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志賀直哉はなぜ名文か


09 14, 2009 | Tag,小説,文章力,志賀直哉

志賀直哉は文章の天才だと言われます。

志賀直哉じゃなくても世の中にはたくさん小説があって、おもしろい作品もたくさんあると思うのですが、あえて志賀直哉なのはなぜか?おもしろい小説とそうでない小説の違いはなんだろう?

そんな疑問に答えてくれる一冊でした。

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著者は「直哉の文章には、日本語の良いところは悪いところ、融通無碍(むげ)なところ、それを逆手に取った正確無比の文章、さらにそれが頭に入りやすい文章になっている。」と言います。

著者はその時代、森鴎外、芥川龍之介、井伏鱒二、吉行淳之介などなど多くの作家の全集を読み、それを元にシソーラス(類語辞典)を作った人物。最近はシソーラスもwebで参照できます。

それにしても著者の分析がすごすぎます。

本書を読むと、引き込まれる文章というものに隠された秘密が明らかになります。


その一つに隠喩の使い方があります。

前夜のことが「頭に飛びついてきた」
不安が「覆いかぶさってきた」
鋭い母の視線に「縛られたようになって」
胸に「重い鉛の塊を投げ込まれた」
「もうもうと頭に燃え燻っている」色々な考が・・

これらの表現は文章をより躍動感あふれるものにします。


また、「それが」や「それは」を使ったアクセントの取り入れや文のつなぎも秀逸です。

坂を下りると、直角に、それが富雄川だ
一月の、それは京都でも珍しい日だった


言葉を列挙することでリズム感を出したりもします。

古い土地、古い寺、古い美術、それらに接する事が・・・



最近、暗夜行路を読みましたが、その時は志賀直哉さんの文章のうまさを今ひとつ実感できていませんでした。これは、上手な文章には奇抜な暗喩や体言止めのような表現を使っても、奇抜と感じさせないうまさがあるからだと思います。私もこういう文章を書いてみたいと思いました。

志賀さんは作品を仕上げるのに、相当な推敲を行っていたようです。やはり、上手な文章は簡単には生み出せないのですね。何度も推敲すること、これは怠けずやっていきたいことですね。


表現の幅を広げるのに役立ちそうなweb版シソーラス辞典はコチラ↓
 >>Weblio|類語辞典<シソーラス・同意語辞書・同義語辞典>

本書を読んでから暗夜行路を読むとおもしろさが広がると思います。名文であることに気づきやすくなるでしょう。



このブログで取り上げた暗夜行路の記事はコチラ↓

 >>志賀直哉 【小説】暗夜行路



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志賀直哉 【小説】暗夜行路


08 13, 2009 | Tag,小説,志賀直哉

時々こういう名作を読んでみるのもいいものです。

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本書は恋愛小説と言うべきか、一人の人間の心の葛藤を描いたと言うべきか。


主人公時任謙作は祖父と母の間に生まれたという特殊な出生歴を持ちます。彼はこの物語の中で様々な女性と出会っていくのですが、その中の一人、お栄という女性に恋をしてしまいます。

この女性、実は祖父の妾、ときたものですから、父を含めて家族は大騒ぎになります。ところが謙作は引こうとしません。このあたりの心理描写が一つの読みどころでしょうか。


結局、謙作は直子という一人の女性と結婚し、子供をもうけます。ところが、謙作の留守中に直子が浮気をしてしまい、これが二人を苦しめるようになります。謙作は直子のことを許しているつもりでも、直子に対してきつくあたってしまう。直子は本当に悪いことをしたと常に懺悔の気持ちを持ち続ける。

その後二人は別居することになるのですが、しばらくして謙作が病魔に倒れた時、二人は愛を確かめ合うことになります。ここで物語は終わるのですが、このあたりの揺れ動く二人の心理描写が後半の読みどころでしょうか。


著者あとがきによると、本作の主人公、時任謙作はある程度志賀直哉自身をモデルにしているそうです。登場人物の何人かは実在の人物をモデルにしているとのこと。

70年前の日本を舞台にした近代小説。今まで読んだことのなかった人はこの機会によろしければ。

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