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【書評】「依存症」の日本経済


03 03, 2009 | Tag,経済,日本経済

「依存症」の日本経済 (講談社BIZ) (講談社BIZ)「依存症」の日本経済 (講談社BIZ) (講談社BIZ)
(2009/01/08)
上野 泰也

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本書は現代の経済を「依存」というーワードで読み解いた本です。内容をよく表していると思いますので以下に目次を掲載しておきます。

目次
第1章 日本の個人消費は「女性依存」-婦人服売上高にカギがある
第2章 お父さんのこづかい減少でわかる「交際費依存」体質-「消費弱者」に逃げ場はあるのか
第3章 なお残る「建設業依存」と構造調整圧力-中小・非製造業は生き残れるのか
第4章 食料の「海外依存」は本当に問題なのか-40%の食料自給率が意味するもの
第5章 緩和への熱が冷め「規制依存」に逆戻りする日本-このままでは国ごと沈んでしまうのか
第6章 教育はどこまで「学習塾依存」を強めるのか-ゆとり教育が生んだ3つの弊害
第7章 景気判断や買い物で「マスコミ依存」する日本人-景気の波と報道の影響力の関係
第8章 投資に移行しにくい家計運用の「預金依存」-間接金融中心で何が悪い?
第9章 主導権を握れず「外国人依存」が続く金融市場-ブレークスルーを生む政策を打ち出すために
第10章 日本経済はやっぱり「米国依存」-否定された「デカップリング論」
第11章 ケーススタディー:少子高齢化の秋田県は「日本の未来図」


目次にある通り本書にはざまざまな日本の「依存」体質が書かれていますが、本書の読みどころは最終章の日本の未来図、秋田県の部分だと思います。日本経済の最も危機的な状況は人口が増加しなくなったというところにあり、それを説明するのに秋田県というモデルが役に立ちます。今秋田県に起きていることが10年後日本に起こらないとも限らないなと考えさせられます。


経済全般

人口問題

人口減少や人口分布の変化(少子高齢化)に伴い需要の減退が起こります。需要が減退すると、それに合わせて供給側も再編が求められます。競争力の弱い中小企業などは今よりもっと淘汰されていく可能性があります。

地方の中小企業は生き残るために何かしらの特徴を身につける必要があります。本書の中に登場する一つの例として、女性客にアピールすることで成功しているパン屋が描かれています。

なんといっても人口増加政策が必要になるわけですが、アメリカではバブル崩壊に伴う消費の減退に対して、グリーンスパン前FRB議長は「過剰な住宅在庫の買い手として熟練労働者を受け入れる」と言ったそうです。

消費を促すためには人口を増加させ、単純にパイを増やすという方法以外にも、外国から、消費を活性化してくれるような人たちを受け入れてしまおうという考えです。非常に単純明快で分かりやすい主張ですが、実際には実現しなかったようです。移民の国アメリカだからこその発想で日本では受け入れられづらいかもしれませんが、もっと外国資本を有効に利用しようという考え方は良いと思います。



産業構造・規制

規制緩和
規制は既得権益を守ります。その結果、競争原理を失わせてしまい、企業や産業の成長という意味ではマイナスの力が働きます。

規制緩和が成功した例としては電力・ガスへの競争原理導入による低価格化、消防法改正によるセルフのガソリンスタンド設置による低価格化、株式売買委託手数料の完全自由化とネット証券の相次ぐ参入による参加者の利便性向上などがあると思います。

反対に規制がかかっているものの代表例は農業でしょうか。
食料自給率は日本全体ではカロリーベースで40%とされていますが、秋田県では170%あります。そもそもカロリーベースで食料自給率を測るのはいかがなものか、食糧自給の問題が論じられる場合は、いつも戦時下であるかのような前提で話し合われているのがおかしいと主張されています。

それよりも足りない資本は輸入してかまわない、逆に日本にはイチゴやスイカなど質の高い農作物があるわけなので、それを国外に輸出してはどうか、と。そして国内の農業にも競争原理を導入しどんどん質の高い農作物を作っていくべきだと言っています。



教育

教育に関しては秋田県がモデルになりそうです。全国学力テストの平均点は秋田県がトップという結果があります。秋田県では塾に通っている生徒は他県と比べると少ないにもかかわらずこの成績が残せるのは、学校教育が充実しているからでしょう。あくまで平均点なので、成績が突出した生徒を育てるには学校教育だけでは不十分なのかもしれません。

しかし、学校教育の底上げは競争力のある産業を生み出す糧になるでしょうから、それはそれで望ましいことだと思います。

まだ先は見えませんが、教育の面では秋田県のように学校教育が充実し、あくまでそれを補う形で塾が存在するというのが自然な形なのでしょうか。



著者は徹底して規制緩和擁護派ですが、日本の将来に期待をこめていることが読んでいて伝わってきます。経済関連の本の中では読みやすく仕上がっていて、楽しめる一冊でしたよ。

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