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資本主義の矛盾 「資本論 続・資本論 (まんがで読破)」


02 04, 2010 | Tag,資本主義,経済,貧困,労働問題,漫画

労働力などの可変資本、機械や工場などの不変資本、これらから付加価値を生み出して利益をあげていくのが資本主義社会。

労働力はその時の経済に合わせて交換価値が決まる。つまり、経済に合わせて値段が決まるということ。

機械などの不変資本が少なければ、可変資本、労働力の占める割合が大きくなるというようにトレードオフの関係になっている。

企業が利益を上げるためにはこれら不変資本や可変資本からできるだけ利益をしぼり出さないといけない。でも不変資本は機械とかだからしぼり出しようがない。可変資本からしぼり出すしかない。可変資本は労働力だからこれは可能。



企業がうまいことこの仕組みにのっとって利益を上げていったとして、資本も大きくなっていったとする。すると、労働者の給料は良くなって、給料が上がることが期待されるが実際にはそうならない。ここに資本主義社会の矛盾がある。

資本の増強に成功すると、次に向かう先は機械などの不変資本の増強だ。可変資本から利益をしぼり出すより、機械にお金をかけて生産の効率を上げた方が簡単だから。



こうして労働者にかかる負担が下がり、生産量がアップしたとする。すると、困ったことに利益率は下がってしまうのだ。なぜなら、剰余価値を生み出すことができる可変資本が増えていないから。

これでは労働力の付加価値は増えない。むしろ下がってしまう。労働力は交換価値として貨幣に換算されるので、労働力の付加価値が下がれば、生産量がアップしていたとしても給料は下がるという仕組み。これが資本主義社会。



この構図を見ると、労働者はいつまでたっても搾取される立場から抜け出せない。うまみがあるのは搾取する立場の人たちだけ。だから、資本主義社会に反対する人もいるわけだ。



本書の内容は1800年代の話だが、この構図は基本的には今の社会にもあてはまる。派遣労働者、日雇い労働者、ネットカフェ難民など、マルクスとエンゲルスの時代に起きていたことが顔を出している。

いちおう政府によるセーフティネットが整備され、基本的な人権を確保しようとする向きはあるが。

続・資本論 (まんがで読破)続・資本論 (まんがで読破)
(2009/04/28)
マルクスエンゲルス

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(2008/12)
マルクス

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貧困対策の切り札となりうるか 【書評】ベーシック・インカム入門


05 11, 2009 | Tag,ベーシックインカム,経済,貧困

ベーシック・インカム入門 (光文社新書)ベーシック・インカム入門 (光文社新書)
(2009/02/17)
山森亮

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本書はときどき話題にのぼるベーシックインカムについて解説した本です。

ベーシックインカムとは所得に関係なく、国民一人一人に決まったお金を給付するものです。そして、医療や教育、介護、保育、住居などにかかるお金もほぼタダです。

この制度のいい点はどんな人でもどうしようもない貧困に陥ることが少なくなる点でしょう。最低限のお金や福祉は国から与えられるのですから。

日本にはセーフティネットとして生活保護という制度がありますが、この制度の最大の問題点は現状では保護が必要な5人のうち1人しか保護が受けられていないことです。十分なセーフティネットを行き渡らせるなら、予算も5倍必要ということです。

過去にはアメリカ、イギリス、イタリアで女性を中心としたベーシックインカムの元になるような運動はありました。女性を中心とした、というのには意味があって、女性の家事が労働として認められず、労働の対価として報酬を得られないこと問題だという意見が出てきたのです。著明なところでいくと、過去にはキング牧師やその他のノーベル経済学賞受賞者のミルトン・フリードマンさんやジョージ・スティグラーさんなどもベーシックインカムという制度を支持していたようです。



このベーシックインカムという制度、いいことづくめなような気がしますが、問題点もあります。


1.国民が働かなくなるのではないか?
2.ベーシックインカムの財源は?


1.国民が働かなくなるのではないか?
これに対しては負の所得税という制度を反論に用いています。「負の所得税」というのは一定の基準に満たない所得の人が逆に所得税をもらえるというものです。これなら働いていないと給付をもらえません。この制度のもとではセーフティネットから漏れ落ちてしまう人は助けることができそうです。

働かなくなるのでは?という疑問以前に、現在の労働環境では人は「働きすぎ」ではないのか?という意見もあります。つまり、労働はどんどん効率的になっているのに、はじめに労働ありきなので不要な労働を生み出している可能性があるということです。雇用を前提とした既存の福祉国家の仕組み(保険・保護モデル)は立ち行かなくなってきているという意見です。


2.ベーシックインカムの財源は?
国会の会期が延長されても、あるいは国会を解散して総選挙をやっても、銀行に公的資金を注入しても、年金記録を照合するのにも全てお金がかかります。なのに、特定の話題のみ財源の問題が取りざたされるのはおかしいのではないかというのが本書の主張です。たしかにベーシックインカムが導入されれば社会保険庁などはいらなくなるので、そこから財源を確保できるでしょうし、後世に残しておく財産が必要なくなるので、相続税が100%となり、眠っている国内の資産がベーシックインカムの財源として有効に活用できるかもしれません。



「働かざる者食うべからず」という文化が浸透している日本ではまだまだこのベーシックインカムという制度には馴染めないかもしれません。その原因の一つにすべての人に一律に給付する、という点があるように思います。給付の条件には一定の基準を設けていいのかもしれません。例えば疾病や怪我で労働不能になった人、障害をもって労働不能の人、子供の養育や高齢者の介護にあたっている人などは給付を受けてもいいのではないかと思います。「衣食足りて礼節を知る」という言葉もあります。稼ぎたい人はどんどん稼げばいいわけで、どうしても稼げない人には最低限の生活の保障をしてもいいのではないでしょうか。


今回のベーシックインカムの話は多くの既得権益とぶつかる可能性があり、容易には実現しないような気がします。しかし、実現した世界を想像するとそう悪くないような気もします。個人の創造力には限界があるのでなんとも言えない面もありますが。





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景気対策の前にとりかかるべきこと 【書評】子どもの貧困―日本の不公平を考える


03 04, 2009 | Tag,子どもの貧困,貧困

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)
(2008/11)
阿部 彩

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本書は本当にこわい貧困について学べる一冊です。


日本の世帯所得の中央値(平均ではない)は254万円、その半分を貧困線と言いますが、つまり世帯での収入が127万円以下の家庭は貧困世帯と言えます。日本の社会は一億総中流といって格差のない社会だと言われてましたが、時代は変わりました。格差社会では個人が頑張れば頑張った分、所得が増えて豊かになれるという一面もあるかもしれません。しかし、本当に格差社会は善なのでしょうか。

本書を読むと、それは善ではなく、むしろ悪であると考えさせられます。貧困の解消に早急に取り組むべきだと。


理由の一つは医療の問題です。

昨年のことですが、医療では健康保険に加入していない子どもたちがいることがニュースになりました。

無保険の子ども324人 14市町197世帯が国保料滞納(和歌山)


日本の未来を支える子どもたちの中に十分な医療を受けられない子どもたちがいるという現実がある一方、日々のニュースでは高齢者医療ばかりクローズアップされている点も違和感のあるところです。



もう一つの理由は教育です。

教育を受ける機会は世帯の所得と関係します。
十分な教育を受けれなかった子どもは、他の子どもたちに比べて限られた職種にしか就くことができず、貧困から抜け出す機会が必然的に少なくなります。こうして貧困のネガティブスパイラルができあがります。



医療の問題にしろ教育の問題にしろ、子どもには罪はありません。問題なのは、このままでは貧困層に生まれてきた子どもがいつまでたっても貧困層から抜け出せないという現実です。

貧困層は母子家庭で多いのですが、これは母親が働きに出ても給料のいい職業に就くことができないことや、職を持っても子どもを育てながらだと、収入を増やしていくことは困難なのが現実です。子どもは大きくなっていくのに収入が増えていかないのでは、子どもにかけるお金を減らさざるをえません。このしわ寄せが医療や教育にきているわけです。

離婚しなければよかったんじゃないの?とか、頑張りが足りないのでは?という意見もあるかもしれません。それは一部では正しいのかもしれませんが、貧困のネガティブスパイラルが形成されてしまっている以上、日本の未来のためにもこれをどこかで断ち切る必要があるはずです。

生活保護や児童扶養手当などの社会保障制度はありますが、貧困層を支えるのに十分な補償がされるわけではないようです。また、社会保険料は逆進的な構造といって、所得に占める負担割合が低所得層ほど高くなる仕組みです。


最低限の医療や教育を供給することは当然として、景気回復とともに未来を見据えた子どもの貧困の解消が急務だと思います。



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