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椎間板ヘルニアの痛みについて 神経障害性疼痛


04 05, 2011 | Tag,疼痛,椎間板ヘルニア,神経障害性疼痛

ブログのコメントに椎間板ヘルニアの痛みの機序について質問を頂いたのでお答えいたします。

頂いた質問は以下の通り

僕は、生理学的には、神経の圧迫によって生じる症状は「痛み」よりも「麻痺」だと認識しています。
「痛み」というのは自由神経終末からのインパルスによるもので、神経繊維の途中で圧迫しても「痛み」は生じないと思うのです(『臨床医のための痛みのメカニズム』より)

「バルーン実験」と呼ばれる実験では、神経根をバルーンで圧迫したがその末梢部に痛みは出現しなかったということも聞いたことがあります(すみません、誰の論文だったのかは忘れてしまいました)

僕は肩関節脱臼による腋下神経麻痺や、松葉杖による腋下神経麻痺を何例か見てきました。
また、長時間腓骨神経を圧迫されてしまい、腓骨神経麻痺になってしまった例もありまあした。
いずれも治癒まで長期を要し、神経の回復には時間がかかることも分かっています。
しかし、そういった"神経圧迫"による症状は、「痛み」ではなく「麻痺」でした。

こういったことからも、椎間板による圧迫で下肢痛が生じるというのが疑問です。
(「麻痺が起こる」というほうが納得できる感じです)

上記のような圧迫による神経損傷と、椎間板ヘルニアによる神経損傷の生理学的な違いはどういったものなのでしょうか?

骨折や捻挫などの外傷が起きると、侵害受容器を介した疼痛メカニズムが働きます。神経終末において侵害受容器が物理的、化学的な刺激を受けることで痛みを感じるということです(疼痛 - Wikipedia)。

この機序が質問者のおっしゃっている疼痛発生の機序だと思います。

ところが他にも疼痛を発生させる機序というのが存在するのです。

ファイザー社のこちらのサイトが分かりやく解説してくれています。ぜひご覧ください。

 >> 神経の痛みとは? | 疼痛.jp | ファイザー株式会社

神経障害性疼痛の発症機序には末梢神経系と中枢神経系と原因となる場所によって違いがあります。

椎間板ヘルニアの場合は、末梢神経系です。

末梢性機序:末梢神経系では、神経が傷つくと、感覚神経の傷ついた部位に発現するNa+(ナトリウムイオン) チャネルやα2アドレナリン受容体と呼ばれる痛みの刺激伝達に関わる部位が異常増殖して神経が興奮しやすくなります。これが自発痛などを発症する原因のひとつです。また、神経が傷つくと、傷ついた神経同士が接触して、神経間の情報伝達が交錯し、誤った刺激が伝わることで痛みが起こることもあり、これがアロディニアなどを発症する原因のひとつとなります。

神経が圧迫により傷つけば疼痛が生じるというわけです。もちろん神経障害の程度次第で足が動かなくなるといった麻痺の症状も出ます。

以上です。疑問の解決につながればいいのですが。

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椎間板ヘルニアについての質問とその回答


03 09, 2011 | Tag,整形外科,腰椎椎間板ヘルニア,椎間板ヘルニア

以前に椎間板ヘルニアについての記事を書きました(腰椎椎間板ヘルニアのウソホント | メタノート)が、それについてコメント欄で質問をいただきました。以下、引用です。

都内の整骨院に勤務している柔道整復師です。
椎間板ヘルニアについてご意見を聞かせて頂きたいです。

疑問なのは、以下についてです。
・下肢痛や痺れ、腰痛などの経験がない健常者にも、画像診断上では椎間板ヘルニアは見られることがある。
・椎間板ヘルニアの保存療法にて(または無処置にて)、ヘルニア自体は消失していないのにも関わらず、時間の経過で症状が改善することも多い。
・手術でヘルニアを取り除いたにも関わらず、症状が改善しないことがある。

これらの事実から、そもそも"椎間板ヘルニア"を下肢痛や痺れの原因だとするのには、科学的根拠が薄いように思えてなりません。

僕の見た患者にも、「医者に手術をしないと治らないと言われたが、手術は嫌だから」と来院され、1ヶ月程でよくなり、ゴルフに復帰できた方がいます。
尚、その患者さんは、「自分の状態が気になるから」と、症状改善後に、他の病院のMRI検査を受け「椎間板ヘルニア」と診断されていました。

最後の実例は、一件のみの症例なので、なんとも言えないとは思いますが、
上記のようなことについて、どのようにお考えでしょうか?


まず、典型的な椎間板ヘルニアは
Axial view of herniated lumbar disc.
のように、出っ張った椎間板が神経を押します。押された神経が下肢にくる痛みやしびれを起こすと考えられています。

神経根ブロックといって、ヘルニアに押されてダメージを受けているであろう神経に注射をすると、下肢痛やしびれの症状が良くなることが多いです。これは、原因になっている神経に直接麻酔薬を効かせているためです。

ヘルニアの出っ張りが小さければ、神経にはあたりません。ですから画像上ヘルニアがあったとしても神経に対する症状を起こすとは限らないのです。


また、椎間板ヘルニアが無処置(疼痛に対する治療のみ)でも軽快するのはよくあることです。しばらくするとすっかりヘルニアが消えている症例もあるし、まだ存在しているのに症状が消えていることもあります。

後者はおそらくですが、多少なりともヘルニアが小さくなって、もしくは位置がずれたりして神経への圧迫が解除されたのではないかと考えます。


手術を行っても症状がよくならない症例というのもたしかに存在します。手術を行って改善しやすいのは下肢の激しい痛みや筋力低下です。それも発症早期にやった方が効果的です。時間が経てば経つほど、神経の症状は回復しにくくなります。

神経は弱い組織です。元に戻れないくらいまでダメージを受けてしまうと、手術をして原因を取り除いても回復しづらいのです。そのため手術を行っても症状が良くならないという症例が出てきてしまいます。


椎間板ヘルニアの全てが臨床症状を引き起こすわけではありませんが、下肢痛やしびれを引き起こす代表的な疾患であることは確かです。


どうでしょう。回答になっていればいいのですが。



腰椎椎間板ヘルニアのウソホント


02 23, 2011 | Tag,整形外科,椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは比較的若めの人が罹患することの多い病気です。

外来診療をやっていると、「私は椎間板ヘルニアではないですか?」と自己診断して来院したり、「接骨院でヘルニアだと診断されたから」と訴えてくる患者さんに出会います。

患者さんのそういう訴えを聞くと、どうも私たちが思っている疾患のイメージと、患者さんが思っているそれとではだいぶ違うように思います。今日はそのギャップについて書いてみます。

1. 腰痛がメインの症状である

こう思っている人がほんとに多いです。

しかし、ヘルニアの典型的な症状は下肢痛(足の痛み)です。もちろん腰痛が生じることも多いですが、腰痛だけなら急性腰痛と診断され、ヘルニアとしての治療は行われないでしょう。


2. レントゲンで診断できる

「近くの病院でレントゲンを撮ったらヘルニアだと言われた。」

このように訴えている患者さんも多いのですが、これは患者さんのせいというか、そのような説明をした前医に問題があります。

レントゲンでヘルニアを診断することはできません。出っ張った椎間板はレントゲンには写りませんから。また、椎間板が潰れている、と予測できたとしてもそれがヘルニアを生じているとは限りません。

もし前医でヘルニアと診断されたなら、レントゲン画像を読影した結果ではなく、患者さんの症状と診察の結果、診断に至ったものだと思います。


3. スポーツがヘルニア発生を誘発する

そのような根拠はありません。


ちなみに椎間板ヘルニアの発症要因として、一般的に言われているものは次の3つです。
  • 遺伝的要因
親兄弟にヘルニアになったことがある人がいたら、自分も発生するリスクが高いということです。
  • 肉体労働者の方がホワイトカラーに比べて3倍リスクが高い
スポーツとは関係なくても労働とは関係があるようです。腰に負荷がかかる作業が良くないんでしょうね。
  • タバコを一日10本吸うとヘルニアのリスクが20%上がる
タバコを吸っている人はヘルニアになりやすいです。

ちなみに椎間板ヘルニアの多くは保存治療(薬やブロック注射)で良くなります。治療開始から10年後の治療成績も保存治療と手術治療で変りないとされています。

早く手術しないといけないのは、足の筋力低下が出てきたり、尿や便の出しづらさが出てきた時です。ご注意を。

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