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「病院経営のしくみ」 


06 17, 2010 | Tag,病院経営,診療報酬

だれでもわかる!医療現場のための病院経営のしくみ―医療制度から業務管理・改善の手法まで、現場が知りたい10のテーマ
本書を読んで、病院経営もある程度体系立てて考えていかないといけないんだなと思った次第です。

思考の枠組みがあった方が考えやすいということです。

例えば、”6つの医療の質”として、安全性、有効性、患者中心志向、適時性、効率性、公平性が挙げられていたり、

有名なPDCAとか、QC(Quality Control)、TQC、TQMといった経営の教科書に出てきそうな話が出てきます。



いまさらですが、本書を読んで気づいたことがあります。

病院経営で儲けを増やす手段として、”加算”項目がかなり大きいということです。

通常の心電図や心エコー、レントゲンなどの検査、手術や薬の値段、これらはどこの病院に行っても同じです。病院が個々に値段を決めることはできません。

日本の医療のほとんどが保険診療です。値段は中央社会保険医療協議会 - Wikipediaで決められています。


加算項目は「保険診療で医療行為の値段がすべて決められてしまっているなか、病院はどうやって儲けを増やすのか?」という疑問に答えてくれます。


診療報酬の構造は初・再診料や入院料といった基本診療料と検査や治療などそれぞれの医療行為に対する特掲診療料という2つに大別されています。

そして、基本診療料には、加算項目があります。例えば入院基本料等加算です。

大きな病院ほどこの加算項目をとりやすく、それを利用して儲けを増やそうとします。

例えば、救急医療管理加算(800点/日)というのがあるから、病院は救急をやることに積極的になります。

医療安全対策加算(85点/初日、35点/初日)とか褥創患者管理加算(20点)というのがあるから、病院内には医療安全対策チームとか、褥創対策チームが結成されます。

これらの加算はその時々の医療政策と密接に関係しています。医療費削減のために後発医薬品の使用が叫ばれてしばらくたちますが、後発医薬品使用体制加算(30点)というのを作って病院に後発医薬品の使用を促したりしています。



これらは金銭的なインセンティブをつけて、病院にあるべき機能を持たせようとする厚労省の政策でもあります。

これ自体は悪い制度ではないのですが、中には加算はとっているけど、実態がないというようなこともあったりします。

病院の中で生活していると、ある日突然なんらかの委員会が発足してることに気づいたりします。そして、その委員会の中に自分の名前が入っていてびっくりしたり。

その影にはこういった診療報酬加算の影響があることは間違いないということです。


だれでもわかる!医療現場のための病院経営のしくみ―医療制度から業務管理・改善の手法まで、現場が知りたい10のテーマだれでもわかる!医療現場のための病院経営のしくみ―医療制度から業務管理・改善の手法まで、現場が知りたい10のテーマ
(2008/07/15)
木村 憲洋医療現場を支援する委員会

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これからどうなる?病院と診療所


11 01, 2009 | Tag,医療,病院経営,診療報酬

いずれもasahi.comのニュースから。



厚生労働省は30日、病院や診療所の経営状況を調べた医療経済実態調査をまとめた。09年の1病院当たりの収支は、前回調査時(07年)より改善したもの の、195万円の赤字。診療所は128万円の黒字だった。月額給料は、開業医の平均約207万円に対して、介護収益2%未満の病院の勤務医は約107万円 で、倍近い差となった。


それぞれの病院で赤字か黒字か違うんだろうけど、だいたいどの病院も同じように経営が苦しいのではないかと推察する。

診療所は黒字なのに、病院は赤字。この実態に影響を及ぼしているのが、「診療報酬」だろう。


診療報酬は 中央社会保険医療協議会(中医協) で決められた医療行為の値段である。例えば再診料なんかは病院よりも診療所の方が高くなっている。

日本医師会は開業医の影響力が大きいと言われている。これまで中医協の中で大きな発言権を持っていたのは日本医師会の代表者だった。

そうすると、中医協は開業医の利益を優先するように考えるだろう。その結果が、再診料なんかに表れているということだ。

長妻厚生労働大臣はこのあたりにメスを入れて、病院がもっと儲かるようにしようと考えているらしい。


病院の経営が診療所の経営に比べてよろしくないというのは、給料の面にも表れている。医師の給料は経験年数によって変わってくる。診療所で働く開業医の多くはそこそこ経験を積んだ人のはずなので、若手が多い病院とは単純な平均では比較できない。

疲れた勤務医が病院で働き続けることに疑問を感じ、開業することを決意することは現実に多い。だいたい開業医の方が労働時間や給料の面から魅力的なのだ。

だから、勤務医として働いている私としては診療報酬改定で病院の経営がよくなって、自分の給料が上がるのは歓迎する。(ちなみに今の自分の給料はここで公表されている給料より全然少ない。これは受け取って当然なはずの手当てが支給されていないことも関係している。これも病院の経営状態が関係している!?)


でも、以前声高に叫ばれていた病診連携をもっと強化する、という話はどうなってしまったんだろうとも思う。

病院が今より勤務医の数を充実させて、地域の患者さんを囲い込み、儲かるようになってしまったら、病院から診療所に患者を紹介するというインセンティブが働かなくなってしまうんではないだろうか。

個人的にはこれまで通り病診連携の強化はもっと必要だと思う。大きな病院をドーンと作ってその周りにサテライト的な診療所をたくさん作る。外来診療ですむ患者さんは診療所へ。詳しい検査が必要な患者さんや手術が必要な患者さんはある程度の検査を済ませたうえで大きな病院へ。これが適切。

開業医がどんどんつぶれてしまうくらいの行き過ぎた診療報酬改訂にならないことを望む。


注:ここでの「病院」は一般的にイメージする大きな病院、「診療所」は開業医がやっている病院のこと。


医療費と診療報酬 【書評】医療問題


08 05, 2009 | Tag,医療問題,医療,診療報酬

本書は日本の医療制度と2006年の医療改革を中心に書かれていますが、今の医療制度を理解するのにも役立ちます。


先日、診療報酬の不正請求をめぐる詐欺容疑で摘発された山本病院ですが、今回はこのニュースと関係の深い診療報酬制度のことについて書いてみます。

ベーシック 医療問題 (日経文庫)ベーシック 医療問題 (日経文庫)
(2006/11)
池上 直己

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まずは医療費負担のこと

国民医療費は約31兆円ですが、それは誰が負担しているのでしょうか。

簡単に分けると、企業、国、病院にかかった本人です。これらがどれくらいの割合で負担しているのかを調べてみると、その内訳は保険料が15兆円、自己負担が5兆円、税金が10兆円となります。つまり、保険者が約半分、税金が約35%、医療をうけた人が15%を負担しています。

税金や自己負担は分かりやすい財源ですが、保険者というのはなんでしょうか。保険者が全体の約50%も負担しています。

保険者といのは企業や学校などが運営する組合健保や共済組合、中小企業を助けるために政府が運営している政府管掌健康保険組合(政管健保)、自営業者は無職の人々のためにある国民健康保険(国保)などです。(政管健保は2008年10月に全国健康保険協会が運営する協会けんぽに変わりました。)

これらの組合が保険料の一部を負担しています。

組合健保であれば、企業が保険者負担分の全てを負担します。政管健保にはそこまでの経済的な余力がないので国がある程度補って負担します。医療費全体の14%です。国保は負担してくれる組織がないので、すべて国が負担することになります。医療費全体の50%です。

国保の場合は医療費の85%が国からの財源でまかなわれていることになりますね。

定年退職した高齢者が多くなればなるほど国保加入者が増えるので、政府の負担が増えます。だからなんとかして退職者の分の保険料も組合健保に負担してもらおうと躍起になるわけです。


医療費負担と診療報酬との関係

どうして政管健保や国保では政府が補てんしないといけないのでしょうか。

それは、医療行為や薬価が決められた額に設定されていることが大きく関係しています。国民一人一人の負担割合が決まっていることも原因の一つです。政管健保や国保では自己負担で足りなかった分を企業が負担してくれないので、かわりに政府が負担してあげる必要があるのです。

アメリカのように保険者が自由に価格を設定すると、保険者により受けられる医療に差が出ます。お金のある人ならこれでいいでしょうが、ない人は大変です。生活困窮者はただでさえ病気になりやすいのに、早めに病院にかかれなかったら病状が悪化してから病院に運ばれるという事態になります。病院内で最もコストがかかるのは急性期医療ですから、お金がない人に対して優しくない医療制度は医療費高騰の原因にもなります。また、病院としてもこれらの患者からはきちんと医療費を支払ってもらえないでしょうから、経営が圧迫されることになります。

定められた医療の価格のことを診療報酬(レセプト)と言います。日本では教授が行った治療も、研修医が行った治療も同じ行為であれば、同じ額しか支払われません。診療報酬制度に基づいているからです。価格が定められていれば、ある程度総医療費もコントロールできるはずです。


不正請求事件の病院に月2千万円売り上げ、詐欺容疑業者




では、つい先日のこの事件はどうして起きたのでしょうか?

診療報酬明細(レセプト)ですが、これは病院で作られた後、厚生労働省の諮問機関である中医協の審査にまわります。そこで有識者によるチェックを受けてOKなら診療報酬が支払われます。

チェックといっても有識者がきちんと目を通すことがきるレセプトの数には限りがあります。膨大な量のレセプトに少ない数の審査員が全て目を通すのは無理な話です。これは容易に想像がつきます。ということは、ある程度チェックの目をすりぬけたレセプトが認められ、診療報酬が支払われることになります。また、レセプトは紙、もしくは電子システムです。いずれも入力するのは人間ですから、恣意があればいくらでも改ざんできます。それがチェックする人の目をすり抜けると、今回の山本病院のような不正請求につながります。


日本の医療制度における診療報酬制度は国民に平等な医療を提供する、医療費をコントロールするという意味では立派な仕組みかもしれませんが、今回のように不正請求をすり抜けてしまうという脆い一面も持っているということです。

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