存在するのだろうと思いました。


稲盛さんの会計学の原点は

「私が知りたかったのは、会計や税務の教科書的な内容ではなく、会計の本質とそこに働く原理」

というところから始まります。

そして、稲盛さんの経営全てに通じるのは

「経営の立場において私はいわゆる戦略・戦術を考える前に、公平、公正、正義、努力、勇気、博愛、謙虚、誠実というような、人間として何が正しいのか、ということを判断のベースとしてまず考えるようにしている」

という考え方です。稲盛さんの経営者としての考え方の根底にはこのような理念があったのです。



本書に書かれている会計にまつわる経営の原則は7つあります。

 1.キャッシュベース経営の原則
 2.一対一対応の原則
 3.筋肉質経営の原則
 4.完璧主義の原則
 5.ダブルチェックの原則
 6.採算向上の原則
 7.ガラス張り経営の原則

です。

1.キャッシュベース経営の原則
キャッシュフロー計算書が当たり前になる前から既にこの考え方を取り入れていました。勘定合って銭足らずで黒字倒産することにならないように、キャッシュフローを考えることが大切です。


2.一対一対応の原則
モノがあっても伝票が後からではこれも勘定合って銭足らずになりかねません。そこで伝票とモノは常に一対一対応させることが大切です。


3.筋肉質経営の原則
まとめて買えば安くなったように感じるけれども、使わなければ結局無駄になりトータルでのコストは高くつきます。必要最小限のものを買うようにしましょう。


4.完璧主義の原則
経営における会計ではどの点でも矛盾のないよう完璧を追求します。


5.ダブルチェックの原則
ミスや不正はダブルチェックで防ぎます。人間は間違うものだし、間違いを犯しやすいものです。そこで自分以外の目を通すことでこのような事態を避けます。

ちなみに、病院の中でもミスを防ぐのにこのダブルチェックが当たり前になっています。


6.採算向上の原則
採算を向上させるために、時間当たりの採算にこだわります。

この点もそうなのですが、これらは経営の話なのですが、勉強本にも通じるものがありますね。


7.ガラス張り経営の原則
京セラはいち早く情報開示や投資家のためのIRを行っていて、このような公正さが企業価値を上げることにつながったようです。



「企業の使命は、自由で創意に富んだ活動によって新たな価値を生み出し、人類社会の進歩発展に貢献することである。」

稲盛さんは、経営者としてだけでなく、人間としても素晴らしい人なんだろうなと感じました。



【経営と投資】花のタネは真夏に播くな


01 03, 2009 | Tag,経営者,経営,投資

花のタネは真夏に播くな ~日本一の大投資家・竹田和平が語る旦那的投資哲学~ (文春文庫)花のタネは真夏に播くな ~日本一の大投資家・竹田和平が語る旦那的投資哲学~ (文春文庫)
(2008/10/10)
水澤 潤

商品詳細を見る


著者の竹田和平さんは菓子メーカー竹田製菓の創業者であり、日経上場企業100社以上の大株主です。

本書を読むことで、経営者としての哲学と大株主としての投資哲学を学ぶことができます。

経営にしろ投資にしろ、随所に竹田さんの「見返りを求めずに与える。相手の喜ぶことをする。」と言った人生哲学が見えてきて大変興味深いと思います。


竹田さんは初めは竹田製菓のキャッシュを有効に利用するために、投資を始めたそうです。だから、当初買っていた株は圧倒的な大企業でした。ところが、竹田さんは一昔前に経営破たんした山一証券の筆頭株主で、それにより大損した経験を持っているのですが、それがきっかけで、企業の価値に比べて市場の評価が低い銘柄を選択して集中投資、長期保有を行うようになったそうです。


本書の中から名言を抜粋します。

経営に関して
  • 商品が市場から受け入れられなかったとき、市場を変えるのは困難だ。世の中に受け入れられなかったときは、どんなに大変でも市場から受け入れられるように自分を変える以外に方法はない。


投資に関して
  • ブームが終わってみんなが敬遠するようになれば、値段は暴落する。投資してもペイする水準まで値下がりしてから初めて投資に乗り出せばよいのである。

  • 経営者がお役所感覚だったり、天下り感覚だったりする会社には絶対に投資してはダメ。

  • 情報源は会社四季報。中でも一株利益、株主(自己)資本比率、PER(株価/1株利益)を目安に銘柄を選ぶ。

どうも竹田さんの投資法は大げさかもしれませんが、ウォーレン・バフェットさんと似ている気がします。

つまり、

企業の価値が市場の評価に比べて割安な銘柄を、現在のような多くの投資家が売りに走っている時にさらに割安に買い、長期保有する。

という投資法です。


読み物としてもおもしろかったのですが、成功した投資家の投資哲学に触れるという意味でもとてもおもしろい本だと感じました。




最新記事
Amazon
リンク
Ads
月別アーカイブ
ライセンス
Creative Commons License
この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
Related Posts with Thumbnails
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。