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ひらめきたかったら、まず手を動かすこと


10 04, 2009 | Tag,数学,創造

先日紹介した世にも美しい数学入門の中一節ですが、しまっておくのはもったいないのでご紹介。

数学者藤原正彦先生の言葉です。


数について何かを発見するためには、数を転がして、ころころと手のひらで弄ぶことが一番重要なんです。足したり、引いたり、ひっくり返したり、想像したりね。そうすると、もしかしたらこうかなという、ちょっとしたきっかけが見つかり、そこから大胆にいろいろ実験してみて、本当そうだったらいよいよ証明にかかる。証明になったらたいていの場合、もう赤子の手をひねるようなものです。そこまで、いろいろ弄ぶんですね。弄ぶというのは、独創に非常に良い影響をあたえます。たとえば美しい文章を読んで理解していても、その人の方席にならない。暗証したり、思い出したりして口ずさんだり、言葉を弄ぶというのが重要だと思いますね。


どの世界でも一緒なんですね。

考えるだけでなく、とにかくやってみる、とことが大事だと。

私の仕事でも、手術を上手くなろうと思ったらたくさん手術をするしかないと思いますし、そうしないと新しい手術方法、治療法の発想も生まれてこないと思います。

それにしても藤原さんという方はとても魅力的な人です。

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美しいことはきっと正しい 「世にも美しい数学入門」


09 28, 2009 | Tag,数学

ときどき数学関係の本を読んでみたくなります。どうしてなのかわかりませんが、ふと手が伸びてしまうんですよね。自分自身の数学に対する憧れなのかもしれません。

小学校から高校まで、大学受験の時まで数学の勉強には苦しめられつつもなんとかこなしてきました。でも大学受験の数学は今回読んだ本に出てくる数学と厳密な意味では違うような気がします。

自分が大学受験の数学をこなすことができたのは、それが訓練さえ積めば誰にでもできる類の問題だったからです。先人が残してくれた偉大な数式を、問題に合わせて使いこなしていくだけ。パターンで解いていたわけです。

だから、そこには独創的なアイディアも必要ないし、特別な才能も必要ありません。

本書に出てくる数学の話はもっと豊かで純粋な憧れの対象になるような数学です。

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著者は数学者藤原正彦さんと作家小川洋子さんです。

小川さんの過去の作品に「博士の愛した数式 (新潮文庫)」がありますが、合わせて読むと一層おもしろさが際立ちます。

博士の愛した数式 (新潮文庫)」の中にも出てくるのですが、たしかに美しいと感じた数字を2つ紹介します。


友愛数

友愛は最近話題の言葉ですね。

220と284が友愛数です。友愛の理由は以下。

自分自身を除いた約数を考えます。

220・・・1, 2, 4, 5, 10, 11, 20, 22, 44, 55, 110
284・・・1, 2, 4, 71, 142

220の約数を全部足すと280になって、284の約数を全部足すと220になるんですね。

すごい性質ですね。この2つの数字はただならぬ関係があるかのような。なんだかロマンチックです。


完全数

完全数は例えば28です。江夏の背番号です。

これもまた約数を考えます。

28・・・1, 2, 4, 7, 14

全部足すと28になるんです。こういうのを完全数と言います。かっこいいですね。1桁だと6があります。3桁だと496です。

実際に役に立つかどうか抜きにしてただ美しいと感じられるもの、そこに数学があると。


怖いのは、ゴールドバッハの問題(6以上の偶数は全て素数の和で表わされる)のような本当に解けるかどうか分からない悪魔的な問題があることです。フェルマー予想だってたくさんの天才数学者たちが挑んで長い年月をかけやっと証明されたんでしたよね。

こういう問題を解こうとする数学者の勇気はすごいと思います。問題に立ち向かう時の不安、「答えが見つからなかったらどうしよう」とか、「問題そのものが間違っていたらどうしよう」といった気持ちは考えただけでぞっとします。(ゴールドバッハの問題やリーマン予想というのは問題自体が美しいため、証明可能だと信じられているが、本当に証明が可能かどうか分かっていない。)

私なんか才能があったとしてもそんな挑戦はできません。だから数学者はすごいと思います。


藤原さんの言葉の中に私の数学に対する憧れを説明してくれる箇所がありました。

はたして人間は金もうけに成功し、健康で、安全で裕福な生活を送るだけで、「この世に生まれてきてよかった」と心から思えるだろうか。「生まれてきてよかった」と感じさせてるものは美や感動をおいて他にないだろう。数学や文学や芸術はそれらを与えてくれるという点で、もっとも本質的に人類の役に立っている。



数学を美しいと感じさせてくれた本書に感謝。文系の人にもお薦めの一冊です。


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投資について考える。「天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話」


02 13, 2009 | Tag,投資,数学,,ランダムウォーク,ポートフォリオ,ケリー基準,シャノン方式

天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話
(2006/11)
ウィリアム パウンドストーン

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数学の理論を投資の場で応用できないか考えるのは自然なことなのかもしれません。

机上の理論を現実の世界に応用しようというのは科学者なら誰でも考えることだと思います。これがお金を増やす方法とくれば、天才が見逃すわけがありません。


本書に登場する天才数学者たちも、数学の理論を現実の世界に応用しようとして、ギャンブルで勝つ理論や投資でリスクをおさえて儲けを多くする方法などを考え出しています。どの理論も誰にでも利用可能な実用的な理論ではないと思いますが、ポートフォリオの話などは一部参考になりました。


長期的に見ると市場が効率的であるということに議論の余地はなさそうですが、短期的に見ると非効率な部分が多くありそうです。そして株価がランダムウォークするということも誰もが認めることのようです。非効率な短期的変動に対してどの程度、どうやってつけこむかが儲けるポイントなのだと思います。

ジョン・L・ケリー2世さんが考えたケリー基準という理論がありますが、これは
今なすべきことは関係ない。ポートフォリオにもそれが言える。今の時点でなしうる最善のことは、現在の平均、分散などの頭頚数学から計算して、結果の確率分布の幾何平均が最高になるポートフォリオを選ぶことだけである。自分の投資のリターンと変動のしかたは、時間とともに変わる。その変化にしたがってポートフォリオを修正すればよい。この場合も、幾何平均を最大にすることだけが目標となる。


という考え方にもとづくものです。

クロード・シャノンさんという数学者が考えたシャノン方式という方法があります。これはケリー基準の特殊な型ですが、「定率再配分ポートフォリオ」とも呼ばれます。

例えば、最初の資金が1000ドルあったとして、500ドルは株、500ドルは現金にするとします。初日に株価が半分になったとすると、これにより持っている資産は株が250ドル、現金が500ドルになります。ここでポートフォリオを現金から125ドルとって、株に変えます。こうして375ドルの現金と375ドルの株という風につりあいを回復させるのです。これを繰り返していきます。
翌日、株価が2倍になったとします。
そうすると、現金375ドル、株750ドルとなりトータルで1125ドルになります。このような操作を続けていくことでポートフォリオの配分をこまめに変え、全体として資産を増やすというのがシャノン方式定率再配分ポートフォリオです。


驚くことに過去30年での投資による平均リターンはウォーレンバフェットさんが27%に対し、シャノンさんはそれを上回る28%だったそうです。

数学的な投資理論を考えついたシャノンさんなので、過去の値動きを分析して未来の値動きを予想するテクニカル分析を行っていたのかと思いきや、実際に彼が行っていた投資法というのは、バフェットさんと同じで会社の経営や製品に対する将来の需要を評価して買うファンダメンタル投資だったようです。本書ではそのポートフォリオの一部が公開されていますが、ヒューレットパッカードのような今となっては世界的な大企業に成長している企業の株式を長期保有していたことが分かります。


個人の投資に数学的な理論を取り入れるのは難しいと思いますが、ポートフォリオを定期的に見直すことはやはり大切なようです。また、本書を参考にすると、結局テクニカル分析よりもファンダメンタル分析を重視した方がよさそうだと感じました。少しでもファンダメンタルを読み解けるように勉強を続けていきたいと思います。




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