スポンサーサイト


-- --, --

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


ニュータイプの犯罪者たち 「"職業”振り込め詐欺」


01 20, 2010 | Tag,犯罪,振り込め詐欺

一時期よりは騒がれなくなったでしょうか、振り込め詐欺という言葉。昔はオレオレ詐欺とも言ってました。

電話を使い、巧妙な手口で私たちの家族からお金をだまし取っていきます。



職業”振り込め詐欺” (ディスカヴァー携書)職業”振り込め詐欺” (ディスカヴァー携書)
(2009/10/03)
NHKスペシャル職業”詐欺”取材班

商品詳細を見る
被害者の心境は想像するに余りあるんですが、本書を読んで興味深かったのは犯人達の背景や心理です。

振り込め詐欺は集団で行われます。主犯格は捕まらないようにピラミッド形式で部下を配置し、自分は決して表舞台に立ちません。ATMにお金をおろしに行くのが最も下っ端の人間です。

彼らは捕まらないように様々な工夫をしています。なかなか手が込んでいます。この工夫を社会のために生かせたらいいのにと思うのですが、彼らの心情はそんなに単純ではありませんでした。



ある主犯格は学歴社会から落ちこぼれ、その劣等感から卑屈になり、拝金主義者になっていきます。そこで手っ取り早くお金が手に入る振り込め詐欺という犯罪に手を染めてしまいます。

有名大学を出て、有名企業に勤めたにもかかわらず会社の経営が悪化し、早期退職。そんな時に実家が破産。こうして社会に対して逆恨みを持つようになり、振り込め詐欺の道に進んだ者もいました。

犯人の中には早稲田の大学生もいました。この犯罪者は仲間と一緒にいたかったという動機を持っていました。金というより、誰かとつながっていたかったのです。



彼らは一度エリートの道を歩んでいますが、挫折を経験しています。挫折が劣等感を生み、劣等感が思考を歪めています。

目の前にあるお金という現実が物事の価値を測る絶対的な存在であると勘違いしていきます。

同級生が一流企業に勤めて、ビジネスライフを謳歌している時に、挫折した自分は存在価値を示すために、お金を持つしかないと考えるようになるのです。

この気持ち、わからなくはないですが方法が間違っています。



こういう犯罪に手を染める人たちに罪の意識はまったくないのかというと、そうでもない。いけないことをしていたという自覚はある。それでも人を犯罪に駆り立てる心理は異常としか言えません。

劣等感や疎外感で埋め尽くされて、救われようがないと、手っとり早く欲望を満たしてくれるお金というものに飛びついてしまうのでしょうか。



いずれにしろ、振り込め詐欺はこうした人間の弱さにつけいって広まった詐欺手法のようです。

劣等感、疎外感がいとも簡単に人を犯罪に走らせてしまう。人間って弱いものなんだと思ってしまいます。



この振り込め詐欺、一時期よりニュースに登場する機会は減ってきましたが、壊滅しているわけではありません。いまだ検挙率の低い犯罪の一つです。私の母親もそれっぽい電話がかかってきたことがあると言ってました。他人ごとではないですね。気をつけましょう。


本書は振り込め詐欺の実際というより、著者の努力により犯罪者心理がよくわかる一冊になっています。取材とか大変だったんだろうなという苦労が伝わってきます。追い詰められた人間の心理にも通じるところがあり、興味深く読めますよ。


職業”振り込め詐欺” (ディスカヴァー携書)職業”振り込め詐欺” (ディスカヴァー携書)
(2009/10/03)
NHKスペシャル職業”詐欺”取材班

商品詳細を見る


スポンサーサイト


目を背けるな【書評】ならず者の経済学


01 11, 2009 | Tag,経済,奴隷,売春,偽造,犯罪

ならず者の経済学 世界を大恐慌にひきずり込んだのは誰かならず者の経済学 世界を大恐慌にひきずり込んだのは誰か
(2008/11/19)
ロレッタ・ナポレオーニ

商品詳細を見る


本書は経済現象のうち、あまり直視したくない”闇”の部分にスポットがあてられた本です。なので、読後に爽快感が得られるというよりは少し暗くなってしまうかもしれません。

本書を読むと日本と言う国がいかに恵まれた国であるかが身にしみます。


「ならず者の経済」とはを共産主義の崩壊による混沌の中から生まれた副産物で、本書で取り上げられている「ならず者の経済」は以下のようなものです。

  • ロシアの新興財閥(オリガルヒ)による国有財産の略奪

  • セックス奴隷としてのスラブ系女性

  • 共産主義崩壊後、国民は新興財閥に法外に安い値段で国民が持っていた民営化証券を集めて富を築いた。この影響でロシアの女性失業率が80%に増大し、生活のために売春に走らざるを得ない女性を急増させることになった。


  • 貧困化し破産するアメリカの中流階級

  • 富の象徴とされる持ち家に憧れるアメリカの中流階級が、返済不能なローンに手を出し最後には破産する。


  • グローバル化して巧妙に暗躍する犯罪組織

  • 今もなくならない奴隷労働

  • 犯罪組織で生み出されたお金はロンダリングされ、私たちの手元に届いているかもしれない。あなたが手にしている貴金属は奴隷労働の成果かもしれない。


  • あふれかえる偽造品・偽造薬

  • 中国を初め、貧しい国にあふれる偽造品。さらには薬まで偽造されているという現実。


  • 人々のダークな情念を操って大儲けするインターネット起業家

  • インターネットでナンバー1のビジネスはポルノ、ナンバー2はギャンブル、そしてナンバー3は児童ポルノである。


  • 先進国のあくなき食欲を満たして稼ぐ漁業海賊

  • 世界規模でみればごくわずかな人々のために、海洋資源が乱獲されている。


こうして見てみると、これらの「ならず者の経済」の多くに貧困、そして貧富の差が関与している事が分かります。

これらがはびこる原因には当事者以外に、巡り巡って恩恵を受けている先進国の存在も見逃せません。

富める者はますます富み、貧しい者はいつまでたってもそこから抜け出せない。このような格差をなくす、社会全体の取り組みが必要なのだと思います。難しい問題だとは思いますが、利益を上げることが至上命題になっている今の資本主義では限界なのかもしれません。

著者はこの状況を打開するのに、イスラム金融と中国の思考法(例えば孫子の哲学:現実は状況の産物として立ち現れるので、たえず変化している。それを巧みに利用することこと肝要である)に活路を見出していますが、つい最近当ブログメタノート:貧困のない世界を創るで紹介したようなソーシャルビジネスやマイクロクレジットの活用も有効なのではないかと思います。




0 CommentsPosted in 経済
最新記事
Amazon
リンク
Ads
月別アーカイブ
ライセンス
Creative Commons License
この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
Related Posts with Thumbnails
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。