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結果を批判的に吟味できることは大事 「医学統計の基礎のキソ3」


10 26, 2012 | Tag,統計,論文

論文を読んでいて、その論文の目的と結論がわかりやすいとすぐ食いつきたくなります。
カロリーリストリクションやレスベラトロールが寿命の延長にいいとなればパクっと。トラネキサム酸が術中の出血量を抑えるのに有効だと分かればパクっと。

しかもその論文がある程度名の通っているものだと、その結果が導き出された過程にはあまり目がいかなくなります。悪い癖です。

教授になるような人は、論文の結果が妥当なものかきちんと統計的手法も含めて判断しています。いつだったかフェイスブックで「こんな論文があって、驚きの結果でしたよ」的なことを呟いたら、教授から結果の妥当性について、即座につっこみが入りました。

仰るとおりで、ぐうの音も出ず。。。nが少ないとp値もあてにならなかったりするわけです。

やはりですね、指摘されたことは自分でも気づいておくべきことだったわけで、気づいた上で呟いていれば良かったのですが、これはちょっとマズイなと。p値についても、p値が0.05未満ならなんでもOKという風潮があったりして、これも良くない。

もう少し論文の結果の妥当性について自分で判断したいと思っているところです。

こんな本を読んでみました。書いてある内容はそう多くないですが、基本的なことがわかりやすく書いてあります。


いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎のキソ 第3巻 研究の質を評価できるようになろう! (Dr.あさいのこっそりマスターシリーズ)いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎のキソ 第3巻 研究の質を評価できるようになろう! (Dr.あさいのこっそりマスターシリーズ)
(2010/10/15)
浅井 隆

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ダメ論文を見破るコツ!?とか、”有意差あり”という言葉に騙されるなとか、信頼区間の意味がわかったりします。

猪突猛進で論文を読んでいるような人はぜひご一読を。


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カルシウムをとり過ぎると心筋梗塞のリスクを高める!?


11 24, 2011 | Tag,医療,BMJ,論文,心筋梗塞


What do YOU eat for breakfast? / Lintilla


カルシウムのサプリはビタミンDの内服があるなしに関わらず、心血管疾患を発症するリスクを高める。


 >>Calcium supplements with or without vitamin D and risk of cardiovascular events: reanalysis of the Women’s Health Initiative limited access dataset and meta-analysis | BMJ

Britis Medical Journal (BMJ) からです。


ホントですか。骨粗鬆症の治療で僕らはカルシウムを処方する場合がありますので、他人事ではありません。

この場合の心血管疾患というのは心筋梗塞とか狭心症のことを指しています。

量にもよるのだと思いますが、1日1gのカルシウム投与は危険かもしれないと。

覚えておかないとですね。




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変形性関節症にコンドロイチン硫酸が効くかも


09 19, 2011 | Tag,整形外科,論文,コンドロイチン硫酸

この論文は興味深いです。

手の変形性関節症にコンドロイチン硫酸が効いたという論文です。一施設で二重盲検法を用いて調べています。


 >>Symptomatic effect of chondroitin sulfate 4&6 in hand osteoarthritis the finger osteoarthritis chondroitin treatment study (FACTS) - Gabay - Arthritis & Rheumatism - Wiley Online Library


手の変形性関節症で多いのは指でしょうか。第1関節の変形性関節症のことをへバーデン結節といって特殊な名前がついたりしています。外来をやっているとよく遭遇します。

コンドロイチン硫酸(コンドロイチン硫酸)は軟骨の基質です。

これを1日800mg6ヶ月間摂取すると痛みや機能が改善したそうな。

コンドロイチン硫酸のサプリなら、膝の変形性関節症にも効いたりするんじゃないかと期待できるかもです。

テレビや新聞の広告でグルコサミンがさかんに膝の変形性関節症に効くように宣伝されていますが、グルコサミンの効果は今のところ不明です。

コンドロイチン硫酸とグルコサミンは別の物質ですからね。誤解のないよう。




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人工股関節の素材~ポリエチレンか金属か~


12 21, 2010 | Tag,医療,整形外科,人工関節,論文

膝の痛みや股関節の痛みで苦しんでいる高齢者は多い。痛いもんだから、外出する機会も減る。刺激を受ける機会が減るからだろうか、気力も体力もどんどん衰えていってしまう。

変形性関節症や関節リウマチといった病気では関節の破壊が進行し、それによる痛みが発生する。

これらの治療において、もちろん自分の骨を温存できるのが一番なのだが、病勢が強くてそうも行かない場合がある。

そんな時に最後の手段としていい治療法がある。それが人工関節だ。これを行った患者さんたちの多くはとても満足して退院していく。


いい治療法なのだが、まだ未解決の問題がある。

3つ挙げると、
  1. 感染
  2. 人工関節のゆるみ(耐久性の問題)
  3. 脱臼
である。

今日は2,3に関して最近関連した論文に目を通したのでここに書いておく。


人工股関節では素材に関して、しゅう動面に金属とポリエチレンを使った場合、金属と金属を使った場合の2通りの選択肢がある。

poly.jpg
金属と金属の間にある白い素材がポリエチレン。


metal.jpg
こちらが金属と金属で組み合わせた人工股関節。


どちらがいいか結論は出ていないが、臨床の現場での多数派はまだ金属とポリエチレンを使った方である。


金属と金属を使った人工関節は最近
  1. 脱臼を減らす
  2. 摩耗を減らす 
という点で注目されている。

脱臼を減らすためにはHeadという部分が大きい方がいいのだが、そうすると、金属の摩耗が増えてしまうのではないかと危惧されている(ジレンマ)。金属がイオンとして血中に入り込み、人体に害を加えるのではないかとということだ。

それに対して、以下の論文はそうでもないから大丈夫と主張している。
SpringerLink - Clinical Orthopaedics and Related Research®, Online First™


次の論文は、脱臼も少なく、摩耗も少なければ人工関節としては耐久性に優れているはずだから、やむを得ず若い人に行う場合にいい素材になるのでは?と主張している。
Metal-on-Metal Hip Arthroplasty in Patients Thirty Years of Age or Younger -- Girard et al. 92 (14): 2419 -- Journal of Bone and Joint Surgery



まだまだ結論は出ませんが、人工関節の素材についてはこれからも研究が続けられていくものと思います。



コンドロイチン、グルコサミンの効果 論文(NEJM)から


11 16, 2010 | Tag,整形外科,サプリ,NEJM,論文,コンドロイチン,グルコサミン

新聞を読んでいると、コンドロイチンやグルコサミンのサプリの宣伝をよく見かけます。

”関節痛をなくして、痛みのない快適な生活を”という内容のものです。

若い人は興味がわかないかもしれませんが、高齢者にとって関節に痛みがあるということはとても大きな問題です。

高齢者の膝痛は変形性膝関節症に由来するものが多く、町中で見かける高齢者のO(オー)脚はほとんどコレです。

膝の軟骨がすり減って、さらには骨の変形をきたすものだ。一種の老化とも考えられます。だから、若い頃のような膝に戻して欲しいと言っても、それは難しいのです。

なので通常、治療は 貼り薬飲み薬などの鎮痛薬を用いたり、運動療法などの理学療法を用います。理学療法というのはリハビリのことですが、リハビリの効果はあなどれません。なかなか患者さん自身に指導しても長続きしないということが多いのですが。。 

それでもダメな人は膝関節の中にヒアルロン酸の注射をします。

それでもダメなら人工膝関節などの手術の適応となります。人工関節の手術は昔と比べてだいぶ進歩しており、比較的安全にいい長期成績を残せるようになってきています。

しかしながら、誰しも初めから手術を望む人などいません。医師もできれば手術をせずに治せればいいと思っています。


そこで、軟骨がすり減るんだったら、それを作るような物質を摂取すればいいのではないか?という発想に至ります。

軟骨を構成する成分にコンドロイチンやグルコサミンなどがあるので、これをターゲットにしてみてはどうか?と。

たしかにコンドロイチンやグルコサミンを摂取することで軟骨が復活するようなことがあればいいのでしょうが、実際のところどうなのでしょう。

現在市販されているサプリはこの点に注目しているわけですね。


しばらく前の論文ですが、NEJMというメジャーな論文でそのことについて検討されていましたので紹介しておきます。

Glucosamine, Chondroitin Sulfate, and the Two in Combination for Painful Knee Osteoarthritis ― NEJM

この論文が示しているのは、コンドロイチンやグルコサミンは内服しても、明らかな効果を認めなかったということ。有意差をもって効果が証明されてはいません。

結論のところでさらなる研究の継続が必要ということが付記してありますが、絶対効きますということは決して言えないということです。

「痛みに対しては効果があるかもしれないし、内服しても大した副作用はないから、飲みたい人は飲んでみればいいかもしれない。」という程度です。


それなのに、サプリの売り手があたかも根本的な治療になるかのような誇大広告を打つのはどうなんでしょうかね。

あれを見たら、消費者はとてもよく効くと思ってしまいますよ。僕のまわりにもそう思っている人がたくさんいて、よく相談されます。

新聞などで一面を使って広告が掲載されているのを見て、そう感じた次第です。


グルコサミン - Wikipedia

コンドロイチン硫酸 - Wikipedia

軟骨 - Wikipedia




高齢者の骨折と死亡率


10 07, 2010 | Tag,整形外科,骨折,大腿骨頚部骨折,論文

femur1.pngなんとなく感覚としてはそうなんだろうなと思っていたのですが、それを論文としてまとめているものがあったのでご紹介。

骨折はあまり死なない病気なんてことがよく思われているのですが、高齢者の骨折はちょっと違います。それ自体が身体の衰えを表しているのでしょう。骨折を契機に具合が悪くなって死亡につながるなんてことがよくあります。

以前に大腿骨頚部骨折で、手術介入の時期による死亡率の差、なんて論文(Early mortality after hip fracture: is delay before surgery important? Moran CG, Wenn RT, Sikand M, Taylor AM. J Bone Joint Surg Am. 2005 Mar;87(3):483-9.)を見かけましたが、今回は大腿骨遠位の骨折でした。大腿骨遠位というのは大腿骨の中でも膝に近いところのことを指します。

Clin Orthop Relat Res. 2010 Sep 10.
Mortality After Distal Femur Fractures in Elderly Patients.
Streubel PN, Ricci WM, Wong A, Gardner MJ.

60歳以上の患者92人、1999年から2009年までのデータに基づいています。

この論文によれば、大腿骨遠位の骨折では頚部骨折と同様、手術の遅延(4日以上たってからの手術)は6ヶ月後死亡率、1年後死亡率に悪影響を与える、というのが結論です。

48時間以内に手術を行った場合の6ヶ月後死亡率は5%、1年後死亡率は6%。それに対して4日以上たってから手術を行った場合は6ヶ月後死亡率が35%、1年後死亡率が47%だそうです。



手術が必要な患者にはさっさと手術をするのが一番です。それは整形外科医なら誰でも分かっていることだと思います。

しかしながら、実際の臨床の現場では手術枠の確保とか、麻酔科との兼ね合いとか、なかなか一筋縄ではいかないハードルが立ちはだかります。

科をあげて、手術室、病院をあげて考えていかなければいけない問題なのです。




RSSを使っていない?それはもったいない


07 16, 2010 | Tag,知的生産,論文,RSS

RSS(RSS - Wikipedia)がどういうものなのかを後輩に解説していて思った。

もしかしたらRSSのことを知らない医者、ビジネスマンってたくさんいるんじゃないだろうか。少なくとも僕が働いている職場では、どうも知っている人はいなさそうなのである。

だから今日はRSSのこと、僕のRSSの使い方をちょっと書いてみる。


僕はGoogleリーダーGoogle リーダーを使っている。

これにいつも読んでいるブログやニュースを登録してだいたい毎日目を通している。

中でも登録しておくとすごく便利なのは”論文”だと思っている。

僕はNEJMやLancet、他には整形外科関連の論文をいくつか登録して、更新したら目を通すようにしている。


通常は珍しい症例のこととか、この現象は新しいことなのだろうか、とか疑問に思ったら積極的に答えがありそうな論文を探す。

しかし、そういう疑問解決型の論文検索だけでなく、自分が関わっている分野のトピックスを押さえておくために、普段から論文に目を通しておくことは必要だと思っている。


そういう時に役立つのがRSSだ。購読したい論文を登録しておけば、新しい論文が発表されたら自動的に教えてくれるのである。

論文購読にRSSを利用するためには、個人でその論文を有料購読するか、所属する病院がe-Journalを購読している必要があるのだが、それさえクリアできていればすごく便利な機能だと思う。

図書室に足を運んで、紙の雑誌をパラパラめくるのもいいんだけど、正直それはめんどくさいでしょう。

RSSで届いたサマリーにざっと目を通して、興味を持った論文だけきちんと読む。これならめんどくさがりな僕にもぴったりの方法だった。


論文じゃなくても、気になるブログやニュースサイト、なんでも定期的にそこから情報を収集したいと思う事柄はRSSに登録しておくと思わぬ見逃しがなくなっていいんじゃないかと思う。

いまさらですが、RSS利用のすすめでした。




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体内金属インプラント 抜釘(ばってい)は必要か


03 24, 2010 | Tag,抜釘,整形外科,骨折,論文

以前に書いた手首の骨折(橈骨遠位端骨折) 最近の知見 - メタノートのエントリにコメントをいただきました。コメント主の方は手首を骨折してロッキングプレート固定により治療されたとのことです。その後、抜釘(体内に入れた金属を抜去すること)をするべきかどうか悩んでおられました。

最近ちょうどその抜釘に関する論文を読んだことと、日常診療で経験していることを合わせて書いてみようと思います。


参考:Hardware removal: indications and expectations. [J Am Acad Orthop Surg. 2006]


抜釘が必要だというもっともらしい理由

痛みの原因となる
スクリューが皮膚に触れるぐらい浅い位置にあったりすると、それが痛みの原因になったりします。原因がはっきりしていれば、それをとってあげることで痛みの症状はよくなるはずです。

しかし、骨は癒合しているのにどういうわけか痛みを訴える場合があります。こういう症例はむやみに抜釘をしない方がいいかもしれません。
というのも、抜釘をしても完全に痛みがとれたのは5割だとか3割で、それ以外は多かれ少なかれ症状が残ったというデータがあるからです。


医療者側としては、こういうデータを踏まえて抜釘する場合には痛みが残存するかもしれないということを十分患者さんに説明しておく必要があるでしょう。


発癌性がある
動物実験レベルで金属イオンがDNAに結合してタンパク質の合成を変化させてしまうとか言われてるみたいです。実際にはインプラントの発癌性については一致した見解がありません。証拠がないということです。

この論文では発癌性のリスクはあったとしてもとても小さいため、これを理由に常にインプラントを抜去する必要はないとしています。


金属探知機にひっかかる
これは仕方がないです。飛行機に乗る時に、手荷物検査で係の人に呼び止められてしまう。現在の金属探知機では、体内金属を検出してしまうことは少ないそうですが、どうでしょう。呼び止められることもあるのではないかと思います。そういう時のために、レントゲン写真のコピーを持ち歩くとか、主治医に診断書を作ってもらうように頼んでみるとかするといいと思います。



抜釘を行った時のリスク

再骨折の危険性
これはあるでしょう。金属を抜いたら、その直後は骨の中に空洞ができているわけですからね。例えば、スクリューが入っていたような場所はストレスが集中して折れやすいそうです。もちろん、骨が十分できていないうちに抜釘してしまっても折れてしまう可能性はあります。だから抜釘する時期としては手術後1年というのが一般的です。

金属を抜いた後も4ヶ月くらいは激しい運動を避けて、再骨折に注意する必要があるとも述べられています。

日本の病院だと抜釘したら1ヶ月もしないうちに、「あとはご自由に」的な対応をされるかもしれません。再骨折のことを考えると、十分用心した方がいいです。


手術そのものの危険性
抜釘とは言ってもそれは手術ですからね。それに伴なうリスクというのも生じてきます。例えば、血管や神経の損傷、傷の問題等です。抜釘に伴って3%の症例になんらかの合併症が生じたという報告もあります。

逆にインプラントを抜かなかった場合ですが、インプラントを入れておいたからといって、インプラント周囲の骨折を誘発するというデータはほとんどありません。十分な骨癒合が得られていれば、強度としては完全になるということです。激しいスポーツをしてもOKです。



小児の場合

大人と同様の理由で、ルーチンには抜釘することはありません。

日本だと子供だからという理由だけで抜釘している施設もあるかもしれない。




この論文はアメリカのものですが、以上を踏まえた上での結論としては、「ルーチンに抜釘をする必要はない」です。

ただ、日本ではそうは言っても、金属が何か問題を起こしたら嫌だという心理もあり、抜釘を行うことが多いと思います。

日本では抜釘に対してきちんと診療報酬が定められていますし、保険会社もこれに対してお金を給付します。アメリカは保険会社のチェックが厳しいですから、絶対には必要でない抜釘に保険会社がお金を払ってくれないのかもしれません。

アメリカの事情とかを知っている医師だと抜釘する必要ないと言うかもしれません。日本だと担当医の考え次第でやるやらないを決めているのが現状ではないかと思います。個人的には他の国では抜釘していないのに、日本では抜釘するというのもおかしな話かなと思っています。

コメント主さんの質問にあったように橈骨遠位端骨折において、ロッキングプレートを留置しておいたことでFPL(長母指屈筋腱)が断裂したという報告がありますが、多くはそういうことは起こらずに経過します。

問題ないとはいえ、体内に異物がいつまでも存在しているのは気持ちが悪いという人もいるかもしれません。気持ちはわかりますが、その場合は上に書いたような抜釘する場合のリスクも少し頭の中に入れておくといいと思います。


あ、例えばステンレス製のインプラントが入っている場合はMRIを基本的に撮れないことになっているので気を付けてください。チタンならOKです。最近のプレートとかだと、チタン製のものが多いですけど、まだまだステンレス製もなくなっていません。MRIが威力を発揮するような疾患、例えば脳梗塞とか、なんらかの基礎疾患を持っている人は主治医と相談して抜釘するかどうか決めるのがいいと思います。

抜釘を希望する人は最初の手術後、約1年がそのタイミングです。
もし抜釘の手術をうけることになっても、インプラントが抜けないリスクというのもあります(骨ができすぎていて抜けなかったり、スクリューのネジ山が壊れていたり)。担当医から術前に説明があるとは思いますが、念のため付記しておきます。




理科系の作文技術


11 02, 2009 | Tag,文章力,論文

事実と意見をはっきり区別して、構成も階層を意識して簡潔明瞭に書ききる。論文に必要とされる文章はそんな感じでしょう。

ブログに書く文章とは少し趣が違いますね。ブログはそこまで形にこだわる必要はないし、管理人の色を出した方がいい文章、アクセスを集められる文章になっているのではないかと思います。

今日紹介する本は論文を書くときに大いに役立つ本です。著者は大学の物理の先生で、本書の内容は理科系の学術雑誌に投稿してアクセプトされるための文章術になっています。

理科系の学生は必須ですが、文系の学生でも参考になるところはあります。

理科系の作文技術 (中公新書 (624))理科系の作文技術 (中公新書 (624))
(1981/01)
木下 是雄

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最初の方では、準備作業(立案)、文章の組立て、パラグラフ、文の構造と文章の流れなどは一から論文を書こうと思っている人にヒントを提供してくれています。実戦的です。


後半部分の、文章についての注意点は文系の人にも参考になる内容でした。特になるほど、気をつけなくてはと思った部分はこの2か所でした。論文書きでなくても役立ちそうな内容です。


はっきりと言い切る姿勢

著者も言っているのですが、日本人はとかく明言を避けたがる遠慮深い人種であるということです。痛いところをついています。こんな表現使ったことないでしょうか。

「~と思われる」
「~と考えられる」

この「れる」、「られる」は文法的には受け身ではなくて自発もしくは可能の助動詞といったところでしょう。この表現のまずいところは当否の最終的な判断を相手にゆだねて自分の考えをぼかしているというところです。まさにその通りだと思います。

前に日本語の論文を投稿したとき、このような表現は訂正を求められたのを思い出しました。やはり曖昧な表現は避けて「自分は~と思う」とか「~と考える」といった表現にすべきですね。


わかりやすく簡潔な表現

日本語の特徴として修飾語がダラダラと長くなりやすい、というところがあります。一文が長くなりすぎてしまうのですね。志賀直哉のように文章の達人であれば、それでも分かりやすくて美しい日本語が作れるのでしょう。しかし、一般の人はそうはいきません。

やはり長くなりすぎた文章は、分解して短い文にわけていくべきでしょう。そして、短い文どうしは適切な接続詞でつないであげると。


それとわかりやすく簡潔なというよりは、視覚的に読みやすい文章として漢字の量に注目してるところがびっくりしましたね。論文などの硬い文章でも漢字の量には気をつけた方がよさそうです。

著者はパラグラフの見た目の「黒さ」には気をつけるために自分自身の記法を決めているようです。例えば、及び→および、並びに→ならびに、初めて→はじめて、再び→ふたたび、普通→ふつう、などなどです。

私の場合、すぐにパソコンのスペースキーを押して漢字にどんどん変換してしまうクセがあります。まずはブログから少し漢字の量を減らしてみようかなと思いました。



最後のほうはブログ書きにも役立つ内容だったのではないでしょうか。

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客観的で主張のはっきしりた文章を書きたい人、そんな人にお薦めの一冊でした。




人工関節と感染 J Bone Joint Surg Am. 2009 Oct;91(10):2480-90.


10 22, 2009 | Tag,整形外科,論文,JBJS,メモ

整形外科、というか全ての外科系の科では手術に伴う感染のことが気になると思います。

特に整形外科では、プレートやスクリュー、髄内釘などのインプラントを体内に入れて骨を固定します。

医学の進歩が著しいとはいえ、そういったインプラントそのものには免疫能がありません。なので、インプラントに細菌が感染すると、なかなか大変なことになります。

場合によってはせっかく入れたインプラントでも挿入に抜かざるをえない場合があります。これは最悪のシナリオですが。

抗生物質があるじゃないか、と抗生物質を手術前後に使っても、そのリスクはゼロにはなりません。


整形外科の手術の中でも特に人工関節における細菌感染はいまだ悩みの種です。

今回読んでみた論文はそんな人工関節の感染にまつわる話でした。メモ代わりにエントリーしておきます。



Current Infection Rates Associated with Elective Primary Total Hip and Knee Arthroplasty

 初回の人工股関節全置換術(THA)と人工膝関節全置換術(TKA)の感染率はTHAで0.25%~1.0%、TKAで0.4%~2%である。


Historical Perspective: Investigations of the Role of Prophylactic Antibiotics in General and Orthopaedic Surgery

 抗生剤の予防投与を行ったことで、感染率が8.7%から1.7%に下がった例がある。つまり、抗生剤の予防投与は有効である。

↑今やあたりまえ。


Other Measures to Reduce Infection Rates

 感染予防にクリーンルーム、清潔ガウン、二重手袋を使うのは有効である。

↑これも今やあたりまえ。


Common Causes of Surgical Site Infections in Hip and Knee Arthroplasty

  多いのは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)や表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)という菌種。


Prophylactic Antibiotics in Institutions with Low Bacterial Resistance

 よく使っているセファゾリンはグラム陽性球菌に有効なだけでなく、骨、滑膜、筋肉、血腫への組織移行性もよい。

 セファゾリンでアレルギーを起こす場合はクリンダマイシンがよくつかわれている。


Dosage of Parenteral Antibiotic Prophylaxis

 セファゾリンなら一回1g(体重80kg以下)、体重80kg以上なら一回2g。
 クリンダマイシンなら1回600~900mg。

 手術が長引くようならセファゾリンは2時間から5時間ごとに投与を繰り返すこと。

↑忘れがちなので覚えておきたいですね。


Duration of Parenteral Antibiotic Prophylaxis

 AAOSは種種の報告から術後24時間を超えて抗生剤投与を続けることを推奨しない。長く投与することの有効性が証明されていないということ。

↑この辺、年配の先生たちはいまだに受け入れられないみたいです。術後2,3日もしくは術後1週間という長い期間抗生剤を投与している先生もいます。


Changing Epidemiology of Staphylococcal Infections

 MRSAが増えていると。MRSAというのは抗生物質が効きづらくなった黄色ブドウ球菌の耐性菌です。

↑MRSAはやっかいです。薬がないわけではないのですが、治療に難渋することが多いと思います。


Prophylactic Antibiotics in Institutions with High Bacterial Resistance

 予防的にバンコマイシンを使うことに関しては議論の余地が残る。
 AAOSはβラクタムアレルギーの患者に限って使用するべきと推奨している。
 もしくはMRSAの感染率が高い施設。

↑バンコマイシンがMRSAの治療薬になります。


Role of Screening for Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus

 鼻腔のMRSAを除菌をしても術野の感染は減らない。

↑MRSAを保有していることと、手術部位がMRSAに感染するということは別問題のようです。


Local Antibiotic Prophylaxis

 抗生剤入りのセメントは感染予防によさそうです。

↑整形外科では手術中にセメントを使って固定したりします。


 >>Prophylactic antibiotics in hip and knee arthroplasty. Meehan J, Jamali AA, Nguyen H. J Bone Joint Surg Am. 2009 Oct;91(10):2480-90.


抗生剤の予防投与は手術中の血中濃度を高く保つことが大切。そして、術後は24時間以内の血中濃度が保てれば、それ以降は抗生剤投与は不要ということです。

セファゾリンでアレルギーを起こすなら、クリンダマイシンを使います。MRSAの発症率が高い施設では躊躇くなくバンコマイシンを使うことが必要です。


このあたりのことは明日からの臨床で使えそうです。




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