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容疑者ケインズ―不況、バブル、格差。すべてはこの男のアタマの中にある。


11 11, 2008 | Tag,経済,ケインズ,古典派

本の装飾から想像してケインズ経済学をより深く知るために良さそうだったのでアマゾンから購入した本です。


本書は多用されるケインズ経済学の理論が完全なものでないことを新古典派経済学との比較やナイトの不確実性理論などを引用して指摘しています。

経済学を扱った本には数式やグラフがよく出てくるのですが、本書ではそれを使わずに説明しようと試みられています。

しかし、経済の理論を分かりやすく説明するためにはある程度の数式やグラフを用いたほうが分かりやすいことが読んでいて分かりました。本書を理解するためには基本的な経済学の知識が必要だと思います。

経済学に馴染みのない人には少し難しいかもしれません。実際私には内容が難しく感じました。

容疑者ケインズ―不況、バブル、格差。すべてはこの男のアタマの中にある。 (ピンポイント選書)容疑者ケインズ―不況、バブル、格差。すべてはこの男のアタマの中にある。 (ピンポイント選書)
(2008/08)
小島 寛之

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本書はケインズ理論を元にして行われる公共政策がなぜ効果が薄いのかに重点が置いて説明されていて、他にバブルがなぜハジけるのか、著者が専門にしている選好と意思決定のメカニズムを説明しようとする選好理論にも言及されています。


いい機会だったので古典派ケインズ派の違いをまとめてみました。
古典派

需要と供給の均衡は、価格が自動的に調整してくれるので、政府がわざわざ介入する必要はない、そして、個人が各々で自分の利益を追求していけば、それがその社会全体の利益につながる、というものです。
これが小さな政府という考え方で、アダムスミスは神の見えざる手が全てを良い方向に導いてくれると言っています。

そうは言っても一見、価格はそう簡単に変化しなさそうに思えます。
こう考えるのは短期的な視点によるものだからです。長期的な視点で考えると、価格は変動しているのです。これを価格の伸縮性と言います。

また、古典派の立場では価格が自由に変動するので、労働市場でも賃金が自由に変動することになります。そうすると、労働市場では完全雇用が実現し、非自発的失業者は存在しなくなるのです。
つまり、生産量が常に完全雇用GDP に一致します。そしてその生産量(GDP)は、それに必要な労働量と資本量で決まるので、ケインズ理論で出てきたマネーサプライを利用した経済政策は、実体経済に影響を及ぼさないという結論になります。



ケインズ派

これに対してケインズさんは異論を唱えました。
そもそも価格はそれほど頻繁に変化しないのではないか?価格の調整メカニズムは機能しないのではないか?需要と供給の不一致は数量が自由に変動することで一致するのではないか?と考えたのです。

そして、供給、それ自体が需要を作り出すのではなく、需要が供給を生む、と考えました。
この、需要の変化が生産量の変化を生み出す、というのを有効需要の原理と言います。

この考え方によると、需要の変化が生産量の変化を引き起こすので、引いてはそれがGDPの変化につながります。経済が景気後退状態にある時に政府が有効需要を創出し、GDPを引き上げる、これこそが政府の行う財政政策であり、金融政策なのです。

このように積極的に経済政策を行う政府のことを大きな政府と言います。

付記しておきますが、この理論は古典派と違って、短期的な経済で成り立つ理論です。



これら二つの学派のどちらが優れているということはありません。

ケインズ派的政策は政府の市場介入が過剰になる可能性があるし、古典派的政策は失業・倒産が発生する可能性があります。

短期的な視点ではケインズ派が有用ですし、長期的な視点では古典派が有用です。
そして、世の中が不況の時は価格変化があまり起こらないのでケインズの考える”短期モデル”を、逆に好況で物価が上昇気味のときは価格が変化しやすい古典派の考える”長期モデル”を想定して政策を考えるべきだということになります。

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