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医師不足を改善するためには医師を増やすだけでは不十分


11 29, 2009 | Tag,医療,,医療問題,医師不足,コラム

医師不足を解消するために医師の増員、そして医学部定数の増員などの手が打たれている。

これは中長期的には有効な手段だろうと思うが即効性はない。

医師不足の原因は絶対的な医師数の不足に加えて科による医師の偏在があると思う。

絶対的な医師数の不足に対してはすでに手が打たれているわけだが、医師の偏在を解消するための策はまだ十分ではない。

産科や小児科の医師数が足りないことがニュースなどでも大きく取り上げられているので、これらの科に対する待遇は今よりもっと良くなるだろう。

ただ、現場で疲弊しているのは何も産科や小児科だけではない。


外科系の各科だって人手が足りないのだ。

内科だってそんなに悠々自適に医師としての仕事をしているとは思えない。

忘れてはいけないのが、時間内外を問わずまだまだ医療は現場の医師の奉仕的精神によって成り立っているということだ。

先日の朝日新聞にこんな記事を見つけた。

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現場の医師たちが疲弊している理由の一つに、診察や検査のオーダー、診断、手術や内視鏡的手技などの医師でなければできない仕事、それ以外の仕事が多いことがある。


診断書を書いたり、紹介状やその返事を作ったり、入院要約を書いたり、などの事務仕事。


これは都内で顕著なのだが、採血や点滴注射などのコメディカルなどでもできる医療行為。採血や点滴は看護師でも行えるはずなのに、医師でないとしちゃいけないというのはどうも理解に苦しむ。


アメリカではNP(ナースプラクティショナー)という資格を持った人がいて、この人たちは日本で医師が行っている医療行為の多くの部分を行うことができるらしい。


手術なら、準備から執刀の一部までNPがやってしまい、術者は肝心なところだけ行う、と。だからアメリカでは日本で一日2件くらいしか行えない手術も5件とか平気でやってしまうことができるらしい。


こういうしくみを聞くと、アメリカの医療は合理性が追求されてるなと思う。



こういう他国のしくみは日本にも取り入れられる部分があるんじゃないかな。医師不足に対応するために、単に医師の数を増やすだけではなく、NPのような医療行為をおこなうことができる職種、こういう資格ができれば現場の疲弊感はもう少し改善されるのではないかと思う。

ちなみに、診断書は医師以外の事務の人たちが作成を手伝ってくれるようになってますよ。どの病院でもってところまでは今のところいってないみたいだけど。
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医療の裏側でいま何がおきているのか


09 16, 2009 | Tag,医療,医療問題,医療費,社会保障

本書は2007年に開かれた9名の有識者によるシンポジウムの内容をまとめたものです。現在の医療制度を理解するのに役立つ一冊となっています。

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大阪大学医学部 医療経済研究チーム

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まず初めにこのあたりのことは基本事項として覚えておいた方が良さそうですよ。


・社会保障費90兆円。そのうち年金50兆円超、医療費30兆円超。
・日本の国家予算は80兆円。国債費や地方交付税を払った後に残ったお金(一般歳出は)47兆円。そのうち防衛費7兆円、文教費5兆円、公共事業費7兆円、社会保障関係費21兆円。
・90兆円から21兆円を引いた部分は国民から集めた保険料55兆円と地方自治体の負担、運用益からなっている。
・年金に関して言えば、サラリーマンは毎月の給料から7%の保険料を天引きされ、厚生年金の保険料を払っている。


2004年の対GDP費総医療費をアメリカと比較してみると、アメリカ15.2%なのに対し、日本は8.0%です。先進国中最低レベルです。

日本の人口当たりの医師数が少ないことは指摘されて久しいですが、2002年のデータでは病床100床あたりの医師数で比較すると、日本が13.7人なのに対し、アメリカでは66.8人です。病床100床あたりの看護職員数では日本が54人なのに対し、アメリカでは233人です。

何が言いたいかというと、少ない投資の割に日本の医療にそこそこ満足できているのは、医療従事者の献身的な犠牲により成り立っているからかもしれないということです。

このあたりを考えると、医師の数は早急に増やす必要がある、ということです。


ところが、医療従事者は頑張っているのに、病院全体の60~70%が赤字経営だということです。

じゃあ、医療にかかるコスト30兆円の内訳が気になるところですが、それは本書に書いてありました。


2001年のデータですが、30兆円のうち、病院が収益として80%くらい、10%が剤薬局、他歯科診療など、という割合になっています。

驚いたのですが、病院の収益80%のうち、医療機関以外の取り分が半分ほどあることです。医療機関外というのは製薬メーカーとか医療機器メーカー、検査メーカー、医薬品卸などです。ということはつまり、病院自体の収益は12兆円くらいということですね。

実際に、白内障の手術(7430点(74300円))や腹腔鏡下胆嚢摘出術(25600点(256000円))なんかでは手術料のうち、約半分が材料費にもっていかれしまいます。技術の対価を受け取る方としては、なんだかやるせない気持ちになりますね。

病院の多くが赤字経営を続けていることを考えると、医療行為や薬などの保険点数のつけ方が妥当ではないと考えざるを得ません。


しかし、膨らみ続ける医療費を抑えることも必要なわけで、その点は議論が続けられていることと思います。

本書に登場するある経済学者の先生は、増え続ける医療費に対応するためには消費税などの税金を増やすことで対応するしかないと言っていました。

もしくは自己負担を増やす方法を考えるか。あまり国民に対する直接的な自己負担を増やすと、まともに医療を受けられない人が増えて問題になるだろうし、社会保障の観点から離れていってしまいます。

税金を増やすことで対応するなら、間接的な自己負担増ですから意外といけるかもしれません。個人的には消費税増はもはや仕方ないかなと思います。

民主党政権になって、このあたりの医療費のやりくりをどうするかは見物ですね。


まとめると、今に始まったことではなく、日本の医師数は足りてないんだよ、ということ。保険点数はもう少し見直さないと病院存続にとって良くないよ、ということ。増え続ける医療費には税金で対応するのが妥当かもしれない、ということでした。


ところで、医療費高騰の本当の犯人については本書の説より、こちらの本の説を信じます。犯人は人口の高齢化というより、医療技術の進歩、という説。

こちらが関連記事↓

>> 医療費高騰の真犯人は? 【書評】「改革」のための医療経済学

>> 日本の医療が迷走しないために 
 
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医療費と診療報酬 【書評】医療問題


08 05, 2009 | Tag,医療問題,医療,診療報酬

本書は日本の医療制度と2006年の医療改革を中心に書かれていますが、今の医療制度を理解するのにも役立ちます。


先日、診療報酬の不正請求をめぐる詐欺容疑で摘発された山本病院ですが、今回はこのニュースと関係の深い診療報酬制度のことについて書いてみます。

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(2006/11)
池上 直己

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まずは医療費負担のこと

国民医療費は約31兆円ですが、それは誰が負担しているのでしょうか。

簡単に分けると、企業、国、病院にかかった本人です。これらがどれくらいの割合で負担しているのかを調べてみると、その内訳は保険料が15兆円、自己負担が5兆円、税金が10兆円となります。つまり、保険者が約半分、税金が約35%、医療をうけた人が15%を負担しています。

税金や自己負担は分かりやすい財源ですが、保険者というのはなんでしょうか。保険者が全体の約50%も負担しています。

保険者といのは企業や学校などが運営する組合健保や共済組合、中小企業を助けるために政府が運営している政府管掌健康保険組合(政管健保)、自営業者は無職の人々のためにある国民健康保険(国保)などです。(政管健保は2008年10月に全国健康保険協会が運営する協会けんぽに変わりました。)

これらの組合が保険料の一部を負担しています。

組合健保であれば、企業が保険者負担分の全てを負担します。政管健保にはそこまでの経済的な余力がないので国がある程度補って負担します。医療費全体の14%です。国保は負担してくれる組織がないので、すべて国が負担することになります。医療費全体の50%です。

国保の場合は医療費の85%が国からの財源でまかなわれていることになりますね。

定年退職した高齢者が多くなればなるほど国保加入者が増えるので、政府の負担が増えます。だからなんとかして退職者の分の保険料も組合健保に負担してもらおうと躍起になるわけです。


医療費負担と診療報酬との関係

どうして政管健保や国保では政府が補てんしないといけないのでしょうか。

それは、医療行為や薬価が決められた額に設定されていることが大きく関係しています。国民一人一人の負担割合が決まっていることも原因の一つです。政管健保や国保では自己負担で足りなかった分を企業が負担してくれないので、かわりに政府が負担してあげる必要があるのです。

アメリカのように保険者が自由に価格を設定すると、保険者により受けられる医療に差が出ます。お金のある人ならこれでいいでしょうが、ない人は大変です。生活困窮者はただでさえ病気になりやすいのに、早めに病院にかかれなかったら病状が悪化してから病院に運ばれるという事態になります。病院内で最もコストがかかるのは急性期医療ですから、お金がない人に対して優しくない医療制度は医療費高騰の原因にもなります。また、病院としてもこれらの患者からはきちんと医療費を支払ってもらえないでしょうから、経営が圧迫されることになります。

定められた医療の価格のことを診療報酬(レセプト)と言います。日本では教授が行った治療も、研修医が行った治療も同じ行為であれば、同じ額しか支払われません。診療報酬制度に基づいているからです。価格が定められていれば、ある程度総医療費もコントロールできるはずです。


不正請求事件の病院に月2千万円売り上げ、詐欺容疑業者




では、つい先日のこの事件はどうして起きたのでしょうか?

診療報酬明細(レセプト)ですが、これは病院で作られた後、厚生労働省の諮問機関である中医協の審査にまわります。そこで有識者によるチェックを受けてOKなら診療報酬が支払われます。

チェックといっても有識者がきちんと目を通すことがきるレセプトの数には限りがあります。膨大な量のレセプトに少ない数の審査員が全て目を通すのは無理な話です。これは容易に想像がつきます。ということは、ある程度チェックの目をすりぬけたレセプトが認められ、診療報酬が支払われることになります。また、レセプトは紙、もしくは電子システムです。いずれも入力するのは人間ですから、恣意があればいくらでも改ざんできます。それがチェックする人の目をすり抜けると、今回の山本病院のような不正請求につながります。


日本の医療制度における診療報酬制度は国民に平等な医療を提供する、医療費をコントロールするという意味では立派な仕組みかもしれませんが、今回のように不正請求をすり抜けてしまうという脆い一面も持っているということです。

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