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先の見えない夕張医療


06 09, 2010 | Tag,救急医療,医療崩壊

6月1日のmsnニュース。

>> 北海道夕張市立診療所、救急搬送断る 夕張市長「誠に遺憾」 - MSN産経ニュース


それに対して6月7日JBPRESSでの村上医師の反論。

>> なぜ私は救急患者の受け入れを拒否したのか 北海道・夕張の村上医師が救急対応の報道に反論 JBpress(日本ビジネスプレス)

市長は何に対して「遺憾」と言っているのか。

救急患者を受け入れなかった村上医師に対してか、それとも救急患者を迅速に受け入れる体制を作れなかった自分たちの政治に対してか。

市長の発言としては後者であるべきだが、おそらく意図は前者にあるのだろう。

今回の一連の報道を見て、率直に夕張市の医療の再建は遠いと感じた。

夕張医療センターで奮闘しているのはたった一人の医師である。センターというから何人の医師がいるかと思ったらたった一人。

記事にも書いてあるが、一人というのはきつい。かわりがいなければ、24時間365日勤務しなければいけないことになる。徹夜明けでパイロットに操縦桿を持たせるようなものだとはまさにその通りだ。

一人しか医師のいない病院にCPAを受け入れろと。CPAというのは心肺停止状態といって、今まさに死にかけている状態のことを指す。死にかけている患者を、医師が一人しかいない設備の整わない病院に搬送するより、一刻も早く設備の整った病院に搬送した方がいいというのは妥当な判断だ。

一番必要なのはこういう事態にならないように医療機関の人手と設備を整えておくこと。これは自治体が最優先で取り組むべきことだろう。

それができないなら、こういう緊急患者が現れたときに一刻も早く搬送できる近隣の病院を確保しておくこと、だ。

マスコミもマスコミである。当事者である村上医師にまったく話を聞かないとはどういうことなのだろう。ずいぶん浅いモノの捉え方だ。報道こそひとつの事柄を多面的に見て、公平に伝える義務があるのではないか。

夕張市の病院でたったひとり奮闘している村上医師には頭が下がる。自分だったらやってられないと匙を投げしてしまうのではないかと思った。

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医学部を目指す前に読んでおいた方がいい一冊 【書評】病院はもうご臨終です


03 02, 2009 | Tag,女医,勤務医,医療,医療崩壊

病院はもうご臨終です (ソフトバンク新書)病院はもうご臨終です (ソフトバンク新書)
(2009/01/16)仁科 桜子商品詳細を見る


本書は現役若手女医による作品なのですが、実際の医療現場がこれでもかというくらい赤裸々に書かれています。そして勤務医の本音が書かれています。著者と同じ勤務医としては内容がかなりリアルに表現されていると感じました。

内容は、変わった患者のおもしろ話から医師の仕事内容、医師の生態、医学生時代のこと、医師を目指すきっかけになったこと、現在の医療問題についてまで幅広く扱われています。

女医といってもテレビにでてくる華やかな女医ではなく、外科医(通常外科医はものすごく忙しい)として勤務している女医の視点だからこそ説得力があります。


当直明けがオペの日なら、一睡もせずにオペをしていることもある。もちろん、自分の執刀医が徹夜明けなんて患者は知る由もない。人の命を預かるパイロットなら必ず休養をとってから仕事に入るように調整されているのに、同じ命を預かる医師たちは不眠不休で頭がボーっとしていても、それでも大きな責任を負ったまま緊張感のある仕事を強いられる。

これで文句を言ったところで、「根性が足りない」と一喝されるだけである。時代はこんなに進んでいるのに、医師の世界だけは何世代も前の日本のような「気合」と根性だけで成り立っている時代錯誤の世界なのである。これで何一つミスをするなと要求されても普通の人間には無理な話で、起こるべくして起こっている医療事故もあると思う。
(p.59)


給料もよく、失業の心配のない安定した仕事だから、という理由だけで医師になろうとしている学生さんは本書を読むことで、別の道を進むきっかけになるかもしれません。それはそれで悪くない選択かもしれません。医学部での教育は6年間もあるわけですし、実際に働いてみて描いていた理想と違うからといってその時点で社会に出てもいい職が見つかるとは限りません。社会に貢献するという意味では、他にもさまざまな仕事があるはずです。医師という職業を選択するなら現在の医療システムではある程度過酷な労働が待っていることを覚悟しておかなくてはなりません。



本書で取り上げられている医師不足の問題についてはまた話が変わってしまうので、またの機会に書くことにします。


なんだか重たいエントリーになってしまいましたが、内容のほとんどは過酷な労働の中にもささやかな幸せを見出す女医の生活が親しみやすく書かれた、読み物としてもおもしろいものですので気楽に読んでも大丈夫ですよ。

参考記事:
メタノート:あなたの会社の労働環境は大丈夫?医師の労働環境について考えてみた。【書評】労働法のキモが2時間でわかる本


著者のコラムはこちらにありますので良かったらどうぞ▼
ドクトル・ピノコのプチ元気の薬



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医療崩壊


09 09, 2008 | Tag,医療,医療崩壊

とても納得できる本でした。
著者は某有名病院の部長(その科のトップ。実際のイメージは部長というよりは取締役みたいな感じかな)です。
医者からの目線で書かれています。

・医師と患者、司法、警察の医療に対する考え方のギャップ
・崩壊したイギリス医療
・立ち去り型サボタージュ(勤務医をやめ、開業医になることを選ぶ医師が増えている。)
・医局制度の問題点と医師のキャリア
・厚生労働省の問題

について主に述べています。
内容を少しずつ、主観的な解釈を加えて公開します。

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
(2006/05)
小松 秀樹

商品詳細を見る



考え方のギャップ
について

医師は医療を完全安心なものとは思っていないのに対し、患者はおろか、検察、弁護士、警察までもが完璧な医療というものに幻想を抱いている。

例えば手術に関連した医療訴訟があって、ある弁護士はマニュアルがないことを問題視したそうです。マニュアル通りにやれば誰がやってもミスなく、手術を行うことができるのか?
答えはノーです。
難しい手術になればなるほど、術者の経験や勘が必要になります。
これがマニュアル通りやれば出来るんだったら、研修医でも出来てしまいます。
経験を積まなければ出来るようになりません。
一流のシェフになるためには、たくさん経験を積まなければならないのと一緒です。一流シェフが作る料理の過程を全てマニュアル化できたら同じ味が再現できるのでしょうか?



イギリス医療の崩壊について

イギリスの医療では自己負担ゼロです。(医療経済学2
税金でほとんど賄われています。
この制度がどういうことを引き起こしているかと言うと、患者が必要なサービスを必要な時に受けれないという状況が生まれています。
具体的に言うと、自分の主治医を自分で選べないし(行政が決める)、風邪を引いても簡単にアドバイスをされるだけで、いよいよ具合が悪くなったからと言っても、入院まで2,3日待たされるというような状況です。
さらに、手術を受けるのもかなり待たされるので、待っている間に癌が進行するというようなことも起きます。



立ち去り型サボタージュについて

そんな状況では患者にうっぷんが溜まります。あたりまえです。
そうすると怒りの矛先はどこに向かうかと言うと、、、医師です。
暴力事件なんかも起きています。

こんな状況では医師は自国の病院にすらいる気にはなれません。海外に職を求めて移動することになります。


日本の立ち去り型サボタージュは勤務医から開業医への流れです。
待遇や訴訟の問題から開業医になる人が増えています。
ちなみに開業医と勤務医では労働は勤務医の方がきついのに、収入は開業医の方が多いといった逆転現象が起きています。



医局制度の問題点と医師のキャリア

教授を頂点とした縦割り制度ですね。
もちろん、その権力を利用した医局員の再配置はメリットも多いと思いますが、どこか歪んだ構造になっています。
医師として出世をして教授になろうと思ったら、何より論文を書かなければなりません。
論文はもちろんインパクトファクターが高い方がいい(代表格はNature,Sciense,Cellとか)。
インパクトファクターが高い雑誌というのは臨床医学の雑誌ではなく、基礎医学の雑誌に多いのです。そうすると、臨床の研究をやるよりは基礎の研究をやった方が実績につながるので、大学院では基礎の研究をやる、ということになります。
(もちろん、臨床の研究をバンバンやっている大学病院もあるとは思います。)

これってどうなんでしょうか?
基礎の医学研究をするのに医師の免許はいりません。理学部出身の人の方がよっぽどいい研究ができるのではないでしょうか?
それだったら基礎医学ではなく、医師しかできない臨床医学の研究に力を注ぐべきだと私は思います。
また、医師として脂が乗ってきたところに大学院に行って、研究の片手間にアルバイトで臨床をするというのはあまり合理的ではないと思います。



厚生労働省の問題は対応が常に遅いということです。

昨今話題になっている医師不足の問題。
どうしてこんなに切迫した状況になるまで気づかないのでしょうか?

原因の一つに厚生労働省の役人には現場をよく知る役人が少ないことが挙げられます。
医系技官といって医師免許を持った役人もいますよ。
だけど、多くの医系技官は医学部を卒業してすぐに役人になったり臨床の経験が乏しい場合が多いのです。



色々な点で考えさせられる本でした。




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