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生命の本質とは 【書評】生物と無生物のあいだ


03 16, 2009 | Tag,生命とは,DNA,分子生物学

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
(2007/05/18)
福岡 伸一

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分子生物学者である著者による、生命の本質に迫る一冊。
生命のダイナミズムを著者得意の上質な例えで分かりやすく教えてくれています。


生命とは何か?というのが本書のテーマです。

諸説あるかもしれませんが、本書が主張するのは

「生命とは自己複製できるもの」である。
「動的な秩序(動的平衡)を持っているもの」である。

という2点です。

これによれば哺乳類や爬虫類といった大きな個体はもちろん生物と呼べますが、顕微鏡でしか捉えられない細菌も生物と呼べます。しかし、電子顕微鏡でしか捉えられないウイルスという存在は生物とは言えません。なぜならウイルスは自己複製できないからです。ウイルスは自己複製できないため宿主の細胞内に侵入し、核内に入り込みます。そうして宿主に自分を耐量に複製させた後、自分が寄生していた細胞を破壊して増殖していきます。


動的平衡に関して。

受精卵の時から遺伝子の一部を使い物にならなくすると、生命はその一部が担う機能を補うように時の流れに従って補完していきます。 ところが、成長してから遺伝子の一部が使い物にならなくなっても、その時失われた機能は元には戻りません。 また、タンパク質分子の部分的な欠落や局所的な改変のほうが、分子全体の欠落よりも、より優位に害作用(ドミナント・ネガティブ)を与えます。例えるなら、部分的に改変されたパズルのピースを故意に導入すると、ピースが完全に存在しないとき以上に大きな影響が生命にもたらされるのです。

本書の読みどころは、こういった生命とは何かを実際の生命科学の分野から考えていくのとともに、DNAの構造が発見されるまでの人間模様や研究者がしのぎを削る過程にもあります。DNAが二重らせん構造をしているという画期的な発見を世に出したワトソンとクリックはあまりに有名ですが、二人の影にはたくさんの礎となった研究者がいました。ニュートンは「巨人の肩の上に立って」ものごとを見ていたと語っていますが、ワトソンとクリックも例外ではなく、優れた発見の影にはそんなには多くの日の目をみない研究がたくさんあるのだと思います。

DNAの二重らせん構造発見に関しては、

・遺伝子の本体がDNAであることをつきとめたオズワルド・エイブリー
・DNAの構成アミノ酸A、T、G、Cの4種ではAとT、GとCの含有量は等しいことを示したアーウィン・シャルガフ
・PCRを発明したキャリー・マリス
・DNAのX線解析を行ったロザリンド・フランクリン
・フランクリンが研究していたX線解析結果をワトソンに見せたモーリス・ウィルキンズ

などなど他にもたくさんいるのでしょう。


基礎研究の世界では1等賞以外はほとんど全く評価されないという厳しい世界です。そこには必然的に一等賞を巡る複雑な、汚い人間模様も存在します。そのような世界を詳細に描写している点も本書の読みどころの一つだと思います。


著者自身の経験を元にして書かれた、ポスドクとしての留学時代の話も興味深く読めますよ。


無機質な生命科学に命を吹き込むかのような一冊でした。


参考:
活かす読書:生物と無生物のあいだ

こちら▼は本書よりもっと最近の著作
メタノート:女は男より優れている!?【書評】できそこないの男たち


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女は男より優れている!?【書評】できそこないの男たち


01 19, 2009 | Tag,分子生物学,発生学,男と女

できそこないの男たち (光文社新書)できそこないの男たち (光文社新書)
(2008/10/17)
福岡伸一

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本書は分子生物学の専門家である福岡信一さんの著書です。
人類がミクロの世界を発見する過程から、生命の起源とその進化に至るまで、解説し、分子生物学的に考えると男は女から派生したものであるという結論に達します。

途中、対象を顕微鏡で観察するためにパラフィン包埋しなければならない地味な作業が出てきたり、遺伝子や、遺伝子がその機能を発現する過程などの分子生物学的な内容が出てくるのですが、気付いたら学生の頃そんなことやったな、とか学んだな、とかいう気持ちで読んでいました。

知識のバックグラウンドがある場合とない場合で本書の読み方は変わってくるような気もするのですが、随所にとても分かりやすい比喩が出てくるので、例えば文系の人でも大丈夫な本だと思います。

例を挙げると、遺伝子を膨大なページ数の百科事典に例えているところなんかは、とても分かりやすい例えだと感じました。



本書のメインは両性具有(見た目は男性でありながら、遺伝子は女性。もしくは見た目は女性でありながら、遺伝子は男性)の人から得た遺伝子をきっかけに、性別を決定する遺伝子を解明する部分だと思います。

一般的な常識から考えると、”男尊女卑”なんて言葉があるように、男性が女性に対して有利な存在という風に語られることが多いと思いますが、分子生物学や発生学はそれと反対のことを示唆しているようです。

これは、昆虫などの生物で考えると、より明らかかもしれません。カマキリなんかを想像してみると分かりやすいですかね。


人間の発生過程を見てみると、受精卵はまず女性になるように分化(成長)していきます。女性はそのまま女性のままなのですが、男性は途中でSRY遺伝子という遺伝子の働きによって、男性への分化を進めていくことになります。これは、考え方によっては女性がデフォルト(基本仕様)となっていて、男性としての器官は後から付け加えられたものだという風にも考えられます。

男性器において、生殖細胞の通り道と尿を排出する尿管が同じであるというのは、結構不自然なことだと思いますが、それは後から作られたものだから、という理由になるのかもしれません。



本書はかなりアカデミックな内容の本なのですが、分子生物学や発生学をもとに、男女の関係についても言及している点がとてもおもしろいと思いました。

言われてみると確かに男性という生き物は、長い目で見ると女性という生き物によって操られている存在なのかもしれませんね。



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