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バラバラの上腕骨近位端骨折の治療はどうすればいいか


10 08, 2012 | Tag,整形外科,骨折,人工関節

IMG_5308.jpg

なかなか難しいところです。

これだけバラバラだったら手術でなんとかするだろうと思うのが普通かもしれません。

ただ、手術をしようにもバラバラすぎてプレートやワイヤーでうまく固定できない場合もあります。

そういう時は人工骨頭といって、粉々になった骨頭を取り外して人工関節を入れる方法があります。

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ところが最近の論文ではせっかく手術で人工骨頭をやっても、手術をしなかった場合と機能的に大差ないという報告があったりします。

 << Hemiarthroplasty for Humeral Four-part Fractures for Patients 65 Years and Older: A Randomized Controlled Trial, Clinical Orthopaedics and Related Research, Online First - SpringerLink

僕も臨床をやっていて、この報告には妙に納得してしまいました。肩の人工骨頭って苦労してやったわりには、やらなかった場合と比べて大差ないんじゃないかという印象です。

手術をやらない場合は、

受傷直後は三角巾とバストバンド固定
受傷後1週間くらいしたら振り子運動(pendulum exercise)開始
受傷後6週で肩関節activeROM開始
受傷後8週で肩関節passiveROM開始

というふうにリハビリがメインの治療になってきます。

これでもなんとなく骨がくっついてきて、問題ないことが多いです。

上腕骨近位端骨折は高齢者が罹患することの多い骨折です。高齢者の場合はあまり多くの機能を求めていない場合も多い、ということも関係しているかと思います。

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ポリエチレンライナー:ハイクロスリンク加工の効果


06 25, 2012 | Tag,人工関節,THA,整形外科

人工股関節の欠点は長期間使っていると弛んでくるということです。経年的な弛みが問題になってくるのです。

弛みを防止するためにいろいろな工夫がされていますが、その一つがポリエチレンライナー素材の改良です。

例えば通常のポリエチレンにハイクロスリンク加工したライナーというものがあります。

 >> Highly Crosslinked Polyethylene Does Not Reduce Aseptic Loosening in Cemented THA 10-year Findings of a Randomized Study : CORR - Clinical Orthopaedics and Related Research

この論文はハイクロスリンク加工したライナーが果たして本当に弛みを起こしにくいのかについて検討したものです。

人工股関節全置換術(THA)を施行した61股関節が対象。通常のポリエチレンライナーとハイクロスリンク加工したポリエチレンライナーを10年間追跡した無作為比較試験となっています。

結果ですが、摩耗に関しては0.005 mm/year versus 0.056 mm/yearでハイクロスリンク加工したほうが摩耗に強かったようです。

しかし人工関節の弛みという点に関してはどちらも大差がなかったとのこと。


うーむ。弛みについてもポジティブな結果が出ると思っていましたが。しかし摩耗にはハイクロスリンク加工したほうが強いことはわかりました。もう少し多くの症例を長期間追跡したらまた結果が違うのかもしれません。




若年者には人工骨頭よりTHAの方が良い


04 05, 2012 | Tag,整形外科,人工関節,THA,人工骨頭

 THA画像
前々から言われていたことのような気がしますが、同じようなことを言っている論文が最近2編発表されていました。

痛みや股関節の機能、なにより耐久性の面でTHAの方が人工骨頭より優れている。

脱臼するリスクはTHAの方が高い。

日本では大腿骨頚部骨折には通常THAではなく、人工骨頭が行われています。臼蓋の処置が必要なく工程が少ない分、THAに比べて時間がかからないし、出血も少なく済むからです。また、大腿骨頚部骨折を起こすのはだいたい高齢者ですから、あまり人工関節の耐久性が問題にならないことが多いというのも理由の一つ。

ただ、今回の論文から分かるのは、若くして大腿骨頚部骨折を起こしてしまったような患者さんには人工骨頭ではなく、THAを行ったほうが良いということです。

大腿骨頚部骨折を受傷した高齢者には人工骨頭が良いと思います。手術時間を含めた身体への侵襲や脱臼のしにくさから考えて。

 >> Hemiarthroplasty vs Primary Total Hip Arthroplasty For Displaced Fractures of the Femoral Neck in the Elderly: A Meta-Analysis
1208人を対象にした準ランダム化試験

 >> Total Hip Arthroplasty Versus Hemiarthroplasty for Displaced Femoral Neck Fractures: Meta-analysis of Randomized Trials. [Clin Orthop Relat Res. 2012] - PubMed - NCBI
こちらもメタアナリシスです。1320人が対象。中国から。




ライナーの進歩~人工股関節全置換術(THA)~


03 09, 2012 | Tag,整形外科,人工関節

どこの関節もそうなのですが、特に股関節と膝関節は変形し、軟骨が磨り減り、骨が変形し、痛みを生じることが多い関節です。

膝の変形などは見た目にもわかりやすいです。お年寄りの膝が曲ってO脚になるのはこの変形が原因です。

治療の一つに人工関節というものがあります。薬や注射の治療もありますが、それでもコントロール出来ないくらい痛ければ、手術を行うという方針になります。

人工関節置換術は数ある整形外科の手術の中でも、患者さんの満足度が高い治療法の一つです。
それまで痛くて歩くのがつらかった患者さんに笑顔が戻ることが多いです。

ただ人工関節において、まだ解決されていない問題が3つあります。

それは、

1.摩耗
2.脱臼
3.感染

です。

特にインプラントに依存するのが、1番の摩耗です(人工関節の設置の仕方にも影響されます)。摩耗というのは簡単に言うと”すり減り”です。

長く使っているとすり減ってくるのです。そしてこれが人工関節のゆるみの原因となります。
ゆるんでグラグラしてくれば痛くなってくるので、人工関節の取り替えが必要になります。再手術です。

ですから手術をやるときになるべく長期成績がいい素材を使いたいというのが患者さん、そして術者の希望です。


先日、人工関節の摩耗に関する明るいニュースが発表されていました。人工関節を構成する”ライナー”という部品の研究が、アメリカの権威ある学会に表彰されたというものです。ジンマー社が開発したライナーは最長13年摩耗とゆるみを起こさなかったそうですよ。

THA画像
人工股関節はこんな構造です

THAライナー画像
ライナー


13年?実際に臨床をやっている感覚だと20年くらいは持つのでは?と思ってしまいましたが、あまり感覚で考えるのは良くないですね。

ちゃんとこういった臨床研究の結果を情報源としなければ。


最長13年ですから、まだまだ長期成績は追求していく必要があります。若いうちに人工関節が必要になったら何度も取り替える必要がでてきてしまいますからね。今後の研究にも期待大です。


 >> ジンマーの人工股関節用ライナー 2012年米国股関節学会にてJohn Charnley Award受賞 | 共同通信PRワイヤー



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人工股関節の素材~ポリエチレンか金属か~


12 21, 2010 | Tag,医療,整形外科,人工関節,論文

膝の痛みや股関節の痛みで苦しんでいる高齢者は多い。痛いもんだから、外出する機会も減る。刺激を受ける機会が減るからだろうか、気力も体力もどんどん衰えていってしまう。

変形性関節症や関節リウマチといった病気では関節の破壊が進行し、それによる痛みが発生する。

これらの治療において、もちろん自分の骨を温存できるのが一番なのだが、病勢が強くてそうも行かない場合がある。

そんな時に最後の手段としていい治療法がある。それが人工関節だ。これを行った患者さんたちの多くはとても満足して退院していく。


いい治療法なのだが、まだ未解決の問題がある。

3つ挙げると、
  1. 感染
  2. 人工関節のゆるみ(耐久性の問題)
  3. 脱臼
である。

今日は2,3に関して最近関連した論文に目を通したのでここに書いておく。


人工股関節では素材に関して、しゅう動面に金属とポリエチレンを使った場合、金属と金属を使った場合の2通りの選択肢がある。

poly.jpg
金属と金属の間にある白い素材がポリエチレン。


metal.jpg
こちらが金属と金属で組み合わせた人工股関節。


どちらがいいか結論は出ていないが、臨床の現場での多数派はまだ金属とポリエチレンを使った方である。


金属と金属を使った人工関節は最近
  1. 脱臼を減らす
  2. 摩耗を減らす 
という点で注目されている。

脱臼を減らすためにはHeadという部分が大きい方がいいのだが、そうすると、金属の摩耗が増えてしまうのではないかと危惧されている(ジレンマ)。金属がイオンとして血中に入り込み、人体に害を加えるのではないかとということだ。

それに対して、以下の論文はそうでもないから大丈夫と主張している。
SpringerLink - Clinical Orthopaedics and Related Research®, Online First™


次の論文は、脱臼も少なく、摩耗も少なければ人工関節としては耐久性に優れているはずだから、やむを得ず若い人に行う場合にいい素材になるのでは?と主張している。
Metal-on-Metal Hip Arthroplasty in Patients Thirty Years of Age or Younger -- Girard et al. 92 (14): 2419 -- Journal of Bone and Joint Surgery



まだまだ結論は出ませんが、人工関節の素材についてはこれからも研究が続けられていくものと思います。



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